最近友達と久々にLINEをしたら、これからプロポーズして結婚するのだという。
そいつは出会い系に入れ込んでいて、出会い系の女と結婚するのかと思ったら、会社の先輩に紹介された女の人だと言う。
出会い系では、たくさんの人と会ったけど、誰とも付き合うことはなかったとのことだ。
このように、出会い系をたくさんやっても、出会い系の異性と恋愛したり結婚したりする人は少なかったりする。
少ないけどいることはいる。
すごい可愛い女の子をアプリ上で見かけても、退会と入会を繰り返してばかりいたりする。
つまらない男に引っかかって、火遊びしているんだろう。それでも真実の愛がどうだかああだか言ってるんだろう。
「出会い系って変な奴しかいなくないですか?」
とみんな言う。
確かに出会い系は、そいつも俺も含めて変な奴しかいない。
全員、社会の何らかの組織に属して働いて、普通と言われてる人間と同じものを食べて、同じ仕事をして同じ肌の色をしているが、すごく遠い得体の知れない宇宙人に見えることがある。
なぜみんな口を合わせて出会い系は変な奴しかいないというのか。いいねを送っても返ってこないので逆恨みで言っているだけなのか。
出会い系はなかなか競争が激しいところで、女はたくさんイイねをもらって、その中の数人とだけやりとりして、会う。
選択肢が多いと人間関係は雑になるし、それに加えて匿名性が高い背景があるから、全てにおいて責任というものがない。ほとんどナンパと変わらない。
元々狂っているのではなく、出会い系の特有の空気で感覚が麻痺してしまうんだと思う。人間は社会的な生物で、自分の生活圏の繋がりを通さないと、いまいち信用できないところがある。
しかし、社会で晒している姿よりも、出会い系でフラッと異性と会っているときのほうが人間の真の姿だとも思う。
みんな、いい年した女が出会いがない時点でおかしいと言う。
職場で出会いがなければ友達に紹介してもらうとか、変なアプリを使って顔を晒すようなことはなく、友達の友達のまた友達といったふうに、生活圏内の中で出会いを作れない時点で終わっていると言う。
普通の容姿と性格をしていれば需要があるはずなので、こんな変なアプリに手を出すのはろくなのがいないというのが、解らしい。
出会い系の女は200人とか300人ぐらいイイねが来るけど、その中から1人選んで付き合えばいいだけだから、簡単な話だと思うけど、案外誰とも付き合わず、もしくは一人と一度会っただけで見限って退会してしまうケースが多い。
200人や300人にイイねをもらって、あれだけ求めていた出会いが沢山あるというのに、何もないまま終わってしまう女が多い。
結局出会い系の男と付き合わずに、自分の生活圏内の中から選んで付き合うパターンが非常に多い。
普通に考えれば出会い系なんてとても良いツールで、忙しい社会人にはこれほど便利な道具はないというのに、このメリットを打ち消す何かが出会い系にはあるんだろう。
お見合いのように選択肢が少ない方がうまくいくんだろうか。
あんなに仕事が順風満帆でお金持ちだった手塚治虫もお見合いでパッと出会ってパッと結婚してしまった。
昔はお見合いで結婚ばかりしていたのに離婚した話は聞かない。
お見合いなんて本人を無視した本当につまらない結婚のように思えるけど、好きとか嫌いとか何も考えずに家庭に飛び込む方がいいのかもしれない。
仕事もそうで、あんまり好きとか嫌いとか、やりがいとかそういうことは考えず、ただ手を動かす方がうまくいったりする。
「ほら結婚しろ!」「はい!」ぐらいのテンションの方がいいのか。
人間は一つスイッチが入ると、どんどん欲が連鎖していくから、200人と300人も候補が現れると、理想を追いかけ続けてよくわからなくなってしまうのだろう。
無心で、ただ限られた、たったひとつの目前にあるものを大事にするという精神の方がうまくいくんだろうか。
就活でうまくいかなくなると、ただ目の前にある企業にとりあえず飛び込んでみるかという気持ちになるけど、結婚も家庭も本当にそれと同じでいいのだろうか。
十分に恋をした人間だったらそれでもいいかもしれない。
昔の人は十分に恋というものをすることもなく、ただ家庭に入った。
とにかく外も内も本当にうるさいこの世界だ。
無心でただ黙って行動している人間の背中が真実に見える。
男も女も黙ってお見合いして、さっさと結婚してしまえばいいような気がしてきた。