友達との電話シリーズ

「日本中のコンクリートを全部ひっぺ返すべき」と言ったら友達と喧嘩になった

友達「話変わるけどさぁ」

しまるこ「うん」

友達「お前、今住んでるマンション、ずっと住み続ける?」

しまるこ「うーん、わかんない、このまま10年とか平気でいっちゃいそうだね」

友達「たまにさぁ、すっごく嫌にならない? この箱詰めにされている感じ。住むっていう要件を満たすためだけに用意されただけっていうか、工場のレーンで並ばされている空き缶みたいに、要件を成すために一まとめにされている感じが」

しまるこ「大切にされてない感じがするね(笑)」

友達「そう」

しまるこ「この、大地の磁場から切り離されているようなね。やっぱり住んでいて、これは間違っているだろうなって、肌で感じるよね」

友達「うん」

しまるこ「家賃いくらだっけ?」

友達「7万」

しまるこ「7万払ってそれじゃあね〜」

友達「7万払って不快な思いしてるわ」

友達「お前いくらだっけ?」

しまるこ「4万」

友達「4万じゃまだいいね」

しまるこ「だから、昔の家ってのはやっぱりすごいね。マッサージの仕事で、86歳のおばあちゃんの家に集まってるけど、やっぱり昔の家は住み心地いいよ。夏なのに涼しくて、コンクリートに板挟みされた変な息苦しさがない。『住まいは夏に快適に過ごせるように考えて作らなければならない』って方丈記に書いてあったように、昔の人はこの辺をよく分かってたんだと思う。今の家は、何から何までコンクリートで敷き詰められていて、息苦しくて変な汗出てくるわ。部屋もさ、部屋という部屋を寄せ集めて、廊下も縁側もない、一軒家も集合住宅も変わんなくない?」

友達「うーん、どうかなぁ。俺は一軒家に住みたいって思ってるんだけど。YouTuberの人たちもさ、山で古民家買って暮らしたりしてるじゃん? あれはちょっと羨ましいところがあるね。俺もこのまま、このマンションで暮らし続けること考えると、一軒家、買っちゃいたいんだけどね」

しまるこ「やっぱり、そうなんかなぁ」

友達「ん?」

しまるこ「いやあね、あれ、ひょっとしたら、全ての人間がそれを求めてるんじゃないかなって。うちの親もそんなこと言ってるんだよね。虫が嫌だの、不便だのとは言うけどさ、やっぱりみんな、どこかでそういう自然に密着した生き方を希望しているところがあるみたいでね。それは誰しもが、潜在的なところで、田舎暮らしなんて絶対イヤって言っている人たちでさえね」

友達「それはどうだろうね」

しまるこ「俺の中ではね、たぶんだけど、好き嫌いを越えた生物の潜在的なところでこれを求めていて、人は自然から切り離された都会的生活を送っていると、おかしくなっちゃうんじゃないかな? という、まぁ、死活問題じゃないかと思ってる」

しまるこ「俺はね、自分のマンションの一室にいてもそれを感じるんだけど、外を歩いてても感じる。土の上なんて滅多に歩けないじゃん? やっぱりね、俺はね、道を歩いていて、すごく違和感を感じる。この景色、この歩いている感触、これは本来のあり方ではないと思う。この景色はさ、過渡期として、避けて通れない道だったかもしれないけど、まだそうかもしれないけれども、俺は、これは、人間が過ごしていく上で、正しい景色ではないと思う。右を見ても左を見ても、コンクリート、コンクリート、下も上も、コンクリート、コンクリート」

友達「うん」

しまるこ「こういう思いが強い人は、本当に山暮らしを始めちゃうかもしれないんだけど、そうじゃない人も、限界が来ているような気がするんだけどね。人間も自然の産物だからさ、自然と切り離されて暮らしていることが、無理が出てきているんじゃないかと思う。贅沢とか、夢とか、そういう話ではなくて、それがニュートラルのような気がしてくるんだけどね」

しまるこ「スリ・ユクテスワはこう言ってる」

「さて第二は、住まいについてである。われわれは、山の上や、広々とした野原などで新鮮な空気を吸ったあと、混雑した部屋の中などにはいると、不愉快な気分を感ずる。このことから、町なかや混雑した場所が、人間にとって不自然な場所であることが容易に理解できる。山の上や、野原や、庭園や、広々とした風通しのよい乾いた場所の、樹木に囲まれた新鮮な環境は、人間の住まいとして、自然の理にかなった場所である」スリ・ユクテスワ『聖なる科学』

友達「ずいぶん感覚的にものを決めちゃうんだね、聖者って」

しまるこ「世間には、金とか名誉とか、とにかく旗を上げて、天下に名を轟かせてやろうという時期もあったけどさぁ、今じゃあ、ヒロシが山を買ったり、財前直見が田舎暮らししてて、財前直見の実家が、二万坪?の田舎なんだけど、すごい楽しそうだった。みんなああいうふうになりたがっている気がする。みんな、それをやりたがっている気がする。そんなふうに、何かしら成功を収めた人が、リタイアして、田舎暮らしするというのがゴールで、もう一足飛びにゴールに向かいたいという、世論の風を感じるんだけどね」

しまるこ「第一級の知識人だってそんな生活してるわな。養老孟司が、ホリエモンとの対談で、一刻も早く、子供たちを自然とともに育てないとならない、子供達がかわいそうだって言ってて、都会で暮らす子供たちの状況を痛切に訴えてたんだけど、ホリエモンやホリエモンの子分たちは一笑して流してたんだけどね、俺はあの映像を見て、養老孟司の方がずっと賢い境地にいるように見えた」

友達「ふーん」

しまるこ「財前直見なんてすごく幸せそうで、なんか見ていて、もう芸能界には戻りたくないって顔してるけどね」

友達「財前直見って、『お金がない』の人?」

しまるこ「そう」

友達「金がない田舎暮らしはきついけど、金があればいいかもね」

しまるこ「まぁ」

しまるこ「母親がさ、最近、東京に舞台見に行ったんだけどね」

友達「うん」

しまるこ「あまりの熱さに倒れそうになったって言ってた。暑いんじゃなくて熱いんだと。コンクリートの照り返しで、静岡とは比べ物にならないほど熱かったってさ。舞台を見に行くんだから、綺麗な格好していくわけじゃん? おめかしして、洒落た服を着てるから、余計に暑いらしくてさ。劇場までたどり着くのがやっとで、フラフラになって、歩いていて倒れそうになった経験は、62年間生きてきて初めてだったって言ってた」

友達「それで普通に死ぬ人もいるからね。お前のお母さん、62歳なの?」

しまるこ「うん」

友達「わりと若いね。それ以上の歳になると、死活問題になるかもね」

しまるこ「東京の方はわかんないけどさ、静岡って一般的に暑い方かもしれないけど、俺はいうほどには暑いと感じないんだよね。一昨年も去年も暑いとは思わなかった。冷房も使わなかったし、無理して使わなかったんじゃなくて、使いたいと思わなかった。これは食生活のおかげなんだろうけどね」

しまるこ「ニュースじゃ、暑いから外出しないようにしましょう、冷房をつけましょう、まめに水分補給をって言うけどさぁ、生菜食をしましょうとは言わない。玄米と生野菜を食べていれば、この熱さにしたって問題じゃなくなるんだけどね。世間はいつも根本的な人間再生を無視して、その場しのぎですぐに対処できることしか目がいってない。俺、本当にさ、暑さ感じないんだよ。ジムで練習してても感じない。出前館で、11時から13時のいちばん暑い時間帯のマンションの階段を上り下りしてるけど、何にも暑くならない。食生活のおかげなんだけど、もう、ここ数年、ぜんぜん感じない」

友達「ふーん」

しまるこ「カラムーチョはやばいけどね。カラムーチョ食べると大変なことになる。カラムーチョを一袋食べたりなんかすると、身体が信じられないほど熱くなって、2、3日冷房使わずにいられなくなる。カラムーチョは普通のお菓子とちょっと違う、あれは何だろうね」

友達「カラムーチョの袋のパッケージの火吹いてるババアじゃん(笑) まんまそれになってんじゃん(笑) 企業も嬉しいだろうね。体現してくれて(笑)」

しまるこ「まぁ、俺が言いたいのはさ、カラムーチョと同じことが起きてるってことだよ」

友達「何が?」

しまるこ「住居も食事も」

しまるこ「普通に自然に還ればいいだけなんだよ。自然な場所に住んで、自然な食べ物を食べる、それさえしっかりすれば、あとは何も問題じゃない」

しまるこ「ちょうど今の時代はさ、幕末の時みたいに、開国か、鎖国かって、二分されていたように、文明か自然か、どちらに行くかの別れ際になってきてるんじゃない? 戦争も平和も自然も機械も、時代はいろんなことを体験してきて、今、データは出揃ってきたわけじゃない、このままいくと、本当にアトムのような都市みたいになっちゃう。あんなところに住みたいかっていうね。今じゃあ、綺麗な水飲むのも一苦労で、みんなその価値もわかってきて、昔ながらの梅干しや味噌が重宝されてきて、味噌一つとっても、昔当たり前のように手に入っていたものが、高い金出さなきゃ手に入らない。それが当たり前のこと、しょうがないことってことになってるけど、俺は絶対おかしいと思う。人間が自然な場所で、自然なものを食べて生きるってことは当然の権利であって、不可欠な条件であって、高い金を払ったりして手に入れるものじゃないと思う。時代や環境がそうなってるからしょうがないって言うけど、しょうがないで済まされないと思う。その中でできることを〜、というのは、最もだし、それしかやりようがないんだけど、そこは妥協したり、諦めちゃいけないことだと思う。なぜなら死活問題であって、俺たちは自然の中でしか生きていけないから」

友達「それなら、そう考える人たちが勝手にそういう生活をすればいいんじゃない? 財前直見や養老孟司みたいに、それだけの話じゃないの?」

しまるこ「そうなんだけどね。そうなんだけど、俺はそれだけの話じゃないと思う。すべては無知が原因なんだから、一人一人が何が大切なのかを気づいて、それを守っていかなきゃ。日本は彼らのものじゃないし、俺のものでもないし、みんなのものなんだから、みんなの共有財産として、一つの答えをみんなで持たなきゃならないと思う。今は、無知の側が大きな影響力を持っているけど」

友達「でも、その無知かどうかもわからないじゃん。お前が勝手にそう思ってるだけでしょ? その無知かどうかも証明できないじゃん」

しまるこ「さぁ、何をどう、何から話したらいいか。とにかく、この暑さにしたって、自分らが蒔いた種だってことだよ。暑い暑いって言ったって、どこもかしこもコンクリート詰めにしちゃって、そりゃ暑いよ。歩いていて、こんなにコンクリートばかりでおかしいって思わない? コンクリートしかないじゃん、これじゃあ暑いわけだよ。はじめにさ、コンクリートの施工に着手するときに、おかしいと思わなかったのかなぁ? 土の上に、こんなにぜんぶコンクリート敷いちゃったら、はじめに、手をつけた段階のとき、これ、やっちゃいけないことしてるよなぁって感覚が作業員にあったと思うんだけど。その感覚を無視した弊害だと思う」

友達「上からやれって命令されたらしょうがないだろ(笑)」

しまるこ「まぁね」

友達「基本的に、どこにもコンクリート敷いちゃダメってこと?」

しまるこ「基本的にはね」

友達「それは困るね」

しまるこ「コンクリートに置き換わるものがあるのかどうなのか、素人の俺にはわからないけど、マウンテンバイクみたいな車があってもいいんじゃない? いや、あるとは思うんだけどさ、山道用の、バギーっぽいやつ? 企業はあれをもっと研究してさ、土の上でもそれなりに走れるような、今の交通の便には敵わないかもしれないけどさ、それなりに走れる、そういう車を作り出すべきじゃない? 今は、車に合わせて自然の方を改変させているけど、そうじゃなくて、車の方を改変させるべきだと思う。ここはね、俺は本当に手を誤ったと思う。考えればなんとかなる問題だと思うもん。土に対応できる車を作りゃあいいんだから、これだけ科学は発達しているんだから、できるでしょ? それくらい」

友達「山道とか走ったことないの? この前も熱海とかで土砂崩れあったじゃん」

しまるこ「だから、それに対応できる方法を考えるんだよ」

友達「無理無理、だってボコボコに穴空いているじゃん、水溜りとかよくたまってんじゃん、コンクリートですらボコボコに穴空いてるじゃん」

しまるこ「ドローンとかじゃダメかな?」

友達「ドローンはいいんだ(笑)」

友達「今、あの大型トラックが積んでいる荷物を、ドローンで運ぶって、そういうことを言ってんだぜ?」

しまるこ「まあ、ちょっと荷物減らしながら」

友達「できないじゃん」

しまるこ「俺は科学者じゃないから、これといった具体案は出せないけど、頭のいい人たちが技術を持ち寄って考えれば、今だって不可能でないんじゃない? 大事なところは、何が理想かってところでさ、そこを間違えると、科学が間違った方にしか使われなくなる。今、科学が、もっと早く、便利に、快適に、舌に甘く感じさせるとか、一日でも欲しいものが届くとか、『欲求』を第一に考えているから、おかしくなっているだけでさ。できる、できないで考えて、理想のあるべき姿を無視して、できる方を選択していったから、こういう世の中になっちゃってる。だから、そういう意味から、できる、できないより、何があるべき姿なのかを、いちばんに考えなきゃダメだと思う。できる、できない、で考えたら、その辺りがぼやけてしまうようになっていくから、大事なのは、たとえ今はできなくても、少しでもあるべき姿に近づくようにしていくことだと思う」

しまるこ「今ある世界中の自動車道、コンクリート計画は、俺は完全に失敗だと思う。こんなに、いっぱい敷いちゃって、どうしたもんかね。剥がすの大変だわ、こりゃあ。木を切り崩して伐採して整地するまではいいと思うんだけど、石を張って化学塗料を塗ってといった、そこまではやっちゃいけなかったと思う。それはなんとなく勘で感じなければならないところなんだと思うんだけど、なんか、コンクリート敷き詰めているときに、背徳的な、すごい悪いことしているって感じはあったと思うんだよね。それに、照り返しですっごい暑くなるような、あとでやばくなるような予感が絶対あったと思うんだよねぇ? 数字や机上の科学よりさ、なんか、これやったらヤバい気がするっていう直感だよね、猫だって、なんでも物を食べる前にはさ、毒味をするように、一生懸命クンクン匂いを嗅いでから食べるけど、あれと同じだよ。これはね、自然が困るんじゃなくて、人間が困るんだよ。自分が蒔いた種に苦しめられている。デメリットでいうならさ、ちょっと速度が低下するくらいじゃん? いいじゃん、ちょっとくらい遅くなっても。自然を残して、森林の中をゆっくり散歩する気分で運転すれば、遅くても楽しいじゃん」

友達「でも無理じゃん」

しまるこ「そうかな?」

友達「そうかなって(笑) 無理じゃん。全部のコンクリートひっぺ返すってことでしょ?」

しまるこ「俺は、このコンクリートジャングルは、必ず取り壊されると思う。50年後が100年後かわからないけど、いつか必ず取り壊されると思う」

友達「俺は絶対なくならないと思うけど」

しまるこ「俺は毎日コンクリートの上を歩くたびに、下に敷き詰められている土の悲鳴が聞こえてくる気がする。体感的に、これは間違っているって、どれだけ車が便利で生活に役立っていても、ああ、これは絶対何かが間違ってるなって」

友達「これだけコンクリートの恩恵を受けといてよく言うわ(笑)今こうして電話してるのもコンクリートのおかげじゃん」

しまるこ「科学が悪いって話をしてるんじゃないよ。こんなにコンクリートだらけにしなくても、絶対なんとかなると思うからそう言ってるの」

友達「日本だって、いっぱい森林が残されているんだから、普通に車を走れるだけの道路は残しといて、自然は自然で残しておけばいいじゃん。お前が土の上を散歩したいから言ってるだけでしょ? 俺だってそういうところに住みたいっていう願望はあるから気持ちはわかるけど、でも別にコンクリートを全部解体しなきゃいけないってことはないと思う、山で暮らすにしても、そこに物資を運んだり、移動手段としてのコンクリートは必要だろうし、住む場所のために自然を残して、移動用のコンクリートと、二つに大別すればいいだけだと思う、それじゃダメなの?」

しまるこ「いや、俺は多分だけど、コンクリートにしなくても、土の上を走れる車があればそれでいいんだから、それで代用しようってことを言ってるの。そして、その効果は計り知れないって言ってるの、多少、配達が遅くなるっていうデメリットはあると思うけど、土を残した状態でも可能なんじゃないかってこと。ちょっと配達が遅くなるかもしれないけど、土を残したまま、だいたい同じようなことができるとしたら、その恩恵は計り知れないってこと」

友達「配達、配達って。さっきから配達が遅いとかどうかって、お前にとって車は、Amazonの荷物を届けに来てくれるものでしかないんだね(笑)」

しまるこ「(笑)まぁ、人として、大地を歩けるということ、コンクリートの照り返しの熱さがないこと、この二つの恩恵の方がずっと重要なんだけどさ。土を保つ。そこからだね、そこからものを考えなきゃダメだと思う。大前提として、そこはね、妥協しちゃいけないんだよ。コンクリートが熱いから、エアコンをガンガンにかける、で、エアコンつけてると、外の室外機が熱くなってくる、科学で起きた弊害を対処療法的に科学で解決する、その繰り返しじゃん、注射や薬の副作用と一緒だよ。ある薬を飲むと副作用が出て、その副作用を抑えるために別の薬を飲む。もともと身体に必要があって、熱が出たり、咳が出たり、血圧が高くなったりするのを、注射したり薬を飲むことによって、症状を止めているだけだ。治しているわけじゃなく、問題を移し替えているだけ。汚いものを蓋するようにして、ただ弊害を置き換えしているだけだよ。エアコンの室外機と一緒で、コンクリートと一緒だで、科学っていつもこうなんだよ。自然にはそういうことがない、自然は全部を包括して解決してくれるからね。熱中症対策なんて言ってるけど、対策なんて何一つしていない、科学はいつも部分的な解決しかできなくて」

しまるこ「車だって、ガソリンじゃなくて電気で走れるようになったりさ、今は過渡期だからしょうがないけど、必ずクリーンなエネルギーの量と質が、クリーンな方へいくのは自然の宿命で、あくまで自然の循環を整えたり、エネルギーにしたって、太陽光だったり、そりゃ遅かれ早かれそうなってはいくと思うんだけど。今じゃ、太陽発電とかさ、ソーラーパネルだかで電力が賄われたりするように、ニコラテスラがそれを研究していたように、地球にはそういう力が隠されていると思う。だから、それがわかっている以上、土の上にコンクリートを詰めるのは反対だね。だって、こういったエネルギーの観点から言って、必ずもっといい方法があるから、絶対、いつか剥がすことになるもん、土の上を平気で走れるようになったら、コンクリートいらなくなるでしょ? 多分だけど、俺は今の科学力でそれができるんじゃないかと思う。大変だよ、これを剥がすのはさ、100年後か200年後かわからないけど、俺は絶対これを剥がす時が来ることをいつも実感しながら歩いている」

友達「俺は絶対剥がすことはないって言い切れるけど」

しまるこ「そうか」

友達「うん」

しまるこ「俺は一生懸命、政治家が演説したり、あれがダメだこれがおかしいとか、選挙がどうの、トランプが〜とかワクチンが〜とかさ、いろいろ騒いでいるけれども、答えだけはいつもわかっているつもりだよ。答えだけはね。答えに一足飛びで向かえるかどうかはしらないけど、答えは一目瞭然なんだから、ただ自然の場所で自然のものを食べればいい、そこだけは絶対にはっきりしている」

しまるこ「だから、まずは、そこを守って、そこを軸に考えていればいいんだけど、そのために欲を犠牲にしたりしてね。でも、今は欲のために答えの方を犠牲にしちゃってる。実現可能っていう観点だけで見ていると、本来のあるべきところを見失って、大量パックで売られている変な食べ物を、腹を満たせればいいと考えて、変な、品質改良された野菜みたいなのが大量生産されていくのは目に見えている。今、ぜんぶ、政治や経済の問題ごとなんてものは、毛細血管のように入り組んでいるけれども、その一つひとつを対処療法的に、丁寧にひとつひとつ対応していってもダメだと思う。シンママのために補助金を〜とか、そんなものはぜんぶ、単に後手に回って、なし崩しのままに対応に追われているだけで、政策でもなんでもない。何も根本的な解決になってない。根本的な解決はいつもわかってるんだよ、自然な暮らしをして、自然なものを食べること、これだけなんだよ。これを一個の人間に例えるなら、単に、自分の方から姿勢を崩して、それで身体のどこかを痛めて湿布薬を貼っているようなもんだよ。そうじゃなくて姿勢を正さないと」

友達「じゃあ、なんでお前は今それをしないの?」

しまるこ「俺がするとかしないとか、そういうことを言ってるんじゃなくて、どうあるべきかの話をしているの。俺は、今は、マッサージの仕事もあるし、ボクシングジムや道場に通わなければならないし、出前館もやらなきゃいけないから」

友達「みんなもそうだと思うよ」

しまるこ「まぁ、俺は山暮らしっていうより、ただコンクリート剥がせって言ってるだけなんだけどね」

友達「でも、コンクリート剥がしたら、ジムにも行けなくなるし、出前館もできなくなっちゃじゃん」

しまるこ「そんなことないっしょ。土の上、走れるような車を開発すればいいんだから」

友達「だからそれもお前が勝手にできるって言ってるだけでしょ(笑)」

しまるこ「わかんないじゃん。今の科学力でもできるかもしれないし、それを本気でやろうと試みないから、アイデアも浮かばないんじゃん。たぶん、俺はできると思うんだけど、そこは素人にはちょっとわからないけどね。別に戦争するわけじゃないし、そんなに急いで物を運ぶ必要もないから、馬でいいと思うんだけど」

友達「(笑)」

しまるこ「俺は、はっきりしていると思う。やるべきこと、目指すことはね。でも、野党だとか、外野がうるさくて、何一つまとまらなくて、国会議事堂の会議なんか見ていると、いつもそんな感じじゃん。周りが足を引っ張りあって。どうにもならない」

しまるこ「ガンディーが言ってたけど、可能か不可能ではなくて、どうすべきかってことが重要なんだと思う。どうあることが理想の姿ってことだと思う。そして、その姿に少しでも近づいていくことが大事だと思う。その最終的な理想的な姿を追わずに、ただ対処療法的に、その場、その場で発生する問題の一つに一つに追われて解決していったって、意味がないし、エアコンの室外機のように、問題を移し替えてるだけだと思う」

「もしなまの食べ物だけ食べて生きていけるなら、多くの時間とエネルギーとお金を節約して、もっと貴重な目的のために使うことができるでしょう。しかし、調理しない食べ物を食べるという事は決してできないのだから、そんなことを考えるのは怠惰で愚かなことだと反対する人々もあるでしょう。しかし私たちが今考えているのは、人間が何をするだろうとか、しないだろうかということではなくて、何をすべきかということです。理想的な食事の何たるかを知ってこそはじめて、私たちの現実を理想に近いものにすることができるのです。フルーツ食が最も良いといっても、もちろんなにも皆がそれをそのままやるだろうと思えないし、ただこんな食べ物をとれば彼らに最も良いだろうというだけのことです」『ガンジーの健康論』

しまるこ「だから俺は、この国にとって、最も良いだろうという話を、ただしたいだけなんだよ」

しまるこ「食生活と一緒だよ、もう、純粋な水や野菜は手に入らないかもしれない。でも、人が本質的に何を食べて何を生きていくか、そこをはっきりさせておけば、それが手に入らなくても、なるべくそこに近づけようと心がけるでしょ? それがわかってないと、ただ可能だからという理由で、安いものや、簡単に手に入るものを手に入れちゃう。だから、あるべき姿で言ったら、独り立ちして自給自足して、自分の土地で取れた食物を食べて生きるのが理想なんだから、そうするために、まずはアメリカと手を切ることだと思う」

友達「ロシアやウクライナみたいになると思うけどなぁ」

友達「軍事力は持たなきゃいけないわけでしょ?」

しまるこ「俺は軍事力は持たなくていいと思う」

友達「他国が攻めてきたらどうすんの?」

しまるこ「持ったところで、先にミサイル撃ったほうが勝ちというか。もう、そういう世界観じゃん。持っていようが持っていなかろうが、先に一発撃たれておしまいという世界観なら、持ってない方が得だと思う。その分軍事に金を割かなくていいんだから。核を持っていることが抑止力になるなら、それは国連に助けてもらえばいいんじゃないの?」

友達「でもその国連を実際に牛耳ってるのがアメリカなんじゃないの?」

しまるこ「変に戦おうとするから向こうも斬りつけてくるっていうか、何もしないでいたら、向こうも手出しできなくなるんじゃないかな? 無抵抗の人間を殺す気分にはなれないだろうし、そんなふうに超然している人間に手出しできるもんじゃなくない? 普通に買い物してればいいと思う。気にせずに普段通りに生活して、買い物袋を持ってスーパーに行って、なかなかそんな人間に手を出せないと思うけど」

友達「(笑)」

しまるこ「俺さぁ、迎撃ミサイルなんて無理だと思うんだけど。一発や二発、空中で相殺できたとしてもさ、えいえいって1000発も2000発も撃ってこられたら、一発くらい撃ち漏らしちゃうんじゃない? その一発の撃ち漏らしが致命傷になるわけでしょう? いくらメイウェザーでも朝倉未来のパンチをコツンって一発くらいもらっちゃうように、かわしきれるものじゃないと思う。それに空中で1000発や2000発の迎撃に成功しても、その衝突によって生じる放射能とかで、地上の人は暮らせなくなっちゃうんじゃない?」

友達「多分、それを言ってるんじゃないと思うよ。日本をミサイルで潰したとして、その後のアメリカの報復を恐れてるんだよ」

しまるこ「ん? 日本がミサイル撃たれて国ごとなくなっちゃって、そのあとに、アメリカが代わりに仇を取ってくれるってこと?」

友達「そう」

しまるこ「そんなのどうでもよくない? だって、その時、日本はなくなっちゃってるじゃん(笑)『わーい! アメリカが仇とってくれたー♪』って喜べる日本人は、もうそのとき誰も残ってないじゃん」

しまるこ「死んだ後に仇を取ってもらうために、多額の金を支払ってんの?」

友達「そういう事態になっても、アメリカが本当に動いてくれるかって話もあるみたいだけどね」

しまるこ「だからさぁ、守ってもらおうにも、守り切れるものでもないし、報復してくれようにも、その時には日本はなくなってるんだからさぁ、国交条約なんて解消しちゃってさぁ、さっさとアメリカと手を切って、完全に自給自足の国にならなきゃダメなんだよ」

しまるこ「まぁ、俺は、日本がどこの国から狙われているのかよくわかってないけど、別に、手を出してきたら出してきたで、戦っても負けるだろうし、逃げても逃げられるものでもないし、何もせず大人しく殺されればいいような気がするけどね。向こうがその気になったら、殺されるほかないんだから。ここらで、みんなで死のうっていう決意をすればいいんじゃないかな? ゆっくり死ぬか、はやく死ぬかの違いでしかないというか、今だってもう死んでいるようなもんなんだから」

友達「ニートのお前はいいかもしれないけどね」

しまるこ「でも、同じことだと思うから。戦っても、逃げても、守ってもらっても、灰と化すだけと思うから、抵抗するだけ疲れるだけだと思うんだよ。これを一個の人間として置き換えて考えたとき、どっかの通り魔が銃乱射してきたら、避けようがないように、相手がその気になったらどうにもならないというか、そういう問題に対しては、未然に防ぐ努力すらやめてしまって、ただ運命に身を任せる他ないと思う。そういう恐怖は妄想でしかなくて、死だって、死は、死の前にしか恐怖はなくて、未来に対して妄想めいた不安を抱いている人間が多い昨今だけど、その国バージョンというか、やっぱり妄想でしかないと思う。気にしすぎっていうか」

友達「気にしすぎで片付けちゃうんだ」

友達「でも、一個の人間として考えるなら、大きな警報ベルとか鳴らせば、通り魔も逃げていくかもしれないじゃん、何かしらの対策はあった方が越したことないじゃん、それで救われる命もあるんだから」

しまるこ「俺も警報ベルはいいものだとは思うけど。でも、もし、踏み違えた人間が、本気で人を殺そうと思って、それに徹したなら、もうどうにもならないと思う。守る側がどれだけ守りに徹したとしても、守り切れるものじゃないと思う。トランプだって今回は奇跡的に助かったけど、やっぱり襲う側の方が優位だし」

しまるこ「だから、それと一緒で、他国から本気で日本を潰そうと思われてしまったら、アメリカなんて抑止力にならないと思う。今だって、俺はアメリカと組んでいることが抑止力になっているとは思わない」

しまるこ「だから、金の払い損だよ」

友達「目の前で銃口を向けられても?」

しまるこ「目の前で銃口を向けられても」

友達「それじゃあ、そのまま黙って殺されるの?」

しまるこ「うん」

友達「それならもう、俺は何も言うつもりはないけど」

しまるこ「勝てないもんは勝てないと思う」

友達「いや、いいと思うよ。そう考える人がいても。でも、絶対にそうはならないことはわかって言ってるんでしょ?」

しまるこ「そうかな?」

友達「そうかなって言われても(笑)」

しまるこ「この国は、無様に生き延びようとするから、崩壊が始まってるんじゃない? これもまた一個の人間で考えたとき、サラリーマンは会社で働いててもさ、自分は本当はこんな生き方したくないのにって、心を押し殺しながら勤めていると思うんだけどさ、もういいや、辞めちゃえって、先のことなんてわからないけど、どうにでもなれって、そう決意したところから、生きることが始まるんじゃないかな? 少なくとも、俺はそうだったよ。だから、死ぬのも生きるのも一緒なんだよ。死ぬ方にかけないと生きることはできないんだと思う」

しまるこ「生きてるのか死んでるのかで言ったら、今も死んでるのと変わらないじゃん。変に守ろうとするから弱くなっちゃうと思うんだけどね、鎖国するか、スイスみたいに永世中立国を宣言するか、とにかく自立しないとダメだろうね」

しまるこ「じっさい、他国が攻めてきても、普通にスーパーに行って買い物したり、そのまま日常生活送ってたら、向こうも手を出してこれないんじゃない? 目の前で、スーパーに行って買い物されてたら、そんな奴、なかなか攻撃する気になれないでしょ」

友達「上官の命令で『撃てーー!』って言われたら撃つでしょ」

しまるこ「まぁ」

友達「うん」

しまるこ「だとしてもだよ」

しまるこ「どうせ、こんなちっぽけな国、弱いんだからさ。弱い、ありのままで、俺はいいと思うけど」

友達「お前はそれでいいかもしれないけど、それじゃ嫌だっていう人が大半だからね、それを」

しまるこ「他の、外野だとか、条件とか、環境とか、全部抜きにして、好き放題言わせてもらうならっていう話だけどね」

友達「いいとか悪いとかじゃなくて、無理だっていう話をしてんの」

しまるこ「ただ、俺は、そんなふうにしてまで守っているものが、実は、そんなに大したことじゃないんじゃないかって気がするけどね。そんなに、みんなが生きたいと思っていることすら怪しいというか、みんな、生きているから生きているって感じだけどね。そんなに、まだまだ生きたいなんて言っている人、あんまり見たことないけど、すごい金持ちで、全てを手に入れたように見える人ですら」

友達「だから死んでもいいってこと?」

しまるこ「わからない。死ぬ方にかけてみないと、状況は変わらないと思う。俺は愛国心から言っているつもりなんだけど。スイスみたいに永世中立国になっちゃえばいいと思うんだけどさ、鎖国したっていいと思うし」

しまるこ「そう考えればさぁ、コンクリートをぜんぶ剥がして畑にするなんてことも、簡単なことのように思えてこない?」

友達「(笑)」

友達「ちなみに、そのコンクリートはどこに捨てるの?」

しまるこ「わかんないけど」

友達「(笑)」

しまるこ「いや、そんなことはみんなで考えればいいじゃん。具体的な案なんて俺には一つもないよ。ただ、どうあるべきかだけはわかる気がするから、やたらと無闇に科学力を使って、無闇にやたらにいろんな方向に拡散して使うよりは、まず先に、一つの大きな理想のあり方をひとつ決めて、それに準じるように科学を使おうって話をしてるんだから」

友達「お前の仕事だってなくなっちゃうぜ? 出前館なんて100%そうじゃん。めっちゃコンクリートの上走ってんじゃん」

しまるこ「それは必要性というやつだよ。今じゃあ仕方なく、それを選択しているけど、勝海舟が開国主義でありながら幕臣であったように、ルパンがモナリザを盗むためにルーブル美術館の支配人に変装するように、世を忍ぶ仮の姿というやつだね、お前が病院で給料もらっているのと一緒で」

友達「お前が言いたいことはわかったけど、じゃあ、俺の思ってること言わせてもらっていい?」

しまるこ「うん」

友達「「俺は安楽死しかないと思う」

しまるこ「うん?」

しまるこ「うん」

友達「俺は、病院で働いてると、本当に植物人間みたいな人がいてさ、めっちゃたくさんいて、植物人間までいかなくても、二度と再起不能の、喋ることもできなかったり、高次脳機能障害とかの、認知症の人だったり、脳梗塞とかで酷い麻痺だったり、家族にも見放されて、見舞いにも誰も来なくてさ、この先を望めない人がいて、そういう人が、まだ意思疎通ができて、本人が死にたいって言っている場合に限っては、安楽死を認めてあげてもいいんじゃないかと思う。こういう人たちのリハビリをしていると、みんな死にたがってる。じっさい、死にたいって言ってる人もいるしね。俺もそうしてあげたくなっちゃう。でも、国は許さなくて、俺、いつも、なんでこの人たちのためにリハビリしてんのか全然わからなくなるのね。すごく不毛な時間に感じるのね。それで、それだけで済むことじゃなくて、みんなに大迷惑がかかっているわけ。医療点数とかさ、普通の人のリハビリの比じゃないわけ、薬の投与とかで、この人を1年間生かすために1000万とか普通にかかってくるわけ、もう絶対に治る見込みはないんだよ? 家族のもとに帰れたり、社会で活動する余地も残されてなくて、誰も見舞いに来なくて、本人も死にたがってる。なのに、すごい金かけて薬を投与して、リハビリを続けて、それがさ、80や90だったらともかく、60代の人とかいるわけ、あと何年、何十年、この状態が続くかもわかんなくて。で、その金は若い奴らのなけなしの給料から払われているわけじゃん? 俺はさ、そこから給料もらっている身だから言えた義理じゃないんだけど、これがなくならない限り、絶対、日本は破綻し続けると思う。絶対無理。これは、もう無理だと思う」

しまるこ「俺が実習で行った病院のバイザーの人も言ってたな、病院の寝たきりの人がどうにかならない限り、日本は絶対良くならないって」

友達「絶対そうだと思うよ」

友達「安楽死制度を導入して、こういう人たちに流れる金が改善されれば、ベーシックインカムできる程度には金が貯まると思うんだけど」

しまるこ「うん」

友達「日本中のコンクリートひっぺ返すより、こっちの方がずっと早くて効率がいいと思うんだけど」

しまるこ「うん」

友達「でしょ?」

しまるこ「うん」

しまるこ「そうだね、俺が言っていることより、早急な解決が見込めるね」

友達「でしょ?」

しまるこ「うん」

しまるこ「俺が言っていることより正しいと思う」

友達「スイスには安楽死制度があるらしいんだけどさ」

しまるこ「俺も、お前の言っていることは賛成なんだけど、俺は、本当のところは、ベーシックインカムも必要はないと思う。住む場所と食事さえちゃんとあればそれでいいと思う。家と土地と庭と、そこで自給自足できるようにして、そうすれば金も必要ないと思う。いったん、誰しもが、腰を据えて落ち着けるような椅子を、国は分け与えてあげなきゃいけないと思う。じゃないと、今は一呼吸する間もない、みんな、ただ、一呼吸して落ち着きたいから働いていると思う。そんな贅沢したいわけじゃなくて。ただフゥッて腰を下ろしたいだけだと思うんだよね。俺はね、ベーシック・インカムで金を全国民に分け与えても、それでみんなが一呼吸できるかは怪しいと思ってる。だって、今ですら、ろくに情報を見極める目がないから、企業の奸計に騙されて、変な物を買っちゃって、変な物を食っちゃってる、カラムーチョ食って、暑い、暑いって言ってる」

友達「お前はさぁ、ベーシックインカムもらったらどうする? お金使う? 貯金する?」

しまるこ「俺は貯金かな」

友達「でしょ? 俺もそうだもん。そういう人が多いから、ベーシックインカムやりたくてもできないらしいよ。少なくとも、一人当たり7万ぐらいは市場にお金が使われないと、回らないって経済学者が言ってた」

しまるこ「だから、市場を回そうとするから、そこがおかしいんだよ。回す必要がそもそもないんだって。世の中の仕事は99%はいらないんだから。全部、仕事なんてカラムーチョみたいなもんなんだから。人の不安や欲望を煽って、欲望のために、欲望を作り出して、この連鎖を止めなきゃいけない。俺はね、カラムーチョを作る会社も工場もスーパーも全部なくならなければならないと思ってる。ラーメン屋もそば屋も、リンガーハットも、すき家も。みんな、どうしたって、カラムーチョやラーメンが売られてたら買っちゃうよ。なきゃないでいいんだよ、こんなものは。なきゃないで買わないでいられる。初めから存在しなければ欲しいとも思わない。作り出しちゃいけないんだよ、不必要なものは。道路だって不必要なものを運ぶためにあるわけでしょ? ラーメンを作ってる店員だって、それが生きがいだとか、魂の向上のためだとか、そういう崇高な目的に従ってやっているんだったらともかく、そんな事はないでしょ? そういう人もいるけど、与えられている仕事の中で選んでやっていることでしょ? みんな生きるために精一杯で、だから人を騙し続けている。お金を配ったから、はいオッケーってことはなくて、お金を配ったとしても、正しく使えないんだから。お金を貰う方も、払う方も、全部が間違ってるから、とにかく口当たりの良いもの、うまく金を騙しとるために、カラムーチョだとか生命保険だとか。こうして選択の余地を与えず、選択を制限するってことは、自由を制限するって言うけどさぁ、彼らだって、カラムーチョを売りたくてやってるわけじゃないんだから。お金が欲しいから、制限さえなければ、やってやろうってことになってしまう。だから、先に、彼らが心の底で本当に求めているものを与えてしまうんだよ。それは、安らぎだよ」

しまるこ「騙す方だって、落ち着きたいから金を欲しがってる。たぶん、誰も豪遊したいなんて思っちゃいないよ。俺はね、本当は、今でも、この国の誰もが、財前直見みたいな生活ができると思うし、しなくちゃいけないと思う。レオパレスやビレッジハウスみたいなものじゃなくて、ちゃんと自然に密着した、自給自足ができる庭付きの一軒家だよ。お金を渡してもさ、みんな、安いからって理由で、変なところに住んで、変なものを食べちゃう。レオパレスに住んで業務スーパーで5kg800円のパスタとか買って食べちゃう。本人がそれを良しと思っててもダメなんだよ。彼らはそれをお得だと思って自分から選んでいってしまうけど、政府はまず自給自足ができる庭付き一軒家を国民一人ひとりに分け与えて、その他の、学校とか、仕事とか、結婚とかはさ、それができるようになってから考えることだと思う。彼らの方だって、自然に即した生活をしていれば、それがいちばん良いってことがわかってくるんだから。ベーシックインカムで月7万だか10万もらっても、たぶん、無理じゃないかなぁと俺は思うんだよね。だって、今だって、生活のためにお金を稼いでいるというよりも、目先の欲にとらわれてお金を使っちゃってる。騙す人間がいる限り、彼らはたぶん、そっちの方にお金を使っちゃう。だから俺はベーシックインカムは生活の保証にならないんじゃないかと見てる」

しまるこ「だから、まぁ、すごく言いたいことは、国がさ、ちゃんと、これを食べて、こうするようにって、正しい見識で正しい指導を、それを半ば矯正という形でやっていかなきゃダメだとは思うね。俺は正しい方向に導けない国が悪いと思ってる。仏教を重んじて肉を食わせなかったのはすごく良かった。ベーシック・インカムで金を渡してもさ、無知な人は正しく使えないんだよ。やっぱり変なものを買って食べて、暑い暑いって言って、病気になってしまう。自己責任ってことになってるけどさ、それはあんまりだと思う。情報を見極めようっていうけどさ、こんなの多義に渡りすぎていて見極められっこないよ。いくらベーシック・インカムを導入しても、みんな、安くて美味そうなものに飛びついちゃうよ。だからね、絶対にそういう欲を刺激してはならない。騙す必要のない社会を。何を食べて、どうやって住むか、衣食住を、よくよく見極めてないといけない。それは国民一人一人の仕事じゃなくて、知識ある導いていける賢者の仕事だと思う。だからね、それで老子は言ったんだよ」

八〇 鶏犬の声相聞こゆ  

国は小さく、人口も少ない。かりに文明の利器に恵まれたとしても、人々は見向きもしない。それぞれに人生を楽しみ、他所へ移ろうとしない。 舟や車があっても乗ろうとはしないし、武器はあっても手にとろうとはしない。あえて読み書きを習おうともしない。それぞれの生活に満足し、それぞれに生活を楽しんでいる。 鶏や犬の声が聞こえてくるようなすぐ近くに、隣の国があっても、往来する気などさらにない。

●社会や国について『老子』の理想を述べた章である。これをしいて箇条書きにすれば、つぎのようになる。  

 一、小さな村落共同体  

 一、自給自足の経済体制  

 一、反文明の自然社会  

 一、隔絶した閉鎖社会  

現実には永遠のユートピアなのかもしれないが、失われた人間性を回復するには、こういうあり方が理想なのかもしれない。 なお、晋代の詩人陶淵明は、この記述をもとにして「桃花源の記」を書き、「桃源境」に思いをはせた。

守屋 洋. 新釈 老子 (PHP文庫) . 株式会社PHP研究所. Kindle 版.

友達「でも、大衆が力を持ちすぎちゃって、それはもう無理だと思うけどね」

しまるこ「今やっているのは、そういう戦争だと思うけどね。戦後の、ギブミーチョコレート、ギブミーチョコレートってやってるのが今も続いていて、甘いお菓子や便利な家電を与えられて、それ無しじゃ生きていけないように調教されて、薬漬けと一緒だね。今じゃあ、三食のうち一食でも抜かされようなものなら豚みたいにブーブー泣き喚いて、虐待だの、深刻な大問題になって大騒ぎするくらいの、薬漬けの依存症にされて、この程度の暑さで大騒ぎして、冷房ガンガンつけてね。そうやって心と体をじわりじわりと弱くしていって、圧倒的多数の弱い人間を作り出して、内部から崩壊させていくという。それが計画的だったのかどうかはわからないけど、結果的にそうなっている。でも、今じゃあアメリカよりもこの圧倒的多数の作り出された弱者の方が厄介になっている。昔から起こると言われていた大災厄というのは、これを指しているんだと思うけどね。肥田先生が国の先を憂いて死んでいったのは、これを指してるんじゃないかと俺は思うけど。別に大きい地震とか火事とか津波じゃなくてさ、今、現に起きている、日本人の心身がめちゃくちゃにされているこの事態が大厄災なんだと思う」

しまるこ「今やっている戦争は、血と鉄ではなくて、そういう戦争だろうね。日本なんてどこにもない、味噌や納豆や伝統食や着物、日本という文化が根こそぎ奪われていって、それも、それを自分たちの方から差し出すかのように、じわりじわりと、回りくどい方法で、こちらから差し出すかのようにして奪われていっている。そういう戦争をしているんだと思う。今ではもう奪われているのか差し出しているのかわからないほどに、正しく見極める目が奪われてしまっているんだから」

しまるこ「あるべき姿を無視して単に欲求の方を優先させてきた弊害というか、自然に還ること、自然から離れたものは、必ず何かしらの弊害を受けることは免れない、だからね、どんな方法が採用されようとも、もしそれが自然から離れてしまっている政策案だったら、認めちゃいけない、だから、できる、できない、よりも、何があるべき姿かっていう方を、よく考えなきゃいけない。食べ物も一緒だよ、口に入ればいい、腹が満たされればいい、安ければいい、じゃなくて、人は何を食べるべきなのかをまず考えなきゃいけない。たとえその通りにはいかなかったとしても、それに近づく努力をしなければならない。必ず別の弊害が起こると思ってる、だから、科学は、自然を第一にして、それを副次的にサポートするという場合に限って使うものだと思う。土の上を走れる何か」

友達「なんでそんなこと考えてる奴が出前館やってるのかいちばん言いたいわ(笑)その食い物と、食い物をコンクリートの上を走って届けてんじゃん(笑) Wでやってんじゃん(笑)」

しまるこ「お前も病院で働いてるから一緒だろ(笑)」

しまるこ「欲との戦いだろうね」

しまるこ「まぁ、俺も文明を完全に捨てようと言ってるわけじゃないんだよ。ヨガナンダ先生も、東洋と西洋の和洋折衷を熱望していて、西洋の優れた文明技術を使って、暮らしを便利して、仕事を少なくして、それで空いた時間で真我を求めるようにしなさいって言ってるし」

友達「だったら、ベーシック・インカムの金で、好きに使わせて、お前らがお前の言うそういう暮らしをして、幸せそうに見えたら、それを他の人たちも真似するようになるんじゃない? 初めから、こうしろって強制するより」

しまるこ「それはそうなんだけどね」

しまるこ「ドイツなんかは、午前だけ仕事して、午後は散歩しているらしいけどさ、なんか、森がそこら中にあるらしいんだよね。確かに、ドイツの街並みや暮らしをネットで検索していて見ていたら、綺麗な森林がそこら中にあって、みんな散歩している。そこは見習いたいところだよね。午前中だけ仕事して、午後は散歩すべきだと思う、森林の中をね。俺もそれを見て、真似したいなぁって思った。そのために、コンクリートを剥がさなければならないと思った」

友達「ドイツだってコンクリートあるだろ(笑)」

友達「ドイツって午前しか働かないの?」

しまるこ「多分」

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