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Fukiさんと富士川クラフトパークで遊んだよ! 自然観察の森編

わー!調べてくれたんですね、ありがとうございます😭✨いいですね、「サバイバルの森」とてもいいですねぇ笑、行きましょう!!

お時間どうしましょう?私は早いところから言うと

10:29、12:13、13:47、14:34

の下部温泉駅着のもので行けそうです。(移動手段が電車のみで申し訳ないです(^^;)
Fuki
Fuki
しまるこ
しまるこ
12時13分にしましょうか。その時間に駅にお迎えに行きますね。ではクラフトパークをお散歩しながらお話しましょう!
了解しました^ ^

お車出してくれてありがとうございます。気をつけてお越しください。

では当日楽しみにしてます!

グローブ持っていきますね!

o(^o^)o
Fuki
Fuki
しまるこ
しまるこ
はーい! それでは当日楽しみにしてまーす!
電車なのにグローブ持ってくるのか
しまるこ
しまるこ


下部温泉駅

ここが下部温泉駅か。まぁ、下部っちゃあ下部だな。

こうして立ってるだけで、ふるさと納税収めさせられそうになるぜ。

Fuki「「こんにちは!」」

第一声、彼女はとても元気のいい挨拶をした。

しまるこ「こんにちは、どれくらいかかった?」

Fuki「3時間30分くらいです」

しまるこ「3時間30分……!? いや、おかしいでしょ! だって、地図見てみてよ! ほとんど中間地点だよ!? 俺はここまでくるのに1時間30分だったのに、どうして2時間も差ができんの!? 地理的におかしいでしょ!」

しまるこ「悟空のかめはめ波とベジータのギャリック砲みたいに、中間でぶつかって相殺される地点のはずなのに、おかしい」

Fuki「? すいません。ドラゴンボール読んだことがないので」

しまるこ「電車の中で3時間半も何してたの?」

Fuki「普通に景色を見てボーッとしてたり、あとはクレヨンしんちゃんの映画を観てました」

しまるこ「クレヨンしんちゃん?」

Fuki「はい、クレヨンしんちゃんの映画面白いんですよ」

しまるこ「あー、それは確かに聞いたことがあるわ。友達もクレヨンしんちゃんの映画をやたらと勧めてくるんだよ。ガチの映画好きで、確かな鑑識眼のある人間が言うところだから、よっぽど面白いんだろうね。確かにクレヨンしんちゃんの映画の面白さは有名だわ」

Fuki「はい! ぜひ観てくださいよ!」

しまるこ「まさかスカートで来るとは(笑)」

Fuki「一応女子的に……みたいな(笑)キャッチボールやりにくくなっちゃいますかね?」

しまるこ「俺もスカート履いてくればよかったのかもしれないけど」

Fuki「一緒に歩きたくないですよ(笑)」

Fuki「はぁー、信じられないな」

しまるこ「?」

Fuki「まさか、あのしまるこさんとこうして一緒にいるなんて、本当に現実とは思えません。今日も朝、え? あのしまるこさんと? え? 本当に? しまるこさんは本当に存在しているの? って、ずっと現実感がわかなくて」

しまるこ「いつも俺がYouTubeに映っていたのは、ホログラムだったかもしれなかったわけだ」

Fuki「(笑)静岡はずっと遠いと思ってたんですけど、『あんたねぇ〜、静岡なんて近いじゃん。一日で行って戻ってこれるじゃん』って友達に言われて。あれ? 確かに言われてみれば、静岡と長野って近いじゃん! って急に思って、ついノリで会いましょう! って言っちゃったというか(笑)」

しまるこ「近いかもしれないですね」

Fuki「……」

Fuki「ずっと緊張しっぱなしで、ここ一週間ぐらいはあまり考えないようにしていたんですが、キャッチボールの練習してたら緊張どころじゃなくなっちゃって。ピッチングの動画をYouTubeで見たり、友達と投げあってみたり。でもぜんぜん上手くならないんですよ! なんでですかね? 女だからですかね? 私はボールもまともに投げれないのかって、バカみたいにへこんじゃって(笑)」

しまるこ「大げさだよ(笑)」

Fuki「ああ、恥を晒すんじゃないかと。降車駅の二つ前の駅あたりから、急に緊張が押し寄せてきて……。もう引き返そうかと。窓から飛び降りてやろうかと、雨が降ってくれないかと、思ってました(笑)」

しまるこ「下部温泉駅に降りてもクラフトパークしかないですからなぁ。雨降ったら、下部温泉駅のベンチでずっと話してるだけになりますよ」

Fuki「それもいいですね」

しまるこ「……」

Fuki「アイドルの女の子が投げてるのを見て、なに? この下手くそは? かわいこぶっちゃってって思って、でも実際投げてみると、私もあんな投げ方しかできなくて! はぁ、これじゃあダメだなぁと思って、今日はご迷惑をおかけしてしまうんじゃないかと、申し訳なくて、申し訳なくて……」

しまるこ「キャッチボールはおまけだと思えばいいよ(笑)」

クラフトパーク

Fuki「いいですねぇ」

しまるこ「東京ドーム11個分らしいですな。平日だからほとんど誰もいないはず」

Fuki「いいですねぇ」

しまるこ「じゃあキャッチボールする?」

Fuki「キャッチボールは後にしましょう。恥を晒すのはもう少し待ってください」

しまるこ「じゃあさぁ、あのー、提案なんだけど。……。子供用のおもちゃのスポンジソードがトランクに2本あるから、それを使って斬合いをしない?」

Fuki「え?」

しまるこ「まぁ、チャンバラごっこというか。Fukiさん元剣道部でしょ? スポンジだからぶつかっても痛くないし、寸止めで当てないようにするから。Fukiさんの方は本気で当ててきて構わないんだけど。俺はそのときのFukiさんの攻撃に対して自分の身体がどう反応するか、身体が情報を叩きだしてくるから、その中のいちばん掴まなければならない一つを探り当てたいんだ。脊髄反射の効果的な出し方というか、脊髄反射の中にも、本当に掴まなければならない反射は、一つしかないと思ってて。頭の中では、たぶんアレを掴めばいいんじゃないかという予測はついてるんだけど、実際の形で確かめたいんだよね? いつも一人でシミュレーションしながら素振りしてるだけだから、相手がいなくて(笑)友達も気持ち悪がって付き合ってくれないし(笑)だから剣道部の女の子と知り合えて嬉しかったんだよね。ちょうど斬りかかってきた相手の攻撃に反応して、自分の身体がどう勝手に反応するのか、反応の中の、いちばん正確な一つを捻出したいんだ」

Fuki「すいません、それは……ちょっと……」

しまるこ「え? どうして? 剣道部だったんでしょ?」

Fuki「そうなんですけど、私、剣道下手だったし、ぜんぜんダメで……」

しまるこ「そうですか」

Fuki「……すいません」

しまるこ「じゃあ斬合いとキャッチボールだったらどっちがいい?」

Fuki「キャッチボールでお願いします」

しまるこ「まぁ、いちいち防具つけるの面倒臭いしね」

Fuki「はい」

しまるこ「もともとは、剣道って素面木刀で、寸止めで稽古するのが基本だったんだよ。江戸時代の中期まではね。竹刀が開発されてから、ああやってバシバシ打ち合うようになっちゃった。木刀は当たれば死んじゃうから危険に思えるかもしれないけど、絶対に当てることはなかったらしいよ。当てたら破門だったらしい。かえって竹刀剣道になってからケガが増えたって言われてる。剣は一撃必倒なんだから、バシバシ打ち合う必要なんてないんだよ。必要なのは、『起こり』が見えることで、攻撃するときは、必ずいちばん最初に、心の『起こり』が起こる。それの奪い合いなんだよね。それは、静かじゃないと見抜けない。だから互いの静けさを競い合ってるんだね。より静かになったほうが勝つ。でも、静かになろうとしても静かになれるもんじゃなくて、だから無心というか、いちばん最適の精神状態を見つけてみたいというか。斬った斬られたなんていうのは、外側に現れた結果でしかない。重要なのは、Fukiさんの攻撃の転ずるときの一点を見抜くことで、それは見ようとしても見えなくなるから、自分自身を透明にして、俺がFukiさん自身になってしまうしかない。Fukiさんと一体となるのか、あるいは天と一体となるのか、それを確かめたいというかね。だからー、えーっと、何だっけ?」

Fuki「防具付けなくてもいいってことですよね?」

しまるこ「そう! それを言いたかった! 防具つけなくても、寸止めでもできるよってことを言いたかったんだ! そうそう。Fukiさんすごいね! やっぱり頭いいね。今、自分でも出口が見つからなく困ってたわ。代わりに答えを見つけてくれて助かったわ。こういうのは、ちゃんと人の話を聞ける人じゃないと、できないことだね」

水、鉄棒

Fuki「私、自然観察の森いきたいです!」

しまるこ「でも4kmだよ。往復だと8km? 行きますか?」

Fuki「行きましょう!」

しまるこ「まぁ、キャッチボールやる体力を残してくれてればいいですが」

Fuki「体力は残ると思うんですが、精神の方が……」

Fuki「水! 水ですよ! しまるこさん!」

しまるこ「確かに」

Fuki「確かにって」

しまるこ「パイロットが砂漠に不時着して見つけたようなテンションだね」

しまるこ「ちょっとそのまま立ってて」

Fuki「はい」

しまるこ「すごいバッチシ映ってる! ほら!」

Fuki「本当ですね(笑)」

しまるこ「クラフトパークの水の精霊みたいですよ。生まれたときからずっとここに立っていたかのような自然さです」

Fuki「私、こう見えて器械体操部だったんですよ」

しまるこ「ほう。それはまた武骨ですな。ぜひ大車輪を見てみたいのですが」

Fuki「嫌ですよ、パンツ見えちゃう。それに大車輪なんかできませんよ」

Fuki「あの、『食べたいとは何か? おいしいとは何か?』の記事。あれ、良かったです」

「食べたい」とはなんだ? 「おいしい」とはなんだ? 〜5号のホールケーキを食べたくてしかたなかった日のこと〜

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しまるこ「あの記事ですか。あれは確かにいいねがたくさんつきましたが、どうもファンのフィルターがかかっているようで、他の投稿サイトに投稿して確かめてみたんですが、評価は散々でしたよ。『ダラダラと長すぎる』『もっと簡潔にしろ』『キレが悪い』と酷評でしたね。うちのブログは食生活の記事を目当てに来る人が多いから、だから他の記事より人気なのかなと思ってました」

Fuki「え? あれはとってもいいですよ! うちのお母さんや妹も、あの記事が気に入ったみたいで、なぜかちょうど二人同時に、あの記事の感想を送ってきたんですよ」

しまるこ「なんでお母さんが見てるんだ(笑)」

Fuki「母はあの記事を読んで、ゲシュタルト崩壊を起こしていると言っていました。例えば、ひらがなの「い」を見続けて、注視し続けた結果、全体的な印象が消失しちゃって、何もかもがわからなくなってしまうというような、一種の失認状態にあるって考察してました」

しまるこ「聡明なお母さんですね」

Fuki「血の繋がりがあるのかもしれません。しまるこさんのブログは、友人たちの評価は分かれるんですが、うちの家族は好きみたいです」

しまるこ「そうですか(笑)」

Fuki「2ヶ月更新されなかった時期もあったけど、絶対戻ってくるだろうなと思ってました。そして戻ってきても、やっぱり相変わらず面白い。じつは、嫉妬したりもするんですよ」

しまるこ「私もしょっちゅう行き詰まってばかりですよ。これまで通りのクオリティの記事を書き続けることだったら難しくはないけど、手慣れたことをいつまでもやってても腐っていくのがわかりまして。だからああやって変な動画をあげたり、この前もノベルゲーム風の動画とか作ってみたりと、まあ、いろいろ思いついたことを片っ端から試している感じです」

Fuki「しまるこさんの動画は、ちょっとあれはコアな人向け用というか、だいぶマニアックですから、コアなファンじゃなきゃついていけないかもしれませんね」

しまるこ「そう、動画はぜんぜん再生されないから、お前は大人しく食生活の記事だけ書いてろって言われている気分になりますね。まぁそう言われると、たくさん変な動画をあげてやろうって気にさせられますけど」

Fuki「動画だと、その、ちんぐり返し……の動画が一番好きです」

しまるこ「え? あのちんぐり返しですか?」

Fuki「私もその、すごいイライラしていて、例えばすごいイライラしているとき、イライラが頂点に達しちゃって、そういう時に、ああいう空気の読めないマッチョ?に、空気の読めないテンションでちんぐり返しされたら、どうしたらいいんだろうって、イライラしてない時だったら耐えられるかもしれないけど、最高度にイライラしている時にやられたら、イライラをどうやって処理させればいいんだろうって考えてしまって、あの動画は10回ぐらい見ましたよ」

しまるこ「へー! Fukiさんはちんぐり返しの動画が好きだったんですか!」

Fuki「(笑)」

Fuki「しまるこブログは、いちばんすごいブログだと思いますよ」

しまるこ「そうですか。それじゃあ、もう少し続けてみましょうかね」

Fuki「ぜひ続けてください」

しまるこ「Fukiさんは、漫画の方はどうですか?」

Fuki「はぁ。今はその、○○っていう出版社から声がかかりまして、『雨宿りをしよう』がその出版社のサイトから、ネット掲載されることになりまして」

しまるこ「○○って言ったら知らない人いませんよ! 超大手じゃないですか! いやー、これはたまげた! すごい……!!!」

Fuki「しまるこさんのおかげですよ。しまるこさんが評価してくれなかったら、書き続けていたかわかりませんから」

しまるこ「いやいや、凄いことじゃないですか!」

Fuki「それでですね。今noteに上げているのを書き直した完全版を掲載するという流れになりまして。私も一度書いたものをもう一度書き直すだけだから、大丈夫だろうと思って、『月に40ページ書けます!』って言っちゃったんですね(笑)でも、それが書いてみるとすごい大変で、いま、苦労しているところです」

しまるこ「月40ページか。担当の編集はつくんですか?」

Fuki「はい、一応」

しまるこ「もう、正真正銘のプロの漫画家ですね。いいことじゃないですか。締切に追われ、編集にダメ出しされて、そうやって商業ベースで揉まれる方が、地力が養成されると思います」

Fuki「はい、がんばります」

しまるこ「noteに上がっているFukiさんの短編漫画は、それはそれでいいと思いますが、あの、『雨宿り』は性格が違いますね。あれは来る時が来ればいつか大きなことになるんじゃないかと思ってました。あの漫画は誰が見ても素晴らしいと言うし、それに感化されてか、なぜか、しまるこブログの読者がFukiさんのブログのコメント欄に出入りしてますよね(笑)いつも変なコメントが書き残されているのは、全部うちの読者だと思います。あの漫画は、大げさでなく、文化的な価値があると思いますよ。編集社も同じ意向でしょう。だから、世に出すべきだという気持ちに駆られたんでしょう、より完全な形で」

Fuki「恐縮です……」

しまるこ「アーサー王物語の、ひとつの答えだと思いますよ」

ログハウス

Fuki「いいですねぇ」

Fuki「ログハウス、住みたいと思いませんか?」

しまるこ「思いますね」

すると、一匹の子供が小生に近づいてきた。

子供「ねぇねぇ、名前なんていうの?」

しまるこ「しまるこ」

子供「ギャハハ! しまるこ! しまるこだって〜〜〜!!!」

Fuki「しまるこって呼び捨てされてる(笑)コラッ! 呼び捨てしちゃダメでしょ〜!」

しまるこ「子供っていうものは、わかってるもんですね。俺がもしここに一人でやってきて一人で歩いていたら、絶対に話しかけてこない。女連れだから大丈夫だと思って話しかけてくるんですね。子供の健康らしい子供らしさは、健康らしい男女を見ることで誘発して生まれてくるんでしょうな。すべて常識の風の一陣の中にある」

Fuki「そうなんですね(笑)」

子供「しまるこ〜〜!!」

しまるこ「……」

平日の水曜日に大人二人が来ていることに怪しく思ってもいいもんだが、子供はそこまでは気づかないか。

小生はおばあちゃんの対応には慣れているが、子供の扱いは不慣れである(恐らく同族嫌悪だろう)。すべてFukiさんが対応していた。

Fukiさんは子供がもともと好きなのか、あるいは家庭教師の仕事で小学生と接する機会が多いからか、しばらく子供と遊んでいた。小生は逆立った鳥肌とアレルギーを鎮めるために、ログハウスの一番上の見晴らしのいい場所にひとり仁王立ちして、英気を取り戻すことに専心した。

この広大な自然を前にして、ずっとタバコ吸いてぇなぁ〜と思っていた。この状況でタバコを吸っても、子供たちは、「しまるこ〜〜!」と話しかけてくるだろうか? そんなことを考えていた。

自然観察の森:ミニマリズム

Fuki「この靴、ひどいですよね(笑)もう8年履いてるんですよ。穴ばっか開いちゃって、まともに歩けないぐらいなんですよ。滑ってしょうがなくて。でも縫い合わせたりして履き続けてるんです」

しまるこ「ほう」

Fuki「このGジャンは祖母からの貰い物で、スカートは妹のお下がりです」

しまるこ「姉のお下がりとは聞きますが、妹のお下がりというのは聞かないですね」

Fuki「はぁ、確かに」

8年間ってことは、今Fukiさんは26歳だから、18の頃から履いているということか。ボロボロになるまで、同じ靴を。

18から26歳って、人生の中でいちばん欲が深くて、いちばん新しい服や靴を欲しがる時期だぞ? いったいどうなってるんだ? この物欲のなさは。

しまるこ「私は今の話を聞いて、肥田先生のエピソードを思い出しました。少し聞いてくれますか? 長くなりますが」

父(肥田春充)の平素は極めて質素で、あらゆるものに対して充分の寿命を生かして使いました。柔道着を山着として山奥の水源まで桶の修理にゆく、その山着の修繕は固いので特別の針あてを考案してつくり、常に自分で山着の修繕をして着用しました。柔道にも非凡の才能に恵まれ、青年時代に華々しい思出をもつ黒帯のその柔道着は、こうして幾度も父の手で修繕されて目方だけでも大そうな重さになっているものを、真夏でもこれを着用して汗を流して山から帰って来られたあの様子は私達の瞼から消える事はありません。日常使用したタオルは、二枚ざしにしてボロボロになるまで使いました。水くみ用のセルロイドの桶は、破れれば紐でつなぎ、又穴の個所に綿をつめて、完全に使用に堪えなくなるまで使っていました。絶食の床に就きましてから「私は庭を歩いていても、家の中でも、落ちている小さな糸屑や紙片のわずかなものまでまだ使えるものはみんな拾って自分ひとりの使い料として用に足して来た。この精神を忘れたら、一家の経済を保った上、奉仕の生活は出来るものでない」といわれました。実に奔放活達に行動し、かくれたる国事に私財を投げ出し、晩年は宇宙の人として呼吸していた父が、一家の経済のためにここまで心をつかい私共を養育して下さったのかと愕然、只涙おつるばかりでございました。

しまるこ「という話がありまして、この文章を読むたびに、自分が恥ずかしくなります。物の寿命に達するまで物とあること。物に対する扱いは人に対する扱いと同じだと水野南北も言っています。ラマナ・マハルシも、メモ書きするときは、小さな紙切れの余白を埋め尽くすように書いていたと言われてますし、聖人はみんなこの部分は共通してますね」

Fuki「……」

しまるこ「私は着ないものはすぐに捨ててしまいますし、電化製品は新しいものが出ると、古いものをヤフオクに出して、発売日当日に新しいものに買い替えます。それによって生産性が上がった試しは一度もありません。先月は、アーロンチェアとかなでもののテーブルを買って、そうすると、他の物も一式揃えたくなってしまい、けっきょく35万の出費をしちゃいました」

Fuki「先月は凄かったみたいですね」

しまるこ「何も買う予定ないのに、Amazon内をフラフラするのが好きで、昨晩はこの時計が目に止まり、可愛いというだけで、買う一歩手前までいってしまいました」

Fuki「それは危なかったですね(笑)」

しまるこ「私の経験からしてみても、 モノが何もない部屋にしたがる人間は、人間関係もまっさらに断捨離しようとする人が多い気がしますね」

Fuki「うーん……どうなんですかね」

しまるこ「物を大事にしなかったり、新しいものばっか買い替えてる人間は運気が下がると水野南北も言っていて、胸が痛くなりますな」

しまるこ「今は塾講師の仕事をされてるんでしたっけ?」

Fuki「今は、家庭教師だけですね。週に2日か3日働くぐらいです(笑)」

しまるこ「それで生活できてるから凄い」

Fuki「実家暮らしですから。出ていくお金がほとんどないですから、稼いだ分はほとんど貯金になってます」

しまるこ「はぁ!? 週2日か3日しか働かないのに、それで困ることがないどころか、貯金になってる!? それは凄いことですよ! いったいどれだけの人が週5で働いて、それでもカツカツでやりくりしているか! しかも家庭教師ってことは、1日の仕事時間は3時間くらいでしょ!? いやいやいや、それは凄いですよ!」

Fuki「まぁ、はい、2、3時間ぐらいになりますね」

しまるこ「いやー、俺も上級ミニマリストだと思ってたけど、上には上がいるもんだ!」

Fuki「うちは、親戚同士の繋がりが密というか、私も農業の手伝いをしに行ったりしてますから、60kgの玄米を2つ送ってもらったり、まぁこっちもブドウを送ったりしているんですけどね」

しまるこ「60kgの玄米が2つ送られてくる!? 120kgじゃないですか! 120kgあれば一家だろうが、一年は持ちますよ!」

Fuki「まぁ」

週5で働いて、それでもカツカツで貯金が貯まらない人がどれだけいるだろうか? 信じられん。俺だってどんどん貯金が減ってっているのに。週に数時間働くだけで貯金が溜まっていっているとは……。世の中にはこんなことがあるのか。

Fuki「あ、ちょっといいですか?」

しまるこ「ん?」

地面を見ると、アスファルトの上でへばっているミミズがいた。草木のルートから外れてしまったらしい。

Fuki「暑くて苦しいと思うので」

そういうと、Fukiさんはミミズを掴んで、茂った木々の方へ放り投げた。

しまるこ「物々交換ですなぁ、いやぁ羨ましい。こんなに経済的な家庭は見たことないですよ」

Fuki「でも、お父さんもウルトラワイドモニター買ってましたよ」

しまるこ「へー、そいつは気が合いそうだ。お父さんと会えばよかったかもなぁ」

Fuki「お父さんと会って何するんですか(笑)」

自然観察の森:ハースストーン

Fuki「あの、しまるこさんに会ったら、どうしても一度お聞きしたいことがあったんですが」

しまるこ「なんでしょう」

Fuki「その、ハースストーンというカードゲームの動画をいつも見ているんですよね? YouTubeで」

しまるこ「はい」

Fuki「あれはいったいどういうことなのか、何が楽しくて見ているのかちょっとよくわからなくて」

しまるこ「はぁ。あれは昔、二年前はプレイしていたんですが、今はもうプレイしてないんですね。あのハースストーンというゲームは、マジックギャザリングという有名なカードゲームの、かなりシンプルにしたバージョンみたいな感じですね。カードゲームのいいとこ取りというか、面白さのエッセンスだけを圧縮して、一試合のプレイ時間をかなり短くした感じですね。だから手軽に、激しい頭脳戦が繰り広げられるというか、その火花の美しさに魅せられて、つい見てしまうんですね」

Fuki「うん? ということは、しまるこさんは今はプレイされてないんですか? 今やっていないゲームを見てるんですか?」

しまるこ「はい」

Fuki「え? え……!?」

しまるこ「?」

Fuki「楽しいんですか!? 自分がやってないゲームの動画を見て!?」

しまるこ「楽しいですよ」

Fuki「いや、その、しまるこさんほどの人が、その、なんていうか、そういう時間の使い方をされるのが不思議というか……」

しまるこ「確かに、上級ミニマリストとか言っている人間が、何をそんなに好んで時間をドブに捨ててるのかわからないかもしれませんね。私もよくわかってません。格闘ゲームみたいに、外面的にわかりやすい攻防だと納得しやすいかもしれませんが、カードゲームの数字の暴力が爆発する瞬間というか、盤面にたくさんモンスターが並んでいて、それが一斉に相手プレイヤーに突撃してライフポイントを削りとる瞬間というのは、脳汁の出が計り知れないですよ」

しまるこ「『疾風』というスペルカードがありまして、それがミニオンに付与されると、2回攻撃できるようになるんですよ。盤面に攻撃力の高いミニオンが残っている時に、運良く『疾風』が回ってきて、相手プレーヤーに2回攻撃している展開なんてものは、凄まじいほど数字の暴力を見せられるというか、恐ろしいほど脳汁が出ますね」

Fuki「……」

しまるこ「卓球の先陣特攻型みたいな、短期で一気に勝利を狙うようなスピード型のカードデッキのことを『アグロ』というんですが、私はその『アグロ』の、疾風怒濤に攻め立てるときの勢いというか、あのスピード感に魅せられて、それが見たくていつも見てますね。反対に、試合が長引いて、駆け引きをゆっくり味わうような、いわばカードゲームの醍醐味のようなデッキを『コントロール』というのですが、私はコントロール型の動画は一切見ません。『アグロ』の疾走感は気持ちいいですよ。Fukiさんもぜひ見た方がいいですよ。ヘンリーさんというYouTuberがいちばんオススメです」

Fuki「たぶん……、ぜったい見ると思います……」

しまるこ「?」

Fuki「それはボクシングとかスポーツの動画とかじゃダメなんですか?」

しまるこ「メッシやマイク・タイソンのハイライト動画とか見ますけどね」

Fuki「囲碁や将棋じゃダメなんですか?」

しまるこ「囲碁や将棋はルールがよくわからないし、長いですからね。ハースストーンのアグロ同士だと、すごい火花がすぐに飛び散り合いますからね。ガンガン、ライフポイントが減っていくのを眺めているのがいいんですよ。ボードゲームとかの類の方がその辺の脳汁の出は激しい気がします」

Fuki「それは驚きでした。今日話してていちばんびっくりしました。まさか自分はプレイしないのに、人のカードゲームをプレイしてるところを見て興奮しているだなんて。しかも、しまるこさんは、その楽しみを生活の中でも上位に置いてますよね?」

しまるこ「明後日、楽天ひかりが届くんですよ。今は楽天モバイルのデザリングでYouTubeを見てるんですが、しょっちゅう止まるんですね(笑)せっかくアグロの速い試合運びの展開を楽しんでいるのに、楽天モバイルのバカが、しゅっちゅう回線を途切らすから、どんなにプレイヤーが速い試合運びをしたとしても、楽天モバイルのバカが速さについていけないので、意味がないんですよ(笑)速さだけが大事なのに」

Fuki「そのために楽天ひかりにしたんですか?」

しまるこ「そうです。『アグロ』の試合運びの速さを、そのままの速度で体感するためです」

Fuki「途中で回線が止まっちゃったら、疾走感が台無しですもんね」

Fuki「これから楽しみですね」

しまるこ「ただ、あんまり速いから、試合で何が起こったのかわからないまま見終わってしまうことが多いんですよ(笑)いつも動画の内容は覚えてないですね(笑)」

Fuki「え? うん??」

しまるこ「しかしゲームの実況者は得ですよね。さいきん、ドラクエ11の実況動画を見たんですけど、それが一回一時間ぐらいの動画なんですね。全部で90個の動画だったんですが、90回、つまり90時間、全部見たわけなんです」

Fuki「はい」

しまるこ「それが、一つの動画あたり、100万回ぐらい再生されてるんですね。シリーズものだから、ほとんどの人が、最初から最後の動画まで、ぶっ通しで見てると思うんですよ。一時間の動画を90個分、最後まで全部見てくれる。それが100万人いるわけですよ。恐ろしい収益だと思いますよ。こんなのはゲーム動画以外にありえない。しかも編集も何もいらない。ただゲームして遊んで話しているだけ。羨ましい限りですね」

Fuki「そう考えると凄いですよね」

しまるこ「まぁでも、じっくり自分のペースで遊べないからね。視聴者が楽しむようにプレイしなきゃいけないから、自分の分の幸福を他人に分け与えているんでしょうね。新作のゲームなんて、自分の好きなように遊びたいだろうに」

Fuki「私は、その、ドラクエ11をやっている人が自分のプレイの参考のために見たり、ドラクエ11を購入するのを見送って実況動画で済まそうという人の気持だったらわかるんですが、しまるこさんみたいに、自分がプレイしないカードゲームをただ見るというのが、とても不思議で、本当にびっくりしてしまうんです。たぶん、妹も聞いたらびっくりすると思います」

しまるこ「そうですかね? 友達にも驚かれましたが」

自然観察の森:マッチングアプリ論

Fuki「やっぱりマッチングアプリを使って出会うよりも、YouTubeとかで出会ったほうがいいのかもしれませんね。しまるこさんの記事にもありましたが」

しまるこ「はい」

Fuki「マッチングアプリっていうのは、結局会ってみなきゃわからないじゃないですか。メッセージの交換だって、変人じゃないか確かめてるだけでしょう? 結局、プロフィールや写真だって、本当かよくわからないし。会ったら写真とぜんぜん違かったりするし」

しまるこ「まぁ」

Fuki「会ってみなきゃ何もわからないのに、会うまでに多大のメッセージを交換するなんて、不毛だと思うんですよ」

しまるこ「うん」

Fuki「だから私も、しまるこさんの真似をして、自分のYouTubeで話している動画を、アプリの人に送ったりしてたんです。そうすると、返事がかえってこなくなるんですよね! 別に変な内容を話してるわけじゃないのに、返ってこなくなるんですよ! 動画のほうが人となりがわかるし、わざわざ会わないでも、答え合わせが早く済むんだから、動画を出し合った方が話が早いと思うんですけど、フェアじゃないですよ! だからペアーズの必須項目として動画をあげるべきだと思うんですけど」

しまるこ「その方がアグロですな」

Fuki「友達もアプリやってるんですけど、友達なんてもっと酷いですよ。プロフィールもほとんど書かず、写真も貼らず、一切自分の情報を開示しないんですよ。でも、それなのに、いいねがたくさん送られてくるんですよ! アレはなんでですかね? プロフィールも写真もない相手に「いいね」してくる人は、つまり、誰でもいいってことだよ! その人の人間性を知ろうなんて最初から思ってない、そういう人と会うことほど無駄なことはないよって、私、友達に言っちゃったんですけど。でも、不思議なんですよねー、それなのに、友達、私よりずっといい人と出会っているんですよ」

しまるこ「ほう」

Fuki「だから、なるべく会う前に、晒せるものは晒しあった方がいいと思うんですが。やっぱりフェアじゃないですよ」

しまるこ「普通はYouTubeを顔出しでやろうとは思いませんよ。Fukiさんは度胸がある女性だと思います」

Fuki「そうだと思います。度胸がなかったらしまるこさんに会おうとは思いませんよ」

しまるこ「?」

Fuki「しまるこさんに会うのは、勇気がいります。いつも、凄い洞察力じゃないですか。何でもぜんぶ見透かされてる気がして。今もいったい何を思われてるのか……。女性研究YouTuberですもんね」

しまるこ「……」

しまるこ「アーサー王物語の中で、『すべての女性がもっとも望むことは何か?』という、アーサー王が悪い騎士に捕らえられて、命を助けることと引き換えに出された謎かけがあるんですが」

Fuki「?」

しまるこ「王は、1年後に答えを持ってくることを約束して、ほうほうの態で逃げ帰ったんです。そして、何でも知っているという老いた魔女が答えを知っているという噂を聞きつけて、険しい冒険の末に、カシの木とヒイラギの木の間にいる老いた魔女を見出しまして。ちょうどこの『自然観察の森』みたいな森だったかもしれませんね。この森にも老婆がいるかも」

Fuki「はい」

しまるこ「たぶん、いたら、こんな姿をしていると思うんですが」

Fuki「私じゃないですか(笑)」

しまるこ「魔女の答えは、『自分の意志を持つこと』だったんですね」

Fuki「はい」

しまるこ「Fukiさんの、あの漫画(雨宿りをしよう)で、就職活動を放棄する宣言をして、教師達から白い目で見られるシーンがありましたよね。いいんだ、私はやってやる。いいから見てろ、私はやってやるんだという、Fukiさんのああいうところは尊敬します。危険なところに自分を置いて、よくわかんないけどやってやろうとする意志」

「もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立ちます」

しまるこ「村上春樹のエルサレム賞のスピーチを思い出しますな」

しまるこ「いつだって人生はやるかやらないかの2択しかない。プロ奢ラレヤーのツイートにも、ありましたな」

しまるこ「あと、もうひとつ。Fukiさんのブログの、ベルギーでのWWOOFの体験談。ステイ先の環境があまりにもひどくて、置き手紙だけ残して、夜中にこっそり抜け出すシーン」

今日の夕飯は、フライドポテト。。(だけなの??)

それより今夜は初めての顔合わせ。おしゃべりして、仲良くなるぞ〜。

と息込んでいたのですが、しかし、家族はみなフランス語で喋っていて、私は会話になかなか入れませんでした。

案内されて行ったのは、家から歩いて1分ほどのところにある、草むらの中のテント。

外は、しとしとと雨が降ってきました。

「ここがいつもウーファーの泊まるところ。雨が降ってるから、中が少し濡れてるわね…。

マットレスと寝袋が3つあるから、濡れてないの選んで使って」

こんなことでヘコタレちゃいけない。現代の生活様式に慣れきっちゃいけないんだ。生きるってほんとは泥臭いこと。経験経験。湿ったマットレスが何だ。自然のトイレがなんだ。風呂無しがなんだ。がんばれ…。

がんばれ…。

次の日の早朝、置き手紙を残し、まだ陽が昇りきらない頃、誰にも言わずにそっと農場を立ち去りました。

日が昇って間もない道は薄明るくて、肌寒くて、道から見える森は、霧が立ち込めていて暗く、近くで聞いたことのないほどの沢山の鳥がさえずっていました。

森が、とても深くて、怖かったです。

そして私は途方もなく一人ぼっちで。

でも、こんな時間に、こんなところを一人で歩いていて、ああ、私の足以外に私を動かせるものはないんだと、そう強く感じました。

こんな知らないところで、山奥で、せっかく訪れたこの場所を2日もしないで抜け出して、ほんと、誰もが予想もしない行動に出ちゃったけど、それよりも、「私はこうする。」と決めたことは、自分の体と意思がある限り実行できるんだなあ。ということにつくづく驚いていました。

大学在学中に知った、「自分で決めること」の重み。

自分の体と意思以外に自分を動かせるものはないのだということの再実感。

何度も何度もこの事実に驚く。

その進んでる方向が、正しいのか正しくないのかなんていつも分からないけど。

やりたいことと、やらなきゃいけないこと。

逃げちゃいけない場所と、逃げてもいい場所。

私はどこに立っているか分からない。

どこに向かえばいいのか分からない。

でも私はあの薄暗い道で、自分の中で、「楽しい」ことが何より大切だ。ということにカチッと軸が定まったような気がしました。

逃げてもいい、逃げてもいい。

わたしはいつだって、逃げてもいいんだ。

しまるこ「まるで敗戦国の兵士が命からがら逃げ帰っているような、遠足で迷子になってしまった子供のような、道なき道をポツポツ歩く、あの孤独さ。知らない国、知らない森で、誰にも頼れない、世界に立った一人取り残されたような気分だったでしょうな。いっそ倒れてそのまま土に還ってやろうかと思っても、歩く。あれは、意志が歩いているんでしょうな。あの記事はなんかずっと心に残っています」

しまるこ「しかし、誰にもああいう夜っていうのはあるかもしれませんね。みんな、JPOPの歌詞を読んで感動するのは、誰もがああいう夜を過ごしたことがあって、その夜がもう一度呼び起こされるからでしょうな。共感と言ってしまえばそれまでですが。私もアイルランドの森の夜道を一人歩いているような、そんな詩的な空間にいざなわれましたよ」

Fuki「ありがとうございます。聞けてよかったです。あのシーンが、そんなに誰かの胸に届くとは思っていませんでした」

しまるこ「雨宿りの完全版に、ぜひ挿入してください」

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