夫「ねぇ、なんで最近ブラジャーしてないの?」
妻「え? やっぱり嫌?」
夫「うーん、ちょっと色気という面では、残念というか、男と一緒に生活してる気分になってくるところはあるね」
妻「そ、そんな」
夫「以前と比べて乳も下がってきてるんじゃない? 前はもっとバーベルをかつぐビルダーのような勇ましさがあったような気がするけど。さいきんは腕立て伏せ一回で力尽きちゃう女の子みたいに、へたーっとしてきているような」
妻「はぁ!? 下がってきてないし!」
夫「それにやっぱりセックスの時にブラジャーをつけてないと、男とセックスしている気分になるというか」
妻「ブラジャーとわたし、どっちが大事なのよ!」
夫「しかし、ブラジャーをしていないと重力に負けたままの形で固定されてしてしまいかねないから、やっぱりしていた方がいいんじゃないか?」
妻「はーい、でたー! その都市伝説いまどき信じてる人いるんだー! 『an・an』にはブラジャー着けてないからって、垂れ下がってこないってことは証明されてまーす!」
夫「そうかなぁ? アマゾンの部落の民族とかみんな垂れ下がってるじゃん。脱皮した後の蛇の皮つけてるみたいに」
妻「私の乳が脱皮した後の蛇の皮っていってるの?」
夫「いや、そうは言わないけど」
妻「ブラジャーみたいに、ワイヤーの力で外部から持ち上げていたら、それは大部分をワイヤーに頼り過ぎてるじゃない? 私は自分の力で持ち上げたいの!」
夫「まるで勃起だな」
妻「……」
夫「胸筋が大事なのかな? しかしボディービルの女の子たちはみんなぺったんこだね」
妻「たしかに」
夫「胸筋じゃなくてパイ筋を鍛えるのがいいのかもしれない」
妻「パイ筋?」
夫「そう、だから胸筋とは違う神経回路を通っている、乳へと繋がっている中枢神経からの回路をキャッチできるかどうかが鍵だと考えられる。そこをキャッチしてピンッ!と力を入れる」
妻「それどうやるの?」
夫「イメージとしては、こういう感じ」
夫「膣もそうやって鍛えられるというからね。じっさいスポーツやってる女の子の膣の締まりは良いと言われている。理学療法士の友人も膣は筋肉だと言っていたし。肛門をキュッと締めるように随意筋を収縮させるんだ」
妻「おっぱいは脂肪じゃん!」
夫「まぁ、そうだけど、でも、乳首をつねって感じるということは、神経が通っているということでしょ? 神経にピンって力を入れてあげれば、重力に負けないパワーが身につくんじゃないかと、そんな感じがするんだ」
妻「あなたの直感でしょ?」
夫「まぁ、俺の直感だけど」
夫「やっぱブラジャーが悪いのかもしれんなぁ」
妻「え?」
夫「まぁ、ワイヤーの強度は調整できるのかもしれないけど、基本的にずっと胸部を締めつけているわけじゃない。胸部、そう、心臓だよね。自分自身の核となる部分。神が眠っている場所。それをギュッと締め上げられていると、確かに、積極性というか、おてんばというか、世の中に対しての活動的なエネルギーが奪われそうな気がする」
妻「……そうかもしれない」
夫「確かに、俺も試したことはないけど、ブラジャーを装備して、その姿で日常生活を送ることを想像してみると、確かにパワーが20%ぐらい落ちるような気がする。女性らしく、しおらしく生きなければならないという気がしてくる気がする」
妻「そう?」
夫「ちょうど、いちばん思春期の、いちばん多感で、いちばん女の子が女になろうとする時期に、それで締め付けられるわけだ。ちょうどブラジャーを身につけた辺りから女の子はしおらしくなる。ブラジャーが先か、彼女の遺伝子が先かはわからないけど、相乗効果が図られるのは確かだろう。『初塩』とおよそ同じ時期につけ始めるからね」
ハカタの塩の精霊「は・か・た・の・し・お!」
ハカタの塩の精霊「は・か・た・の・し・お!」
夫「ブラジャーは確かに、試したことはないけど、つけたら自分が囚人のように鎖で繋がれている気分になりそうだ。これを身につけているだけで、気分が『陰』になってくる。クラピカのチェーンジェイルで締め付けられてるような、いやジャッジメントチェーンか」
妻「?」
夫「やっぱり、『ピン!』ってやるしかないんじゃない?」
妻「えー」
夫「さぁ、立って、やるよ!」
夫「『ピン!』」
妻「『ピン!』」
夫「もっと、神経回路を意識して……!」
妻「ピンッ!!」
妻「ピン!!」
夫「ピン!!!!」
夫「ピン!!!」
妻「ピン!!!」
妻「ピン!!!」
妻「ピン!!!」
ハカタの塩の精霊「は・か・た・の・し・お!」
ピン!!!
ハカタの塩の精霊「は・か・た・の・し・お!」
ハカタの塩の精霊「は・か・た・の・し・お!」
ピン!!!