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若者について

静岡は平均的な人間が多いという。地理的に、平地で勾配がなく、歩きやすいから、老人もよく歩き、長生きが多いらしい。そんな平坦な場所だからか、アンケートなどを取っても、全国の中央値のような意見が出やすいらしく、世の中の縮図、都会過ぎず、田舎過ぎず、一般人の中の一般人。

大学時代、上京した際、静岡出身だというと、「ってことは、お茶ばかり飲んでいるからおしっこ黄色い?」と言われたこともある。まぁ、それはさておき、海に面していることもあって、沖縄や東南アジアまでとはいかないけれども、やや開放的なきらいがあり、静岡の人は優しいという。福祉や保育士の資格を取る人も多いらしい。

介護士や保育士は、もともと優しい性格だからそういう職に就こうするらしく、そのためマッチングアプリやナンパにおいても、すぐにヤレると評判の職種である。ナンパも人助けだと思って、そのままズルズルいって身体まで提供してしまうこともあるらしい。確かに東京は冷たい。東京と静岡のナンパでは驚くほどの差がある。俺も昔、東京でナンパした時は、ことごとく無視され、次第には怖くて声をかけられなくなったが、静岡は無視されるということはない。三島のイオンモールで、毎週末、必ずナンパしていた時期があったが、やんわりと頭を下げられたり、意味ありげにニヤニヤ笑われたり、頑張ってくださいと励まされたり、成功はしなかったけど、十分な見返りは得られた。彼女達もやはり声をかけられると嬉しいらしい。子宮が踊るような、女性ホルモンが浮き足立つような、こちらもないはずの子宮が貫かれる気がした。道を聞いたりすると、彼女たちは、頭が真っ白になって、少女漫画脳が自身を追い越して、簡単な道さえ伝えられなくなってしまっていた。

さて、今日はたまたま原付バイク(スズキ アドレス110cc 23万)を手に入れたので、少し遠出をして、無料で自習や作業ができるという噂の大学。ビル内にある大学、テナントの一室を借りてそこをキャンパスとしてうたっている大学なわけだが(通信教育の見える化というやつか?)、名前は、産業〜とか、国際〜とか、コミュニケーション〜、情報〜とかいって、何を教えてるのかよくわからん大学だったが、しかし気前だけはよくて、教室を無料開放して、自由に一般人の出入りを許し、自習に使っていいことになっていた。

俺はアドレス110にMacBook Pro16インチを載せて、このキャンパス? にやってきたわけだが、キャンパス内の生徒や一般人を見ていたわかったことだが、彼らはみんな出会いを求めているということだ。

みんな退屈そうだ。学生も、入学して二ヶ月が経つが、いまだに自分が何の勉強をしているのかよくわかっていない様子で、ずっとボーっとしている。みんな欲求不満で便秘のような顔をしている。

どいつもこいつも助平(スケベエ)。これは俺が助平(スケベエ)というよりも、俺自身が空っぽにしていたら入ってきた情報だから、あながち間違いではないだろう。誰もが、声をかけられることを期待している。これまで声などかけられたことなど一度もなかったくせに、期待している。

ドトールの店員も、ドトールの客も、看護学生も、クリエイトの19歳のアルバイトも、30代も、彼氏がいる子も、恋をしたいと顔に書いてあり、できればマッチングアプリではなくて、ある日突然誰かに声をかけられないものかと期待している顔をしながらバイトをしている。これは本当に誰もがそんな顔をしている。26〜27歳までの男だったら、付き合ってもいいのに、という顔だ。男だって同じで、レジを通る男たちも同じような顔をしているから、もどかしい。俺はそんな両者のもどかしさを見ていると頭がおかしくなってしまう。(ここに! ここにぜんぶあるのに……!)代わりに声をかけてあげたくなるが、俺は36歳だから声をかけられない。昔、俺は、29歳の頃、20歳ぐらいの女の子に声をかけて、「え、でも、年が……」と言われたことがある。その経験がトラウマになっている。 29歳で「年が……」と言われるようなら、36歳じゃ、ねぇ〜(笑)。「年が……」というセリフはつまり、同年代くらいだったら考える、連いていってもいいかもしれない、ということだ。とても可愛い子だったから、そんなとても可愛い子ですら、そこそこの年齢でそこそこの清潔な格好をしている男に声をかけられたら、連いていってもいいかもと思っているのだ。むしろ強引に連れだしてもらいたいと思っている。

今、俺は正中心の修行によって胆力が強化され、心の重心から逸らさずに会話できるようになったが、習得が遅すぎ、10年前のナンパばかりしていた頃に間に合わせることができなかった。心残りといえば心残りだ。もし今、俺が26歳以下だったら、毎日のようにナンパしているだろう。わざわざナンパしようと決行することもなく、街を歩いて目に入ったタイプの女の子に、迷いもなく、逡巡もなく、目に入ったと同時にナンパする生活をしていたと思う。10年前にこの能力を得ていれば……。

昔はナンパが下手で、平常心でナンパができず、一種の度胸試しというか、声も心も高音でまくしたてて話し、一緒に星空を見上げるような、相手の心さえも中心点に下ろさせる話し方ができなかった。自分の心が浮き足立ってしまっているのだから、相手の心も上昇させてしまう。そのせいか、数だけは頑張ったけれども、生涯で500人くらい声をかけて、付き合ったのは一人。デートしたのは二人。あまりにも馬鹿馬鹿し過ぎてやめてしまったが、今でもナンパが第一等だと思っている。マッチングアプリよりずっといい。気になった子がいたら声をかける。もっともシンプルでもっとも原始的で、男女の色恋の原点でもある。声をかけられて嫌な子もいない。これは外国を見習うべきである。

デジタルは恋の性格と反する。恋はどこまでいってもアナログ。男と女はアナログ。男と女は鍵と鍵穴。合わさってはじめて扉は開かれる。やはり本人たちも、情報? 産業? コミュニケーション? 国際? なんでキャンパスがねーんだ? これがキャンパス? デジタルじゃねーか! 大学ってもっとでっけー庭みたいの付いてて、みんなで芝生の上に寝っ転がって風呂敷広げて弁当食うんじゃねーのか? いや、学食か? 学食のババアが作ったスタミナ定食が食いたい。白いベンチに猫が居眠りこいていて、その横に本を読んでいる英文学部の女の子がいて、猫が粗相をしでかして、出会が始まって、コミュニケーション? コミュニケーションなんてねーじゃねーか。何やってんだ俺は? うおおおお、という葛藤が聞こえてくる。6月に入り、もう入学して2ヶ月が経った。ボウフラが沸いたかのように、頭の中が茹で上がっている。これは男女両方の学生に見られる。

女の子たちの顔に、あんなに恋がしたいと書いてあるのに、26歳以下の男たちは何やってんだか。繰り返しいうが、俺は36歳だから、社会の迷惑になるからナンパはやらないけれども、26歳以下だったらやっている。今日も、サンダルにユニクロの黒のストレッチパンツ、アンダーアーマーのTシャツに、カットに失敗した頭。今は坂口恭平さんみたいな髪型になってしまっている。確かに、女だってナンパされたいと常々思っているが、おっさんに散歩ついでに声をかけられるは恐怖でしかないし、それで私を落とせると思ったんだ、と、セルフイメージの低下を起こさせてしまう。むしろ怒りさえ覚えさせる。女性は、若くて清潔感のある男以外に声をかけられると、怒りを覚えるものである。

出前館のバイトのために原付バイク(スズキ、アドレス110cc 23万円)を購入して、久しぶりに、部屋とドトール以外に街をブラブラしてみたが、思いの外、街はピンク色に満ちていて(俺が助平(スケベエ)というわけではなく)、いい気分転換になるかと思ったら、ちん垢とまん垢のきな臭い、すえて発酵した臭いを、前後の車の排気ガス以上に浴びることになった。

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