人間考察

ルフィはなぜナミとセックスしないのか考える

ルフィ19歳、ナミ20歳。いちばん性欲が亢進する時期である。

ルフィはナミのことをどう思っているのか? ナミが女として魅力がないわけがない。胸は大きくてスリーサイズは抜群で、腰は折れそうなくらい細いのに出るところは出ている。外人体型をしていて(外人なのだが)、弾力性がありそうで、どこかの麦わら帽よりもよっぽどゴム人間である。「あんたたちどうせ手出してこれないでしょう?」と言うかのように、ほぼ裸のような格好で船内をほっつき歩いている。きらめく大海の景色も相まって、パイオツカイデーとはまさにこのことだ。

ルフィほど欲求にまっすぐな男はいない。食べ物を前にすると一心不乱に食い散らかし、新しい島を見つけると目を輝かせて飛んでいき、寝るときは船が揺れるほどのイビキをかいて寝る。そして海賊王になりたいと毎週のように言っている。よく食べてよく寝てよく戦い、これほど欲求にまっすぐな人間が、「性欲だけ別」なんてことがありえるだろうか?

そして19歳という若さ。そして童貞ときたら、日中はエロいこと以外は考えられないはずだ。実際、ルフィは戦闘中にエロいことが頭をよぎって危険な目に遭うことがあった。

「ゴムゴムのバズーカ!」

スルっ

「あれ? おっかしいな」

ゴムゴムのバズーカは敵のはるか上空200メートルを通り過ぎた。敵は(どこ狙ってんだこいつ?)と思った。そして、ニヤリと笑ってルフィを目掛けて襲いかかってきた!

(しまった! 間に合わない!)

ルフィの突き出された両の手は、雲の美女の胸を掴むかのように止む勢いをしらない!

「おいルフィ!」

(ロビンとクロコダイルは肉体関係があったのか)

「ルフィ!」

(ビビの、自国の兵士が死んでいくときの泣き顔、可愛かったなぁ。)

「ルフィ!!!」

(レベッカは、どうしてあんなに面積の小さい鎧を着てるんだ? あれじゃ敵の攻撃防げねーだろう。)

「三千世界!」

居合わせたゾロが代わりに敵を切った。

「おーサンキューゾロ!」

ゾロはルフィの胸ぐらを掴んだ。「てめぇなにやってんだふざけてんのか」「わ、わりぃ……」「てめぇがそんな頼りねぇ船長なら俺はこの船おりるぞ」「………」

とどめを刺さなければならない肝心なタイミングで、ゴムゴムのバズーカは、緩いコンドームのように外れてしまうのである。「ルフィさん、笑い事ではありませんよ。もしゾロさんがいなかったらルフィさんはここで死んでいました。一味の命運はここで尽きていましたよ。今回はなんとかなりましたが、これが『四皇』だったらどうでしょう? 勝負は一瞬の隙が命取りになりますよ? まあ、ワタシ死んでるんですけど、ヨホホホホ!」とブルックにまで諭される始末だった。

ある日、ルフィは夢想していた。サニー号の船首がルフィの特等席になっているが、これは誰にも邪魔をされずにエロいことを考えるためである。ルフィはデッキの掃除をサボって、ここで見聞色の覇気を総動員させて、エロい夢想に耽るのが常だった。真昼間にやるので、海上に浮かぶ太陽の熱線が頭に射し込んできて、ぼうっと頭から湯気が立ち、ゆでダコのようになってしまった。気づけばルフィは大の字になって甲板に倒れていた。

「まあ……」

ロビンがいちばんはやく反応した。

「むう、これは……! 見事なイチモツだのう! 魚人族にも劣らぬわい!」と海で水遊びをしていた海峡のジンベエが言った。

「わははルフィ! ちんこだけは立派な海賊王だな!」小島に照準を合わせて射撃練習をしていたウソップが言った。

「今日の夕飯はゴムチンコソテーの麦風味に決まりだな」タバコに火をつけながらサンジが言った。

「大業物21工『閻魔』より切れ味が鋭そうだぜ」腰に差した刀を抜いて、キラリと刀身を光らせながらゾロが言った。

「大砲と間違えるとこだったじゃねーかルフィ! 砲弾も二個ついてるしよ〜」コーラを一気飲みしながらフランキーが言った。

「おれ、敵が来たら、ルフィのちんこの陰に隠れるよ!」と海上要塞を見つけたようにチョッパーが言った。

こんなことは日常茶飯事だった。本誌に掲載される月曜日を除き、火曜日から日曜日はずっとこんな調子だった。『麦わらの一味は変態の集まりだから気をつけろ!』と、どこの港町の酒場でも噂され、鳥カモメが配達する海上回覧板にも一面トップ記事で書かれていた。このような惨劇を回避するため、シャンクスはルフィに麦わら帽子を託したのである。ルフィのエロすぎる性質を見抜き(なんと7歳のルフィから)、勃起したちんこをいつでも隠せるようにと、麦わら帽子を託したのである。

ナミはルフィのことをどう思っているのか? ナミがルフィのことを好きなのは間違いない。アーロン編であれだけのことをしてもらったのだから、ルフィ以外の男と結婚しようとは思わないはずだ。これでもし他の海賊と結婚しようものなら、一生ヤリマンと揶揄されるに違いなかった。そんな世間の目もあった。しかし幾度となくグランドラインの荒波を越えてきたこの豪傑女航海士にとって、故郷のココヤシ村の男達はもちろん、その他大勢の海賊は水泡に等しいものになっていた。ルフィ以外の男など水泡に等しい。

「ルフィが海賊王になるまでがまんがまん」ナミはスケベな身体に反し律儀なところがあった。将来は海賊王の嫁になるんだからそれまで待とう。もしルフィとはダメだったら麦わら海賊団の中から別の男を選べばいい。このままでいい。このままでいいんだ。アーロン編に見られる通り、ナミは小さい頃から自分に嘘をつくのは慣れていた。このままずっと仲良し海賊ごっこを続けるんだ。今は青春活動の時期。大空を見上げると、鳥カモメが飛んでいた。「お願い鳥カモメさん、私の恋心も運んでいって」波のまにまにを漂うサウザンドサニー号のように、乙女心は揺れていた。

ナミは二階のテラスでサンジが作ってくれたトロピカルジュースを飲みながらルフィを見ていた。やはりルフィは子供に見える。そもそも麦わら帽子にタンクトップという格好が、虫取り網を持ってカブトムシを追いかけている小年と変わらない。色気という面では絶望的だ。この前も、全裸になって麦わら帽子を股間にあてて「ルフィ100%」と言ったり、手を滑らせて帽子を落とし、「安心してください履いてますよ!」といって、ウソップとチョッパーを爆笑させていた。これにはナミも乾いた笑いしか出なかった。

船員みんなで水着に着替えて海で遊ぶ流れになったとき、ナミは「今日はちょっと……」と言ったが、ルフィは聞かなかった。「なんだ腹でもいてーのか?」といってイシシと笑って、ナミを水鉄砲で射撃した。ナミは「今日はダメな日なの!」と何度も言ったが、ルフィの引き金を引く手は止まらなかった。トイレに備え付けられたナプキンケースを見ても、「なんだぁ、こりゃあ、おしめかぁ? お前まだ寝ションベン直んねーのかぁ?」と言って、その時もイシシと笑って水鉄砲で撃った。これにはナミもさすがに辟易した。汚物ケースには使用済みナプキンが入っており、ゾロやサンジはそれを見て見ぬふりをするが、ルフィは不思議がって開いてしまう。なんだこれ? 血がベットリだ。誰か怪我してんのか? ここで戦闘があったのか? 船長がいないところで勝手におっぱじめやがって! しょうがねぇなぁウチのクルーどもは! それともウンコか? と不思議がり、ナプキンを広げながらナミを見て、イシシと笑うのだった。

ある日、ナミが甲鈑で洗濯をしていたら、水面にどんぶらこ、どんぶらこ、とポルノコミックが流れてきた。ナミは慌てて周囲を見渡し、誰もいないことを確認すると、思わず手に取ってしまった。「な、なななななな! なにこれ!」と、ナミは顔が真っ赤になり、斧手のモーガンのようにぶんぶん振り回して、再び海面に向かって投げてしまった。その瞬間、「シンコ・フルール!」と声がして、空中から手が生えた。

「あーら泥棒猫さん、こんなのただのBじゃないの」ロビンがクスクスと笑った。「えっえっ、AとかBとか私、しらないし!」ナミの顔はエースの火拳を顔面に受けたように赤くなっていた。「もうロビンのバカ……!」ポカポカとナミはロビンの肩をたたいた。

ロビンにだけは負けたくなかった。ナミはロビンに劣等感を感じていた。航海術だったらロビンにも負けない。しかし精液の航海となると完敗すると思った。ロビンもルフィのことを好きなのはわかっていた。互いの胸の内を明かしたことはなかったが、女同士、同じ人を好きになった者同士、わかりすぎるくらいわかっていた。エニエスロビー編であれだけのことをされたのだから、好きになるのは当然だ。政府から指名手配をされている第一級危険人物を匿うことは、この船にとってとてつもないリスクなのに、当然のような顔をして居座っていることも気にいらなかった。(この娼婦が)ナミは自分のファッションを棚に上げて、ロビンがハレンチな格好をしていることも気にいらなかった。

バスターコールで死ねばよかったのに。「生ぎたい!」じゃねーよ「死ね!」なーにが考古学者だよ! 古いエロ本集めてるだけのくせに! どうせ裏社会を身体で渡り歩いてきたんでしょ? オハラのビッチが! お前が歩いたあとの床、ザーメンがベトベトして汚ねーんだよ! 私が泥棒してきて稼いだ金の大半が雑巾代に消えてんだよ! ハナハナの実じゃねーよハナクソが!

「あーあ、今日も進展ナシ……か」

毎日、変わりなく漂う海のような、片想いが続いた。

怖いよルフィ。敵の海賊たちがイヤらしい目で見てくる。海軍もイヤらしい目で見てくる。そのうちレイプされる。賞金額30億ベリーのルフィじゃなくて6600万ベリーの私の方を狙ってくる。こんな生娘を戦場に連れ回すなんて、どういうつもりルフィ? いつも強がっているけど、私はセックスはおろかキスひとつしたことがない生娘そのもの。あなたのために綺麗でいるのに、あなたのためにヘソを出しているのに、あなたのために純潔でいるのに、七武海も四皇もエロい目で見てくる。もうすぐカイドウにレイプされる。この前カイドウずっと私のことをエロい目で見てた。あんなにでかい生物のでかいチンコを挿れられたら……。お願いルフィ、カイドウにレイプされる前に……

「本日の空は湿度・風共に安定し高気圧ともなう晴々とした一日になるでしょう。しかし一部地域にのみ蜃気楼や”雷”の心配が必要です。落雷にご注意ください」

ナミはクリマタクトを股間に突っ込んだ。

「サンダーボルト=テンポ!」

「ビリビリビリビリ!」「ああ! ルフィ! ルフィィィーーーーーッッ!!」ナミの身体に電撃が走った。黄色い光を放ちながら黒煙がプスプスと上がり、女版ブルックになったかのようにスケルトン様になっていた。

「ナミさん……」

ピカピカと発する光が、帆柱の陰で覗いている男を映した。男の足元にはタバコの吸殻が34本落ちていた。

ある夜、おぞましい音にルフィは目を覚ました。なんだこの音は。嵐が吹き荒れるような、それでいて涙にくれる詩人がハープを奏でるような音は。野鳥か? 海王類か? 幽霊船の亡霊か? 胸が締めつけられる、切なくて苦しくなる音だ。そして性腺が刺激される。甲鈑から聞こえる。ルフィは甲鈑に行った。なんと、ナミとサンジがセックスしていた。

「お、おいサンジ、お前、何やってんだ」

ルフィは、あられもない格好で今まで見たこともない顔と声をあげているナミと、それを羽交い締めしているサンジを見た。普段から裸に近い格好だったナミは、やっと最後の一枚を剥ぎ取ったような清々しいほどの全裸だった。

「何ってセックスだが」

サンジはタバコを吸いながら答えた。

「セックスってお前、俺の船で何やってんだ」

「あ? 船長だからってクルーの性事情にも口出すのかよ」

「い、いや、そうじゃねーんだけどよ」

「っち、船長風吹かしてんじゃねーぞ」

サンジはタバコの灰を船床に落としながら言った。今日、チョッパーが一生懸命にデッキブラシで磨いた床だった。

「入船時に不純異性交友の規約は交わさなかったはずだが?」

「そ、それは……」

「海賊がセックスしなくて何をするんだルフィ?」

「でも、お前、セックスって……」

「若い男女が一日中ずっと同じ船にいて、何も起こらない方が不自然だろうルフィ。全身コンドーム人間のお前は、そうやってコンドームの内側から外を眺めていればいい。この広い海で籠の中の鳥のように、俺たちのセックスを見ていればいい」

「…………」

「どうした? 余った皮が気管に詰まってチアノーゼを起こしてるのか? 大変だな包茎人間は」

「ちょっとサンジ君!」

サンジの悪魔珍棒(ディアブル・チンコ)を挿入されながらナミが言う。

「ルフィ。こっちはな、『うちの船長包茎ですみません』って、いつも土下座してまわってんだぞ」

「サンジ……てめぇ……」

「お前がなんでナミさんに手を出さないか知ってるぜ。悪魔の実の能力者は、海水を浴びると弱体化してしまう。海水の潮は、精液に含まれる潮と同じ成分なんだ。能力者は手マンによる吹き返しを浴びただけで動けなくなってしまう」

(だからチョッパー動かなくなっちゃったんだ)

ナミは合点がいったような顔をした。ナミは夜な夜なチョッパーを部屋に連れ込んで股間を舐めさせていたのだ。

「あーよかった! 悪魔の実食わなくて!」

サンジはまたタバコの灰を床に落としながら言った。

「まったく乗る船を間違えたぜ。海上レストランの頃はよかった。毎晩乱交パーティだった。ゼフのクソジジイとみんなでクソきもちいい! クソきもちいい! ってやってたなぁ~!」

「…………」

「ルフィ。俺はお前のこと認めてるんだぜ? お前のそのギガント・チンコ(巨人族のちんこ)、射精したらどえらいことになる。見たこともない量が放出されるだろう。ゴムのポンプ作用が手伝うことにより、グランドライン全域が埋め尽くされ、すべての船が粘液で絡め取られて航海不可能になる。そうしたら、その時点でお前の海賊王が決定だルフィ。やったな、ルフィ、おめでとう! ウワサではゴールド・ロジャーはそうやって海賊王になったらしい。白ヒゲの白もそういうことらしい。海に向かって一発オナニーで海賊王だ。夢があっていいじゃねーかルフィ! 大航海時代あらため大童貞時代ってな! しかしそこまでの射精をしたらゴムが伸びきってはち切れてしまうかもしれんな。そうなると俺が海賊王ということになる」

「海賊王に、おれはなる!」

「俺がなるって言ってんだよばーか」

「決闘だサンジ」

「いいぜ。かかってこいよ。麦わらのルフィ。いや包茎のルフィ」

「ちょっと2人ともやめてよ!」

「ナミ、お前は黙ってろ」

二人は対峙した。二人が互いを見る目は、すでに船員として向けられたものではなかった。

「あ、ロビンちゃんが百花繚乱(シエン・フルール)で全身をあまねく愛撫してる!」サンジが3時の方角を指差すと、「なに!?」と、ルフィはゴム人間ではなかったら首が折れてしまうほどの速さで振り向いた。

「悪魔風脚(ディアブル・ジャンプ)! 首肉シュート(コリエ・シュート)……!」

サンジはその隙を見逃さなかった。電光石火の蹴り技が炸裂した。凄まじい音がした。

「ぐああ!」

ルフィは吹っ飛んだ。ぼちゃーんと激しい水の音がした。なんとルフィは海に落ちてしまった! 30億ベリーの賞金首だろうと、悪魔の実の能力者は海に落ちれば小魚より戦闘力は劣る。

「ルフィ!」

ナミは海に向かって叫んだ。

「助けないと! はやく助けないと! ルフィが死んじゃう!」

夜の海は暗く深く、これまでの航海の記録をすべて呑み込んでしまいそうな無慈悲な顔をしていた。海のこんな表情をナミは見たことがなかった。

「さあナミさん、悪い海賊の親玉はいなくなった。こんな船は売り払って、一緒に海上ラブホテルを経営しよう。ルフィの死体を海軍に引き渡せば30億ベリーが手に入るから、それも足しにしよう。さあ、夜通しでパーリナイだ!」

『『『『『パーリナイ!!!』』』』』

こうしてサウザンドサニー号は航路を引き返し、海軍本部基地のあるマリンフォード島へ向かっていった。

ゆらゆらと水面に浮かぶ麦わら帽子を残して。

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