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メンタリストDaiGoの件は「へー、そうなんだ」でいい

友達「メンタリストDaiGoのやつすごいね、知ってる?」

しまるこ「知ってるよ」

友達「めちゃくちゃ炎上してるらしいね。ホームレスより猫の方が大切ってさぁ、別にさぁ、その人の考えじゃない? 強制してるわけじゃないし、その人の感想だと思うんだけど、何でそんなに騒ぐんだろうね?」

しまるこ「俺もそう思う」

友達「もう正解でも不正解でもいいじゃん。ぜったい正解言わなきゃいけないのかね? DaiGoが改心するならともかく、絶対しない人じゃん。言っても無駄じゃん」

友達「どっちが正解だろう? っていう微妙な二択の問題だったらさぁ、燃え上がるのもわかるけど、こんなの、良いか悪いかなんてはっきりしてるじゃん」

しまるこ「悪い悪くないでいえば、スーパーで毒物が普通に売られていることの方が悪いとは思うけどね」

友達「反応せずにいられないんだろうね。なんで反応すんのかな? 『反応しない練習』だっけ? なんかめっちゃ売れてるみたいだけど、ぜんぜん本の通りになってないじゃんね」

友達「でも俺の予想だと、騒いでる人って本当はわずかだと思うんだけど。職場の人はなんにも言わないもん。話題に上がっても、『へーそうなんだ』しか言わないもん。俺も『へーそうなんだ』としか思わないし」

しまるこ「俺もそうだよ」

友達「実際のところはみんなどうでもいいと思ってるよね? 騒いでいる声だけがクローズアップされてるだけでしょ? 声を上げない声はクローズアップされることがないからね。そしてクローズアップされない声の方が圧倒的に多い。だから、まるで日本中が騒いでいる構図ができあがっちゃってるんだろうね」

しまるこ「だろうね」

友達「『へー、そうなんだ』以上に、何でなっちゃうんだろうね? たぶん文句言ってる人達も、ホームレスより猫の方を大切にしてると思うんだけど? 猫が寄ってきたら可愛がるけど、ホームレスが寄ってきたら通報すると思うんだけど」

しまるこ「猫カフェはあっても、ホームレスカフェはないからね」

友達「ああいうことを公の場で発言することが良くないってことなのかな? あなたみたいな発言力がある人が民衆の倫理観を麻痺させるようなことを言わないでください! ってこと? 弱者特有の道徳の押し付けというか、自分のことを差し置いて他人を完璧にしようとするよね。じゃないと、うっかりDaiGoの発言を信じちゃいそうになるのかな? それに対する不安なのかね? 裁判官が裁判官らしいように、偉い人は偉いままでいてくれないと許せなくなっちゃうみたいね。他人に完璧を求めすぎてるのかね? 完璧を求めながらも、普段からDaiGoに負けてるから、勝ちたい、やっと勝てそうなチャンスが巡ってきた……!っていう小物の心理が働いているように見えるけど」

しまるこ「たぶん俺が思うに、彼らはDaiGoの動画の視聴者で、『DaiGoさんありがとうございます!』『すばらしいお話です!』と言っている人たちが言っているんだと思う。すぐに『ありがとうございます!』って書き込む人間は、すぐにアンチにもなる。何も思っていない人間に対して、なかなかああいう行動にはでない。アンチのほとんどは元信者だよ。もしくは現在進行形の信者。まぁ信者とまで言わなくても、質問したりしている人たちが、別の場所や別の名前で文句を言ってるもんだ。人間はその人に対してひとつの感情だけで済ませられるもんじゃない。わざわざネットでコメントする人は、賛否問わずなんでもコメントせずにいられないんだよ」

友達「騒いでる人たちのさぁ、いくら言ってることが正しかったとしても、一対多数だからね。しかも、名の知れてない多数。もう構図が中世の魔女狩りみたいになっちゃってるからね。その構図が負けじゃん。烏合の衆じゃん。少しカメラを引いてみればすぐに分かりそうなもんだけど。その構図に気づいていないことがすべての敗因のような気がするけど。『魔女だーーーーーー!! 魔女を見つけたぞーーーーー!!』って叫んでるのが今のTwitterでしょ? 自分では魔女を刈り取る勇気も、サシで向かい合う胆力もないけど、見つけたことは叫びたいんだろうね。そこに自分の使命感がいちばん燃え上がる、小人の美学だよ」

しまるこ「(笑)」

友達「そうして一世紀経てば、ジャンヌダルクを火炙りにした民衆を、(なんて馬鹿な奴らだ……)って驚愕するんだけど、それが一世紀前の自分だからね。一世紀前の自分がジャンヌダルクを殺しておいてドン引きしてる。一世紀経たなきゃ、一世紀前の自分のいた構図を遠巻きに眺められない。そして今いる時世においてはまた盲目になってる。また『魔女がいたぞーーーー!!』って騒いでる。毎回、毎回、いっつも一世紀分遅れてる」

しまるこ「止まんねーな(笑)」

友達「メンタリストのくせにメンタル弱いってみんないうけどさぁ、もし自分があんな風に日本中から槍玉にあげられたら、みんな次の日会社に行けなくなると思うんだよね。自殺したっておかしくない。でも、DaiGoは普通に買い物してそうな気がするんだよなぁ。DaiGoだから耐えられてるけど、他の人だったら死んでるんじゃない? そうやって、これまで何人もTwitterで叩かれて死んでいった人がいるのに、まだこれをやり続けるんだね」

友達「愛がないことに怒ってるんでしょ? ホームレスに対して愛がないってことで怒ってるんでしょ? だったらさ、こうして寄ってたかって、一人の人間を日本中みんなで叩くっていうその行為がさ、愛がないじゃん」

友達「本当にその気持ちが愛から出発しているとしたら、その愛はメンタリストDaiGoにも向けられてもいいんじゃない? だってそういうことでしょ? 愛でしょ? 愛がないことを怒ってるんでしょ? 注意する側が同じことしちゃってんじゃん! じゃないと、あんな喧嘩腰の言い方にならないでしょ!? まぁ正直Twitter見てないからわかんないけど。ぶっちゃけメンタリストDaiGoの動画も見てないけど」

しまるこ「見てないってどういうことだよ!(笑) 見てないのに、なんでそんなに熱く語れんだよ!(笑) いったい誰と誰のことを話してんだよ(笑)」

友達「(笑)」

しまるこ「まぁ見る前と見た後で変わらないと思うけど」

友達「でしょ?」

しまるこ「まぁでも、ちょっと言いすぎてる感はあったかも。メンタリストDaiGoにしては冷静じゃなかったような、なんであんなに自分を不利にする発言をするのかなっていう不思議はあったけど」

友達「あ、そうなんだ。でもさぁ。それを喧嘩腰で咎めたって仕方なくない? 自分の中で気づいて、自発的にそれが起こって、自分で直していくしかないじゃん? 他人がしてやれることなんて何もなくない? メンタリストDaiGoだって、いいか悪いかわかった上で発言してるんでしょ? その上で、これはあくまで自分の考えです、ただ自分の考えを話しているだけです、発言の自由は憲法で保障されていますっていうスタンスでしょ? たぶん。で、メンタリストDaiGoを咎める声だって、やっぱりその人の考えなわけでしょ? で、考えと考えがずっと平行線になるだけでしょ? Twitterの世界って全部そうじゃん。今までだってずっとそうだったし、これからもそうでしょ? たった一度でも、線がひとつになったことがあんの?」

しまるこ「(笑)」

友達「本当に心の底から、ホームレスの命を馬鹿にして、良くないことだったって、本当に心の底から改心させることってさ、そんなに今すぐできること? たくさんの時間が必要になるんじゃない? まぁ、実際メンタリストDaiGoも、ホームレスの命の方が大事だと思ってるんだろうけど。別にメンタリストDaiGoを庇うつもりはまったくないんだけどさぁ、結局さぁ、この人の言うことなら信じられるっていう人の言葉以外、届かないじゃん? 丁寧に優しく言って、そして言った人がそれを正しく実行していて、それでやっと届くもんじゃん? 怒ってる奴らだって、 自分の身になって考えればそうでしょ? 喧嘩腰であれこれ正論ぶつけられて、一度でも『はいその通りです。ごめんなさい』って、納得できたことなんてないでしょ?」

しまるこ「リハ科のリーダーはやっぱり言うことが違うなぁ。部下の教育について普段からよく考えていることがわかる発言だ」

友達「(笑)」

しまるこ「『目には目を』では、世界中のすべての目がなくなるまで終わらないってガンジーが言ってたね」

友達「もし愛の不足で怒っているんだとしたらさぁ、それを愛の不足でぶつけたってなんの意味もないことじゃん。違うでしょ? 攻撃したいんでしょ? 苦しめたいんでしょ? あわよくば失墜させたいんでしょ?」

友達「同意できないなら、『へーそうなんだ』でいいじゃん。どうせ、抗いようのないものには抗わずに生きてるじゃん。会社で上司に不毛なことを言われても、そのときは何も言わないじゃん。上司が『ホームレスなんて死んでもいい』って言ってても、それで終わりにするでしょ?」

しまるこ「だろうね」

友達「なんで反応するのかね?」

しまるこ「何か反応したり、何か考えたり、何か言わないと、間に合わないと思ってるからだよ。間に合わせようとするから、浅薄なもので対応するようになる。純粋意識のままで対応するという方法を知らないんだ」

しまるこ「物事とくっつかなければ対応できないと思ってるけど、反応しなくても対応することはできる。あるがままの状態ですべてに間に合わせることは可能だよ。そしてそれが本来の自分なんだ。人はひとつ話すたびに、ひとつ自分を失っていく。みんな自分の知性を中の上だと思ってる。誰も彼もが、中の上という立場からでしか発言ができない。生きている以上は、どうしても人は自分の知性を中の上だと思ってしまうらしいけど、その矜持が反応しているようだね。日本刀のように、よく研いだ自分の意見を腰に携帯させておくことが、現代人の嗜みだと思ってる。そしてそれを抜かずにはいられない。何も持たなくていいんだけど、持とうとしてしまうところにすべての弊害があると思う」

友達「俺は単純に、器が小さいからすぐにあふれちゃってるだけに見えるけど」

しまるこ「そうなんだけど、すべてにおいて間に合わせようとしている。自分でいるときの間はただ沈黙だけがあるんだけど、間に合わせようとして、自分から離れてる」

しまるこ「お前の言う通り、『へーそうなんだ』のままでいいと思う。そこが始まりであり終局だと思う。そのままの状態で話すことはできるし、そのままの方がずっとすべてがスムーズになる。必要なら慌てたフリをすればいい」

しまるこ「白隠禅師の話があってね、

あるとき、村の娘が父なし子を産みました。娘の父親は、だれの子かと問い詰めましたが、娘は頑として相手の男の名は口にいたしません。

しかし、とうとう耐えきれずに、白隠さんの子だとウソをついてしまいました。父親が日ごろから敬愛している白隠さんの子であれば、許してもらえるだろうという娘の浅知恵でした。

もちろん白隠さんは、身に覚えのないことです。娘の父親は松蔭寺に駆けこむや、「この生グサ坊主!よくも娘をキズものにしたな。お前の子だ、受けとれ」と怒鳴りながら、赤ん訪を突き出しました。

白隠さんは何の言い訳もせず、「ああ、そうか」と赤子を受けとりました。この日は飴湯や米の粉をといて与え、翌日からは村中を「もらい乳」して歩き回りました。それまで、高僧・傑僧として尊敬されている白隠さん、一転してとんでもない破戒僧とさげすまれ、弟子たちはもちろん信者も離れていきました。それにもかかわらず悠然ともらい乳して歩き、赤子を親身になって育てる白隠さんの姿に、当の娘のほうがこらえきれなくなり、ついに父親に本当のことを白状しました。

驚いた父親は、さっそく白隠さんに非礼をわび、赤子を返してほしいと恐るおそる申し出ました。このときも白隠さんは「ああ、そうか」と、泰然として赤子を返したといいます。

しまるこ「これが正しいTwitterの活用の仕方だよ」

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