食べ物に関する研究・美容・健康

よく噛むことを甘く見てた。みなさんもそうじゃないですか?

「大自然の恵みである唾という大事なものを、その恵みのとおり使わなければならない。半砕きのまま呑み込んだりすれば、大自然が苦心して作ってくだされた重要な計画と作用とを破壊することになる」古典サンスクリットの一文

この動画を見ればわかるけど、胃の消化というのはものすごい仕事量だ。胃は歯がないから、そりゃそうかもしれないけど。

さて、多くの人が、 お金がなければ幸せになれないとか、健康な生活を送るには高い食品やサプリが必要だとか、スポーツでも趣味でもなんでも高ければ高い金を支払ったほど幸福の見返りも大きいと考えている。

しかし実際は、安ければ安いほど、無料なほど、私達に幸福をもたらす。

生玄米菜食なんてほとんどお金がかからないし、 高いマットレスを買うよりも床の上で寝た方が背骨が強制されて内臓も正しい位置に収るし、ジムで重いものを持ち上げるよりも日光を浴びて軽く散歩した方がいいし、ディズニーや夏フェスに行くより、ブログを書いたり絵を描いたりする方がいい。どれもすべて安く、あるいは無料なのに見返りは甚だしい。馬鹿ほど金がかかる世の中だ。東大も授業料は安い。質素な生活の方がリターンは大きい。

そしてその無料の見返りの最たるものが「よく噛む」ということだ。

俺はこれまでよく噛むことができなかった。 周囲も驚愕するほどの早食いで、ほとんど噛まずに飲み込んでいた。学校の給食の時間も、数回噛んで飲み込んで5分で終わらすから、みんなからゆびを指して笑われた。合コンでも食べ方が汚いという理由で席を立たれたことがある。

食べる速さと仕事の速さは相関していると言う。それは確かに当たっていると思う。これまで食べるのが遅くて仕事の速いやつを見たことがない。 女性はみんな食べるのが遅いから仕事も遅い。でも、丁寧だ。俺は食事と同様、仕事が本当に雑で、怒られてばかりいた。

余談だが、似たような話で、セックスの上手さと車の運転も相関があると言われている。婚活アドバイザーは、「とにかくドライブに行きなさい」「運転が下手な男は人生の運転も下手だから一緒にならない方がいい」と言うらしい。俺は運転が下手で、違反者講習を2回受けているから、大変堪に触る言葉だけど、残念ながら真実だと思っている。

最近になって、よく噛むというメリットを知った。 どこでも「よく噛め! よく噛め!」と言う。確かに噛まないよりは噛んだ方がいいとは思っていたけど、長年に渡って染み付いたリズムを変えることはとても難しい。俺は合コンで失敗して以来、何度もゆっくり食べるようにしたけど、 長年の習慣が邪魔して、いちいち意識ながら食べるのがイライラして続かなかった。もう一度生まれ変わるぐらいの決意がなければ変えられるものじゃない。

生の玄米を食す場合は、よく噛もうという意識は必要ない。よく噛まなければ食べられないからだ。昆布もそう。

肉はどうだろう? 肉はよく噛もうと思っても、最後の最後まで分解できない。ペースト状には決してならない。 だからどれだけ噛んでも消化不良を避けられない(肉は体外に排出されるまで他の食品の2倍から3倍時間がかかる)。そして肉は最初の一口二口は美味しいけど、ずっと噛んでくちゃくちゃやっているとまずくなってくる。これが今回の記事の大事なところだ。

それに比べて玄米だったりナッツ類だったり 果物や生野菜は、噛めば噛むほど美味しくなってくる。そして限界まで噛み砕けば、液状になって自然に溜飲される。

加工食品のほとんどは最初の口当たりだけは良い。味付けが濃くて塩分が効いて、パッと食べる分には美味しいけど、ずっと噛んでいると不味くなってくる。また、後半になってくると、残すのがもったいないから食うという我慢大会へ化す。天然の食べ物は最初は味気ないけど噛めば噛むほど美味しくなってくる。

だからこれから食品を買うときは、たくさん噛んでベチョベチョになっている状態に置き換えて想像して、買うか決めたらいい。飲み物として考えたらいい。目の前の食べ物が水みたいになっているのを想像する。肉のジュースなんて飲みたいだろうか? コンビニ弁当のジュースを飲みたいだろうか?

食べ物なんてものは、すべて液体となって処理されるのだし、液状になったら気味が悪くて食べられないというなら、初めから食べない方がいい。みんな最初の一口に全身全霊を燃やしているから、こういうことを悟れないのである。

そんなことをやっていると、今までなんとなく口に入れていたものが、あまり美味しくなくなってくる。そして、柔らかい食べ物は噛みごたえがなくてつまらないから、加工食品のような脆弱なものを相手にしたくならなくなる。

人間の体は食べたらすぐお腹いっぱいになるわけではない。満腹中枢や血糖値の上昇は食後30分から1時間のタイムラグがある。だから噛まずに早食いしてしまうと、満腹を感じないので余計に食べてしまう。

身を持って思い知った例を挙げると、俺は2週間に1回、実家に帰っていて、自分のマンションに戻る時は大量のご飯をもらってくる。俺は炊飯器を持っていないので、親が不憫に思って炊いたご飯をたくさん持たせるのだ。

そして久々の温かいごはんに興奮して、小分けされたご飯を一度に3杯分をレンジで温めて食べてしまう(レンジはある)。茶碗3杯分のご飯に、塩昆布をかけて食べる。

しかし、三杯分も食べたというのに、まだ食いたくて仕方がないのだ。そして残りの四袋を見つめながら、うーん、どうしたものか……手を出そうか……と悩んでしまう。

しかし今はとても3杯なんて食べられない。今は1杯を死ぬほどよく噛んで食べるので、とてもお腹が一杯になる。

本当に信じられないくらいよく噛んで食べている。1杯のご飯を食べるのに30分くらいかけて食べている。片岡鶴太郎が食事を毎日2時間ぐらいかけて食べているという話を聞いて、「馬鹿じゃねーの?」って思ってたけど、俺の方が馬鹿だった。

口の中で完全にペースト状になるまで、そしてペーストになった後も、自然に溜飲されるまで、自分から飲み込もうとせず、勝手になくなるまで待っている。1日1食なら、これぐらい時間をかけて食べたとしても問題はない。

これぐらい馬鹿みたいに時間をかけて食べると、お腹いっぱいになる。消化も無理が起こらなくて、身体がありがとうと言っているのがわかる。

また、食べたものが排泄されるまでの時間も半分くらいになった。

どんな文献を読んでも、とにかくよく噛めと書いてあったけど、今までこんなに真面目に実践してこなかった。だがこれほど簡単に無料で、健康的に、美味しくて……多角的な効果を期待できるものはない。

大体、食いしん坊は食べる量よりも食べる時間に満足させられるものだ。どんなにたくさん食べ物が広がっていても、それを5分や10分で食べ尽くしてしまったら、また寂しくて食べてしまうだろう。食べる量が半分になっても、食べる時間が倍になれば案外心がすっきりする。

最後に、ただ噛むことを重視しただけで、体重88kgから60kgを切るに至った人の文献を載せよう。

「かむ 」ことの重要性を身を持って示した人に、アメリカの商人フレッチャーがいた。19世紀半ばに活躍した彼は、身長168cmに対して88kgを越えて、何をするにも疲れ、白髪も目立つようになった。しかも、生命保険会社から保険に入るのを拒まれた彼は、一念発起した。アメリカ各地で行なわれていた 「食事法 」 「健康法 」を学んだが、フレッチャ ーの健康は回復しなかった。そこで彼は自己流であったが、どんな物でも一度口に入れたら、ドロドロになるまでかむことにしたのである。97・5kgあった体重が、4カ月たつと74 ・3kgになった。ウエストは150cmから94cmとなった。この頃のフレッチャ ーは、食事には30分から35分かけて、徹底して 「かむ 」ことを行なっていた。しかも、1日1食で十分になったという。やがて60kgを切るまでとなったフレッチャーは、51歳の時に自転車で月に1000kg走るほどの体力の持ち主となった。

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