しまるこ「女にできる最高の復讐は何かと考え続けてきて」
しまるこ「一番いいのは結婚間近になって逃げるってやつだね」
しまるこ「それができれば女に史上最高のダメージを与えることができる」
しまるこ「これまでどんなにいい女を見ても、指を咥えて見てるしかなかった。いつもオカズにしていたあの子が、そこらの馬の骨に揉みくちゃにされ、涙とともに精液を垂れ流すしかなかった」
しまるこ「長崎ちゃんぽんみたいなちゃらんぽらんした男に食べ尽くされていたから」
しまるこ「『チッ……、ザーメンがベドベトして汚ねーから近寄んなよ』って、舌打ちしながら女の前を通り過ぎていた」
しまるこ「勃起しながら、いかに涼しい顔をして通り過ぎるか、そればかり考えていたら授業が頭に入ってこなくて、大学受験もすべて失敗した」
しまるこ「就職しても、エロいことばかり考えてるから仕事をミスばかりしてクビになった」
しまるこ「だから復讐するしかなかった」
しまるこ「俺の方がすごい人間だから、俺から声をかけるわけにはいかない。だからずっと待ってたんだけど、待ってたら25歳を越えてしまっていた」
しまるこ「そんな十数年の恨みを、償わせてやると思った」
しまるこ「恋愛テクニック本で知識を吸収して、実践を通じて、女を思いのままに操ることができるようになって」
しまるこ「若い女のいちばん美味しい汁が滴る時期を舐め尽くして、出涸らしになったら葉っぱ一枚残して捨てる」
しまるこ「19歳と付き合って、24歳になったら捨てる」
しまるこ「それを100回も200回もやるんだ……!」
しまるこ「それができたら、俺は何にでもなれる……! すべてのマイナス感情から解放される……! そんな気がしたね」
しまるこ「だけど、なかなかうまくいくもんじゃない」
しまるこ「出会い系で90人と出会って20人ぐらいセックスして、一度もうまくいったことはない」
しまるこ「無邪気に、『今日はよろしくお願いします! どこ行きます??』なんていわれたら、復讐もクソないよ」
しまるこ「こっちだってめちゃくちゃ楽しいんだから」
しまるこ「あのー、アメリカ人が、チョコレート投げたり、沖縄の子さらってレイプする車あるじゃん? なんだっけ?」
友達「Jeep?」
しまるこ「そう、Jeep」
しまるこ「美容師見習いで、給料が13万なのに、500万のJeepを買った子がいたんだけど」
しまるこ「それが中古なの。500万払って中古なの」
しまるこ「そして奨学金も返さなきゃならないんだって」
友達「地獄だな」
しまるこ「その子見てたらさ、すでに復讐は果されているなって」
しまるこ「だって、そのJeepがまた燃費かかるらしいんだよ」
友達「Jeepはかかるよ」
しまるこ「大阪城の近くに、景観がよくて信号がなくて、ずーっと走っていられる道路があるらしいんだけど、休みの日はそこまで出かけにいって走ってるんだって」
しまるこ「静岡から大阪まで」
友達「金かかる趣味だなぁ」
しまるこ「そんなことやってたら、一生返済なんてできるわけないじゃん? ガソリンと一緒に、その月に稼いだ給料が道路に垂れ流れていくんだ」
しまるこ「レイプカーで遊んで人生終わりだよ」
しまるこ「見ててすごい苦しくなった」
友達「同情されることが、向こうは一番腹立つだろうけどね(笑)」
しまるこ「もし俺が金持ちだったら、新車のJeepを買ってあげてたと思うんだ」
友達「復讐しようとしてた奴が?(笑)」
しまるこ「うん」
しまるこ「『え!? そんなの悪いですよ! 困ります!』っていう女の子に」
しまるこ「『俺は金持ちだからいいんだよ。こうやってみんなの欲しいものを買ってあげてるの。それが俺の最高の幸せなんだ』といって去っていくの」
しまるこ「いつもそんな妄想ばかりしている」
友達「実際はその子より給料少ないんだけどね」
※
しまるこ「昔、あれだけ抜き散らした女も、最近離婚した」
しまるこ「原因は夫の暴力らしい」
しまるこ「マッチングアプリで、『2歳の子持ちのシングルマザーです。ご理解のある方、よろしくお願いします』って書かれたメッセージを見て、悲しくなったよ」
しまるこ「写真も載ってたんだけど、ひどくやつれた顔で、生活のすべてに疲れた顔をしていた」
友達「マッチングアプリで再婚をはかるのか。そして知り合いにバレまくってるし」
しまるこ「昔だったらすべての男を欲しいままにできた子だけど、あれじゃもう無理だ。完全に彼女の時代は終わった」
しまるこ「俺と結婚していればそうはならなかったのに」
友達「(笑)」
※
しまるこ「女はそんなにバカじゃない」
しまるこ「性欲に惑わされることがないから、男よりずっと冷静に見極めることができる」
しまるこ「俺が女を見抜く以上に、女は俺を見抜いていた」
しまるこ「俺は運気が下がりそうな女にはぜったいに深く踏み込もうとは思わないけど、その感覚は女の方がずっと優れている」
しまるこ「この人は全体重かけて寄りかかっても壊れはしないのかと、柱をコツコツと叩いて確かめてくる」
友達「それでも離婚しちゃうんだね」
しまるこ「俺が振っているんじゃなくて、俺が振られているんだ、いつも」
しまるこ「めちゃくちゃ激しいセックスをして、お互いが溶け合って、完璧なゴールを果たしたと思ったのに」
しまるこ「次の日にLINEをしてみると、繋がらないんだよ」
しまるこ「あれ!? どうして? セックスしたんだから、もうこの女は手に入れたはずなのに!? ありがとうといって、ラブホ代まで払ってくれた子もいるのに!」
しまるこ「なのに、次の日LINEしても繋がらないんだよ」
しまるこ「それが一回や二回じゃない。それがほとんどなんだよ」
しまるこ「たぶんね、セックスしたとしてもしなかったとしても、女の考えは変わらない」
しまるこ「セックスは関係ない。セックスしたのは辛抱仕切れなかっただけなんだ」
しまるこ「普通にデートして普通にご飯食べて、19時ぐらいになって、そうするとセックスしないと、不自然な流れになってくる」
しまるこ「まぁ、この人ならいいかな? みたいな感じでね」
しまるこ「大人は肉体関係のない関係に耐えられるほど強くないんだ」
しまるこ「出会い系の男と女がセックスするのは、弱いからするんだ。その証拠に、セックスなしで三ヶ月を乗り切るなんてことは、ほとんどのカップルにできっこない」
友達「中学生カップルを除いてね」
しまるこ「セックスが終わって、朝が来て服を着てカバンを肩にかける時の女の顔は前を向いている。朝日が顔を照らして綺麗な顔をしているよ」
しまるこ「俺はいつもそんな顔を不安な顔で眺めている」
しまるこ「また会ってくれるのかなってね」
しまるこ「女だって一夜限りの恋をしにきたわけではない。男だってそうなんだよ」
しまるこ「でも、難しいね」
しまるこ「お互い、何が不満というわけじゃないんだけど」
しまるこ「お互い、あれだけ恋人が欲しいと思ってたんだけど」
しまるこ「うまくいかないんだね」
しまるこ「その後、家に帰って、めちゃくちゃ電話して」
しまるこ「肉体関係を持ってしまったけど、軽い気持ちじゃないんだ! 本当に好きなんだ、好きなんだ好きなんだ……!って」
しまるこ「それをやらないとダメになってしまう」
しまるこ「その日の夜に送らないとダメだね。チビはちゃんと夜に送るけど、俺らは相手を試すからその日は送らない」
しまるこ「その日は送らないで相手の反応を待つ。すると向こうはぜったいに送ってこない。だから、次の日痺れを切らしてこっちから送る。すると、返信なし……! っていうやつね」
友達「たぶんそれをやっても、結果は変わらないと思う」
しまるこ「俺もそう思う」
しまるこ「LINEは関係なかった」
しまるこ「セックスをしてしまったから安っぽい関係になるということはない」
しまるこ「この人なのか、そうでないのか、女は感じ取る」
しまるこ「たとえワンナイトラブに利用されたとしても、自分にはこの人しかないと思ったら、女は本気になる」
しまるこ「たとえ好きになってはいけない相手だとしても、人の夫だとしても」
しまるこ「でも結局のところ、好きになっちゃうのは俺な。負けるのはいつも俺」
しまるこ「女は、この人と一緒にいても幸せになれないって、男よりはるかに微細に感じ取るんだ」
しまるこ「男の背中から発する空気を、自分のすべての経験を通して、全細胞を通して感じ取る」
友達「それだけやっても離婚しちゃうんだね」
しまるこ「だから、本当の自分を見つけない限りは、みんな不幸なんだよ」