りり「それで、31歳の174cmの女性とは連絡とってるんですか?」
しまるこ「とってないよ」
しまるこ「こんど卓球に行こうってことになったんだけど、11月は予定がいっぱいらしくて、12月のシフトがでたらまた連絡しますって言われて、それで待ってる感じ」
りり「11月は全部埋まってるんだ。忙しい方なんですね」
しまるこ「仕事終わりの20時以降は空いてるって言われたから、その時間を誘うこともできるんだけど」
りり「誘ってるんですか?
しまるこ「誘ってないよ」
りり「なんでですか?」
しまるこ「一緒にごはんする気がないから」
りり「じゃあもう終わりじゃないですか」
しまるこ「でも卓球はしたいんだよね」
りり「普通にごはん食べに行きたいとか思わないんですか?」
しまるこ「思わないよ」
しまるこ「卓球だけ」
りり「女性をなんだと思ってるんですか?」
しまるこ「ね」
りり「福原愛ちゃんと結婚すればいいじゃないですか」
しまるこ「向こうがいいっていうならするよ」
りり「今はLINEしてないんですか?」
しまるこ「してないよ。12月の卓球できる日を教えてくれるのを待ってる」
りり「本当に卓球のことしか考えてないんですね。どれくらいLINEしてないんですか?」
しまるこ「5日くらい」
りり「のんきですね」
しまるこ「他になんかすることあんの?」
りり「だって、今、しまるこさんとその女性を繋ぐものって、LINEしかないわけじゃないですか」
りり「LINEが面倒くさいかもしれないけど、今はLINEしかないわけじゃないですか。そりゃいくらLINEやっても、会わなければ、本質な意味では親密度は深まらないかもしれないけど、今はLINEっていう細い糸口を頼りにやっていくしかないわけでしょう?」
りり「この先LINEなんてなくても気にならない関係になるかもしれない。何も話さないで二人でボーッとテレビを見ていられる関係になるかもしれない。だけど今はLINEしかないわけでしょう? なんで私とこうして電話するのに、その女性とはしないんですか? いまかければいいじゃないですか」
しまるこ「りりちゃんからかけてきたんじゃん。向こうからかけてきたら俺だって出るよ」
りり「なんでそんな受け身なんですか? 好きって気持ちがないと……、好きっていうか、もっと近づきたい、あなたのことが知りたいって……、そういう気持ちをもっと表現して、今のしまるこさんとその女性の距離間の中で、近づけることをやっていかないと……、それしかないわけじゃないですか」
しまるこ「面白いよな。出会い系のアプリをひらけば、現在“オンライン中”って公式が親切にも教えてくれるから、二人とも絶賛バリバリ出会い系進行中ってことがわかるわけ。それなのに、『今日は楽しかったです』『また会いましょう』『次はいつ会えますか?』ってメッセージ送って。僕はあなたを選びました。あなたに近づいていきます、という意思表示をして(笑)」
りり「それが何なんですか? だってそういうもんじゃないですかアプリって。まだ付き合ってるわけじゃないんだし」
しまるこ「いや、別にいいんだけどね。全員と出会った上で俺のことを評価してほしいんだよね。ちゃんと全員と会って、その上で俺がいちばんよかったという気持ちで挑んできてほしいね。野放しスタイルだね」
りり「ドン引き」
しまるこ「だって、それくらい大事なことじゃん。たぶん11月の予定は、アプリの他の男と会う予定で埋まってるから俺と会えないんだよ。向こうも、今やり取りしてる男と全員会った上で結論を出したいと思ってるはずだよ。たくさんの男と同時進行している中で、一度会って保留にしている男から、毎日のようにLINEが送られてきたら、管理が大変でしょ? だからLINEをしないことで管理の手助けをしてあげてんの」
りり「うわぁドン引き」
しまるこ「(笑)」
りり「それ、本人の前で言ってあげたらどうですか?」
しまるこ「なんでそうなるんだよ。こういうことは言葉にしないで、水面下でこそ輝く優しさじゃん」
りり「それって、そんなに好きじゃないってことですか?」
しまるこ「どうだろうね」
りり「一刻の猶予も辞さないくらいに追いかけないと、女の子は離れていってしまいますよ?」
しまるこ「女の子って歳でもないけどね。もうどこかに出かけるとか、ランチとか、面倒くさいって顔してたけどな。それが面倒くさいから結婚する的な。でも結婚すれば、いろいろスッキリして、どこかに出かけたくなるかもしれないって顔してたよ」
りり「やっぱり、その、構え?の姿勢がムカつきますね。しまるこさんは、その女性のことは好きじゃないんですか?」
しまるこ「まだわかんないよ。一回会っただけだし」
りり「でも、一目見れば、自分の運命の相手かどうかわかるって前に言ってたじゃないですか」
しまるこ「そうだね」
りり「運命の相手じゃなかったんですか?」
しまるこ「そうかもしれないね」
りり「じゃあ引けばいいじゃないですか」
しまるこ「そうかもしれないね」
りり「なんで誘うんですか?」
しまるこ「なんとなく」
りり「なんとなくで31歳の女性を誘うんですか!?」
しまるこ「(笑)」
りり「はっきりしませんね」
しまるこ「はっきりしないね」
りり「本当に卓球したいだけなんですか?」
しまるこ「そうだよ」
りり「じゃあ卓球してくればいいじゃないですか」
しまるこ「だからするっていってんじゃん(笑)」