友達「宇宙人による宇宙人の物語が、人類最高の漫画として君臨してるっていうね」
しまるこ「しかし絵がうますぎる」
友達「あの漫画だけ絵が違うよね。立体人形が飛び回ってるみたいだもん。異様に読みやすいし」
しまるこ「ページから飛び出てきそうな迫力だもんなぁ」
しまるこ「画力でなんとかなってるところがあるね。あれが小説だったら売れなかっただろう」
友達「小説だったらつまんないだろうなぁ」
友達「まったく作家のエゴのようなものがないよね。読者のために尽くしてくれたというか」
しまるこ「それがよかったんだろうね。鳥山さんが好きなように書いた作品はつまらないからなぁ。貯金戦士キャッシュマンだっけ?」
友達「キャッシュマンは悪いとこが全部出ちゃった感じだね」
しまるこ「ドラゴンボールは全体が描いたんだよ。全体が表現されるべきお題を鳥山さんに提示して、それを鳥山さんが見事に答えた。そうとしか思えない」
友達「今更だけどさ、悟空の髪型凄すぎない?」
しまるこ「あれは何だろうね。冷蔵庫や電子レンジの発明より凄いと思う」
友達「あんなに奇抜なのに、オーソドックスにしか見えないもんなぁ」
しまるこ「キャラクターデザインにおいては、もうあれ以上は出てこないだろうね」
しまるこ「唯一ポケモンくらいじゃない? 少し迫ることができたのは」
友達「ミュウツーはビビッたね。あの辺りから、すごいキャラデザインって出てきてないよね」
しまるこ「最近だと何だろう? 妖怪ウォッチ?」
友達「妖怪ウォッチはひどいね」
友達「妖怪ウォッチの、あの猫みたいなヤツ? あれが一番顔なんでしょ? ポケモンでいうピカチュウみたいなことでしょ? 顔があれじゃあヤバいでしょ」
しまるこ「モンストやパズドラも酷いもんだね。いったい何番煎じだよっていうね。ドラクエとポケモンに全部吸い尽くされちゃって、どのデザイナーも焼け野原で必死に残り物を漁っているように見える」
友達「もうこれしかないという完璧な答えみたいなもんだもんな。スライムなんて、答えだよな。ひとつの」
しまるこ「あれ以上のスライムはもう出てこないと言いきれちゃうよね」
しまるこ「キラーマシンもグレイトドラゴンも、もともと存在していたものを発掘したみたいだもん。創ったんじゃなくて、見えたんだろう」
友達「色もすごいよな。悟空のオレンジの道着なんてさ、色が一つ違ったら、アウトだもんな」
しまるこ「はやぶさの剣や、ドラゴンキラーまで、武器までやってのけるっていうね」
友達「ストーリーだったらスラムダンクの方が面白いと思うんだよ」
しまるこ「ストーリーは……(笑)」
しまるこ「ワクワクしただけで殴り合う(笑)」
しまるこ「あのキャラクターを発掘した時点で成功は決まってたんだろうね。ストーリーなんてあってないようなもんだ。キャラクター達のアクションを視覚的に追っているだけで、これ以上ないストーリーになってる」
友達「気とかエネルギーとかかめはめ波とか、空飛んだり、上半身裸で戦ったり、あれを全部最初に思いついたのはイカれてるね」
しまるこ「漫画を進化させるために天から送られてきたんだろう。手塚治虫が『彼は僕の後継者』と言ったのは、そういう意味だろう」
しまるこ「多分、究極のキャラデザインは、カマキリとかゴリラとかになるんだと思う。もう何度も見すぎて目新しさがないから感動しないけど、もし今目の前に初めてカマキリが現れたら、『なんじゃこりゃああああ!!』ってことになると思うんだよ」
友達「かもね」
しまるこ「ライオンとかハチとかカブトムシとか、神が創ったデザインに到底人間が敵うことはないのは仕方ない」
しまるこ「ドラクエもポケモンも、自然界のデザインを組み合わせたり、操作して創っている。自然を超えるデザイナーなんていやしない」
しまるこ「岡本太郎さんなんかはさ、自分の生命力をそのままぶち込んで、それがそのままキャラデザインの魅力になってる感じだね」
しまるこ「鳥山さんが造形的な観察力のセンスでいうなら、岡本太郎は精神的なセンスというか」
しまるこ「結局どこまで行っても肝心なものはセンスというか、それはいったいどこからやってきて、どう扱っていいものかわからないと思うけど、センス、センス、センス……」
友達「鳥山明は、お笑いで言うダウンタウンと似てる感じがするね」
友達「この人以前、以後で時代が変わってしまっている」
※
しまるこ「で、久々にドラゴンボールを全巻読み直したわけなんだけど、普通にギャグが面白かった」
しまるこ「あのさぁ、グレートサイヤマン編のところなんだけど、悟飯が朝、舞空術使って、空飛んで登校するんだけどさ」
しまるこ「まぁ、空飛んで登校している時点で既に面白いんだけど」
友達「ほんとにね(笑)」
しまるこ「悟飯が『じゃあ学校いってきます!!』とチチに言った後、チチなんていったと思う?」
友達「『飛行機に気をつけるだぞ』」でしょ?」
しまるこ「(笑)」
しまるこ「すげーな!! なんでわかんだよ!!」
友達「何回読んだと思ってんだよ」
しまるこ「いや、だってさ、『学校いってきます』といって『飛行機に気をつけるだぞ』って送りだされる家ってなに?(笑) どんな家の会話だよって思って、クソ笑ったわ(笑)」
友達「面白いね」
友達「俺は、あそこが面白かったわ」
友達「ピッコロと神様が合体した後、悟空が『神コロさま』って言ったところ」
しまるこ「あー、あれはやばいね」
しまるこ「あれは狙ったのかな? 天然かな? 本気のギャグのつもりで書いたのか、軽いユーモアなのか」
友達「いやいや、舐めちゃダメでしょ〜〜。もともとはギャグ漫画家だぜ? それは舐めすぎだよ」
しまるこ「それにしてはさり気なさすぎるような」
友達「あの悟空の後ろ姿は、すべてわかっているようにしか見えないけどなぁ」
友達「あとはスーパーベジータのくだりかな?」
しまるこ「ベジータがすぐ調子のるところは面白すぎるね」
しまるこ「強くなったらめっちゃ調子のって、すぐに相手にパワーアップされて、ボコボコにされんの面白すぎ(笑)」
しまるこ「『こんなはずではーーー!クソーー!クソーーーー!!って(笑)』」
しまるこ「お前それ何回やってんだよっていう(笑)」
友達「それがベジータみたいなもんだからなぁ(笑)」