まあ、別に大した内容じゃないけど、なんとなく普通に生活していて、どうしても思ってしまうことがある。
「残飯お届け屋さんサービス」
残飯を回収する車が、ぐるぐると色んな飲食店を回って、ラーメンなりケンタッキーなりドトールなりコンビニなり、片っ端から残飯を回収する。三ツ星レストランだろうがすき家だろうが、ありったけ調達してくる。そして、それを売りさばくというシステムだ。
売りさばくのは、店舗を持ってやってもいいし、お客さんの自宅に届けてもいい。
店舗なら、500gの残飯を抱き合わせにして、100円~300円で売る。基本的には300円を越えてはならない。
自宅お届けコースなら、月額契約で5000円。
どうだろうか?(笑)
消費者をバカにしたシステムだと思うだろうか? 人間を犬や猫のように扱ってると思うだろうか?
俺はこのビジネスは大成功すると思っている。
とにかく安ければそれでいいという人がいる。お腹いっぱい食べれればそれでいいという人がいる。
まぁ、安さだけでいうのであれば、普通に80円で売られてるキャベツやレタスや大根を丸ごと一個食べればお腹いっぱいにもなるし、栄養もある。
そこまでしなくても、パスタ麺を5キロ買って納豆をかけて食べていれば、空腹には困らない。それで月の食費なんて5000円以下に収まる。
しかし、それじゃあどうしても嫌だ……! もっと美味しいもの食べたい! 色んなもの食べたい! ラーメン食べたい、コンビニ弁当食べたい、ドトールのパン食べたい! という人もいるだろう。
飲食店で廃棄される残り物を見て、なんだよ、捨てるぐらいだったら俺にくれよ! 全然食べられそうじゃん! 金払ってないから俺に食べる権利はないって? でも、ゴミ箱に捨てて、然るべきところへ運ばれて焼却されるのと、俺の胃の中で消えるのと何が違うっていうんだ!
飢えている人間を前にして、食べ物を廃棄する……? なぜそんな嫌味なことをするんだ!?
ゴミでもいいから食わせてくれ! 身体がおかしくなっても文句は言わない! すべての責任は俺が持つ! 俺がそう言ってるんだからいいだろう!?
……と、
そう考える人はきっと多いだろう。
そこらの名を馳せている栄養学のペテン師たちは、身体に良い物だったら、沢山摂りなさいという。野菜も果物はたくさん食べなさいというけれど、
さらにその上の食の賢人がいうには、身体に良いものをたくさん食べるよりは、身体に悪いものを少量食べる方がまだマシだという。例えばルイジ・コルナロ、二木謙三、甲田先生もそんなことを言っていた。質よりも量の方がずっと大事だと。
甲田先生は、500グラムの採れたての5種類の野菜をたくさん混ぜてガブガブ飲んでいたときは、あまり体調が優れなかったと言っている。量を半分以下に減らしたところ快調になったそうだ。
まぁ、この『残飯お届け屋さんサービス』は、霊性指南としては非常によくないビジネスモデルかもしれないが、これはこれでいいのだ。
きっと多くの人が救われる。単純に仕事を辞められる人が増えるだろう。
『健康上の責任は取れません』と銘打っておけばいいだろう。治験と一緒だ。
例えばドトールでは、「熱々ミラノデミグラスビーフと3種のチーズ」というサンドイッチが458円で売られているけど、これは大変美味しそうなのだが、たまに半分くらい食べかけで返品棚に戻されている。そしてゴミ箱に捨てられる。これはもったいない。
この食いかけを、30円くらいで販売してしまいましょう、ということだ。まぁ量によって、値段は変わってくるけど。
一品の食べかけだと、量が足りないから、いろんな店のいろんな食べかけを詰め合わせて、500グラムにして、売りさばく。100円くらいで。色んな味が楽しめる仕様だ。
あー、安くてお腹いっぱい食べたい。自炊も面倒くさい。でも外食もヤダなぁ。外食で1回500円も取られるのは馬鹿げてる。1回100円でお腹いっぱい食わせろよ!
そう考えている人は多いだろう。
店のスタッフは、回収した物を抱き合わせで売り付けるだけだから、それほど大変でもないだろう。
あるいは、バイキング形式にして、大きなテーブルの上に、集めてきた食べかけの食品をいっぱいにのせていって、グラム数によって換金するようにすればいい。
これなら楽だ。なるべく見た目は綺麗にしてあげた方がいいだろうが。
俺はドトールに毎日行くが、一度もアイスコーヒー以外を注文したことはない。しかしいつもミラノサンドやシフォンケーキを食べたいなぁと思っている。
そんな風に食べたいなぁと思っていた矢先に、たくさん残されて返却棚に置かれているのをみると、俺にくれねーかなぁ? と思ってしまう。
口で頬張った形跡はあるけれども、全然構わない。美味しそうだなぁ、と思う。
ラーメンの食べ残しは無理! という人もいるだろうけど、俺は全然平気だ。スープの余りを飲み干したくなる。
まねきねこでアルバイトしていた頃は、よく客が残していったポテトやチキンなどをガツガツ食い漁っていた。冷めたラーメンの汁まで啜っていた。
今は健康意識が高くなり、生の自然食と蕎麦を食べるくらいだが、昔は意地汚かった。
こういうビジネスをやったら、店舗にやってくる客層はひどいものになるだろう。深夜のドンキにやってくるような、汚いトレーナーを着た、頭にケチャップついてるような人達がいっぱい押し寄せてくるだろう。
出入りしているところを近所の人に見られたら、変な噂を立たれるかもしれない。子供は学校でいじめられるかもしれない。指をさして笑われるかもしれない。「残飯小僧」とか、「歩くリサイクル小僧」とか言われるかもしれない。
まぁ、百均は相変わらず人気なようだし、定額制のサービスだったり、今ではYouTubeなり、コンテンツは無料で消費するのが当然となっているし、世の流れにのっている方だろう。
店側にとっても、ただゴミとして捨てるよりも、いくらか換金された方がいいだろう。
店には、1キロ回収するごとに500円くらい支払えばいいだろう。
コンビニの弁当はすごい早さで入れ替わるけれど、賞味期限を1週間過ぎたところで、腹を壊すことはないだろう。
世の中には、そんな残飯でも食わしてくれ! 腹が壊れようが責任は自分で持つという人間がいる。
とにかく、ワンコイン、ワンコイン! という人がいる。
彼らに向けたサービスが、今必要なのである。