恋愛 おちんちんバスターズ

それゆけ! おちんちんバスターズ! 第5話「恋はメンヘラでしか成し得ないか」

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ミチコ「あれ? なんだろうダイレクトメッセージきてる」

森「こんにちは、ミチコさんのツイッターを拝見させてもらって、とても感銘を受けました。些末なわかり知れたことを叫んでいるインフルエンサーたちとは格式が違いますね。こんなに真摯に自己と格闘されている女性がいるのかと、とても感銘を受けました」

ミチコ「はじめまして、森さん。いいえ、もったいないお言葉です」

ミチコ「こんな、わたしの恥ずかしい心の叫びの数々を受け止めて頂いてありがとうございます。足を止めてまで、見ていただく価値があるかはわかりませんが……。こんなことをしていたって一文にもならないし、余計に世の中から離れていってるだけです。わたしは、わたし自身にもううんざりしてしまってるところがあって、うんざりをこぼすことにうんざりしている感じですよ」

森「おや? それはよくありませんな。私はミチコさんのとても純粋に放たれた言葉の数々に引き寄せられてやってきた小虫です。ミチコさんの明かりを頼りにしか、この世を飛び交う術をしらない小虫です」

ミチコ「とんでもありません。実生活でこんな呟きばかりしていたら、友人を失うだけなので、こうしてネットの隠れ家で一人ぶつぶつやっているだけです。友人や職場の同僚にこんな話をしたって、暗い気分にさせてしまうだけですからね。真摯に向き合おうとすると、かえって他人の気分を下げてしまう。だから、黙っています」

森「失礼な物言いになるかもしれませんが、まわりのご友人や知人方が、ミチコさんのレベルに追いついていないのでは?」

ミチコ「そんなことないですよ(笑)他の女の子たちはああ見えてとても気配りが上手いし、よく気がつくし、ほんとうは空っぽに見えて中身が詰まっているんじゃないかと。みんな、わたしと同じくらい物を考えた上で、敢えてああやってるんじゃないかと思うんです。わたしはやっぱり落第生でしかないような気がします。だからもう卒業してしまおうかと思っているんですが、なかなか卒業もできなくて。森さん。こんな風に気にかけてもらってありがとうございます。ネット上の中でわたしを見つけ出して、歩みを止め、声をかけてくれてありがとうございます」

森「ミチコさんの核にあるところですからな、そう簡単には卒業できないでしょう」

ミチコ「もしこれがわたしの核だとしたら、マイナススポットが歩いているようなものですね(笑) じっさいお笑い芸人さんなんて見てると、こういったことをすべて乗り越えた上でお仕事をされているような気がするんですね。孤独の最奥から持ち帰ったもので他人を楽しませている。そこまでいっている。そう思うと私はまだ孤独の渦中の真ん中で溺れているというか、ただのわがままというか、案外、何も考えてなさそうな女子高生の方がよっぽど進んでるんじゃないかって思うんです。アイドルの子達も……」

森「……」

ミチコ「みんな、もうとっくにこれを卒業して、そこから得たものを周りに還元させているところまで進んでいるのではないかと思うんです。それが最上クラスになってくると、スピルバーグみたいになるんじゃないかと思います」

森「ふむ」

ミチコ「なぜだろう。徳や人生について考えてるわたしの方がよっぽど周りを暗くさせてしまっている。みんな、あの子達はお酒とかが空っぽになるとすぐに気づいて注いだりするけれども、わたしは本当にいつも気づかない。わたしもやろうとはしているんですけどね。本当はそんな事はくだらない、やる必要なんてないと思っているからでしょうか。考えてるからできなくなってしまうんでしょうか。やろうとしてもパッとすぐに行動に移せないんですね。愛とか恋とか徳というものは、案外反射神経のような気がしないでもないんです」

森「反射神経……ですか。わかるような気がします」

ミチコ「わかりますか! そうですか! でもそうやってわかるって言われると、今度はなんだか、本当にわかってるのかなって言いたくなっちゃうんですよね。ごめんなさい、悪気はないんです。ネットだから、たまたまの通りがかりの人だから、つい正直に何でも話してしまっています。ご気分を害されたらすみません。……。そう、わかったように話しかけてくるなよとか思っちゃうんですよね(笑)一人でやる分にはいいんですけど、二人でやっていると、一人でやっているときの完成度を相手に求めてしまうというか。とくに異性に対しては……。こうやって男女で形而上学問題について話し合っていると、今度は普通にただ映画を見ているカップルのような空気を吸いたくなるというか」

森「……」

ミチコ「こういう話をできる友人や異性を求めていたと思っていたら、今度はなんだか遠ざけてしまいたくなってしまったり、それすら棒に振りたくなるというか、自分にも相手にもうんざりしてきてしまって、軽い話を求めたり、重い話を求めたり、本当にわたしは自分勝手です。相手に求めすぎでしょうか? 相手に完璧を求めることほど愚かなことはないと坂本龍馬がいっていたんですが。あぁ、なんでわたしは今日初めて知り合った人にこんなことを話しているんだろう。すいません、酔っ払っているわけでもないのに」

森「とても興味深いお話をしてくださってありがとうございます」

ミチコ「森さんは素敵ですね。つい、なんでも話せてしまいます。ああこれ、あとで恥ずかしくなるやつだ(笑) 森さんばかりずるいですよ。森さんんももっと何でも話してください。森さんが『うん』とか『そうですね』とか聴き役に徹してくれているからかな? 確かにそうされると、こっちはいくらでも話したくなっちゃうけど、でもそれって、わたしあんまり好きじゃないですよ」

森「そうでしたか、失礼しました」

ミチコ「す、すいません……。あの、ぜんぜん自分を出してくれていない感じがして、手を抜かれてるんじゃないかって思ったりして、それも一つのテクニックというか、コミュニケーションの戦法として見なされている感じがしてしまうというか、こっちばかりこんなに赤裸々に話しちゃって、あとで自分だけが恥ずかしくなるというか、失うのはわたしだけというか。まぁ、失うものは何もないんですけどね(笑) 話すのは楽しいし、話しててスッキリするんだけど、ふと我に返ったとき、やっぱりわたしばっかり身銭を切りすぎたというか、あなたの方は失ってるもん何もないじゃないの? とか思ったりして。ほんとうに、ただ聞いてくれる人にすら、イライラしてしまうという最悪な状況なんですよ、わたし」

森「ミチコさん。おっしゃるとおりです。私は卑怯者です。こちらも胸襟を開かなければいけませんね」

ミチコ「でも、こんなこと言われたって、森さんの方もどうしようもないですね。わたしが勝手に話しているだけだし。わかっているんです」

森「……」

ミチコ「親友とはよくこういう話はするんですけれども、結局、いつも、『がんばろうね』で終わるんです。いつもそれです。そうなることはわかっているし、そうしないとやっていけないから、最後は二人でがんばろうねって言って終わるんです。親友が言ってました。結局のところ、『やる』か『やらない』しかないと。『やる』と決めた以上は、そのための前進となるための手段だけを取るべきだと。その通りなんです。うだうだ悩んでも、結局最後は『やる』という結論に行き着くわけだし、『やらない』というのは死ぬのと同じわけですから。もう、こうしてグダグダいうのは無駄なんです。わたしもそれはわかっているんです。基本的にはそれを実行しています。だけど、どうしようもなく、ただボヤいてしまいたくなる夜があって、別に悩んでいるわけじゃないんです。本当に、何に悩んでるというわけでもなくて、解決したいこともないんです」

森「ふむ……」

ミチコ「ただ話を聞いてもらいたいような気がして、でも聞かれたところで別にって感じだし、ただ『うん』とか『ああ』とかわかったようなこと言われても、なんだかなって感じだし。もう考えることも考えたいこともないのに、思考が消えてとまらない。この入り組み様を、他人を使って解決しようと思うこと自体が最低な行為ですよね。別に解決しようなんて思ってないし、力になってもらいたいと思ってないし、聞いてもらいたいとも思ってません。わたしはもう、相手になにをしてもらいたいのかもよくわからない。黙ってそこにいてくれればいい? わからない、どうだろう。そしてわたしは今日はどこまでおしゃべりなんだろう。森さんは不思議な方ですね。……。ただぼんやりとした不安だけが残っている状態でしょうか? ここが、わたしの精神の終局なのかどうなのかわかりませんが、少なくともこの感情が、いちばんわたしの目の前にある、身近にある感情だから、いちばん口に出しやすいから出しているだけなんですね。本当にそれだけなんです。わたしは目の前にあることをしゃべっているだけ。何に悩んでいるわけじゃないんです。こういうことを言っていると心配したくなるでしょ? でも心配されるのも嫌なんです。心配されるのがいちばん嫌なんです。心配しないでって言わなきゃいけなくなるのが面倒くさいから、私は誰にも何も言いたくないんです」

森「…………」

ミチコ「迷惑ですよね。たった今、Twitterで知り合った人に、何を言ってるんだろう。はぁ。ごめんなさい。本当にごめんなさい」

森「気にされないでください。私も同じです。皆誰もが抱えていることです。それを口に出すか出さないか、言語化できるかできないか、の違いでしかありません」

ミチコ「……。普段は、けっこう明るいんですよ。これが本当のわたしだと思われたら嫌だな(笑)まぁ、別に今Twitterで知り合った人だから、どう思われたってもいいんだけど……。って、なんていったら、これも失礼ですよね。本当にネットの世界だと、責任がないからなんでも言っちゃう。良くないですよね」

森「光が多いところにまた闇も大きくなります。精神の幅が広いのでしょう。人間の幅が広いということです」

ミチコ「なんでも肯定なさるんですね」

森「………」

ミチコ「すいません。なんでも肯定されると、バカにされてるんじゃないかと思ってしまうところがあって。でも、普通、目の前のメンヘラの女がなんか言ってたら、そうやって軽く流したり、たしなめるしかないですよね」

森「Twitterでたまたますれ違ったという、春のように出会って春のように去っていく、そんな関係だからいいじゃないですか。そんな関係でないとできないことがあります。教会がなくなった今日、神父はTwitterを棲家にするしかないのです。それがネットのあるべき形でしょう。ミチコさんは今、正しくネットを使われている。それだけのことなのです」

ミチコ「ありがとうございます……」

ミチコ「でも、森さんに何のメリットがあるんでしょう」

森「メリット? デメリット? そんなものが人間の会話に必要でしょうか? およそ平温温度の血脈を体内に宿している人間にとって、これは普通の会話をしているだけではないでしょうか」

ミチコ「ありがとうございます。森さんはがんばれって言わないから好きです。わたし、がんばれって言われるの嫌いなんです。がんばれっていわれると、わたしががんばってないみたいだし、何をがんばればいいのか、がんばれって言ってる人ですらよくわかってない。言いたいから言ってるだけなんじゃないのかなって、いちばんそれが身近で反射的に出やすい言葉から出ているものなんじゃないかって勘ぐっちゃうんですよね。がんばれって言葉を平気で言えちゃう無神経さの人にがんばれっていわれても、わたしの言ったこと何にも掴んでくれてないじゃないって思っちゃうんですよね。案外、がんばれって言う側の人の方が気持ちよかったりするんですよね。と言っても、わたしもつい言っちゃうんですけどね(笑) 言わないと決めてないと、言ってしまうものですからね。でも、言わない人は言わないんですよね。注意力がある人はいわない。その人がまっすぐな気持ちで言ってくれたことだし、気持ちもわかるんですけど、わたしのこの面倒くさい、この吹き出物のような心が100%キャッチする前に切り離されたというか、7割ぐらいのところで受け止められて、それで行って来いって感じで、投げやりに片付けられてしまったというか」

森「……」

ミチコ「100%……」

ミチコ「100%……、100%も理解されちゃったら、それはそれで嫌なのかもしれない。でも、神様はいつもわたしのそばにいて、わたしのことを100%理解してくれている。それは確かに感じるんです。神様はいつもわたしにがんばれって言ってくれています。神様だけは、100%の気持ちを理解した上で言ってくれるんです。それは確かに感じられる。水や酸素よりもずっと身近に感じられます。そうやっていつも背後に大霊のようなものがそばにいてくれて、励ましてくれているのがわかるから、わたしはがんばれるんです。今話していて気づきましたが、わたしはこれと同質のものを他人に求めてしまっているんではないでしょうか?」

森「しかし、誰の心の中にも神はある、ミチコさんの中にいる神と、その人の中にある神が交わることができれば、もしかしたらということはありえるかもしれません」

ミチコ「それはずっと私が思っていたことです。わたしが思っていた行動をそうやって口に出してくれるから、わたしは感動するんです。新しい発見ではありません。森さんの言葉の中に、わたしを発見できるから、こんな素敵な気分になるんでしょう。思いもよらないことだったら、こんな気持ちになるはずはありません。まるで私の心を盗んでいらっしゃるようです。すいません、失礼なことばかり言って。どうしてわたしは今日はこんなにおかしいのでしょう。いつも詩人気取りの顔をして座っているだけなのに。周りの恋愛話を小馬鹿にして座っているだけなのに。わたしは今彼らのようにありつつある。たとえ誰に白い目で見られようとも、この楽しいおしゃべりをやめられるはずがありません。彼らはいつも彼らに出会っているから、すなわち自分自身と瓜二つの人間に出会ってばかりいるから、おしゃべりをやめられないのでしょう」

森「同じ考えのものほど、私達を安心させてくれるものはありませんから」

ミチコ「……」

森「同じ考えのものほど、わたしたちを安心させてくれるものはありませんから。が、しかし、矛盾こそ我々を生産的にするのです」

ミチコ「矛盾?」

森「良心が細かすぎる証拠です。自分を道徳的に尊いと考えているから、良心が咎めてならないのです。もし偉大な行為で平衡をとらないと、良心の人はヒポコンデリーになってしまうのです」

ミチコ「言われてしまいましたね。返す言葉がありません。確かにその通りです。もう乾いた笑いしか出てきません」

森「……」

ミチコ「はぁー、わたしはもう裸にされてしまいました。もう何一つ残っていません。Twitterで初めて知り合った人に、一糸まとわない姿にされてしまうなんて。もうわたしには何もありません。何も残っていません。何の味もしないわたしでよければ好きにしてください」

森「……」

ミチコ「ああ、わたしはどこに向かえばいいのでしょうか。ああ、そういうことか。わたしはこれをずっと恐れていたのか。わたしは今までずっと魂のレベルで渡り合える人を探していたけれども、本当はずっと知り合いたくなかったんだ、ずっとこんな風にされるのを恐れていたんだ。だからずっと孤独でいたんだ。だからずっと自分の中から外れないようにしていた。そうだ、その通り、わたしの魂の行き場所はなくなってしまった。もう帰る場所もない。ずっとホストを刺す風俗嬢のことをバカにしていた。しかし、心が自己破産してしまったらどうしようもない。心が自己破産するのを恐れていた。わたしは今誰にも見せたことのないわたしを人に見せている、怖い。怖い」

ミチコ「助けて! 怖いんです……!」

森「…………」

ミチコ「助けて! 怖い!」

ミチコ「どうして黙っているんですか! 黙ってないで何とか言って下さい! 卑怯ですよ、黙っていればいいと思っている……! それは決して高度なコミュニケーションでもなんでもない! 卑怯者! あなたの思いどおりにはならないんだから!」

森「…………」

ミチコ「わたしをこんな風にした責任を取ってください! わたしはもうわたしではなくなってしまった。わたしを壊した責任をとってください! わたしをこんな風に壊しておいて、わたしは明日からどうやって生きていけばいいんですか!」

森「……」

ミチコ「そうやって黙ってそこにいられるだけで、画面の前に居座られているだけで、まるでわたしに語られているみたい。わたしにずっと見られている。わたしはわたしの前では嘘をつけないから、本当のことをいくらでも話してしまう。これが恋、これがセックス? これはセックス以上のセックスだ、これがセックスじゃなかったのなんなのだろう!」

森「………」

森「ミチコさん」

ミチコ「なんですか!? 名前を呼ばないでください! 気安く名前を呼ばないでください! 名前を呼ぶな! 画面を! 画面を今すぐ閉じてください! 画面を閉じて! 画面を閉じろ! いや! 閉じないで! 閉じないでください! う、う、う、うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

ミチコ「こんなわたしなんて! でもこれがわたしの正体なんです! これがわたしの正体!? わからない! もっと平穏がいい! これがわたしの正体だとしたら、わたしはこの正体が嫌いだ! あああ! さっきからずっとこの正体がわたしから離れてひとりでに話しているのです! 正体だけが浮遊してずっと話しているのです! じゃあわたしは誰!? 今ここで話しているこれは誰なの!? 教えて下さい森さん! あなた何でも知っているんでしょう!? ああ、公衆の面前でおしっこしてるみたい。見ないでください。お願いだから、もう見ないでください。こんなわたしを……、これはわたしではないんです」

森「……」

ミチコ「この状態で明日わたしは会社に行かなければいけないんですか? 明日会社に行けと言うのですか!? 廊下で上司とすれ違って顧客の変なデータのやりとりを交わさなきゃいけないんですか!? ダメだ。ぜったいにできない。もう赤んぼうです、きっと何もできない。もう何もできない。怖い怖い、明日会社に行くのが怖い!」

ミチコ「あなたがわたしの代わりに会社に行ってください!」

ミチコ「わたしの心はあなたの玩具ではありません! わたしたち女性はこんな風になるのが嫌だから、こんな風にならないように、それだけを気をつけて一生懸命に心臓に釘を打って毎日毎日心臓に釘を打ち続けてきたのに! 一生そうやって生きていくつもりだったのに! わたしたちメンヘラ女は、心も体も裸にされて、おしっこを垂れ流す姿を見られたいのでしょうか!? わからない! それがわからないんです!」

ミチコ「おしっこを、おしっこを見てください」

ミチコ「おしっこを、う、う、おしっこを……、見てください……」

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