印刷工場で働いた体験談 仕事

仕事がきついから死にたくなるんじゃない。抜け道を作ろうとして、その努力ができない自分に失望して死にたくなる。

やりたいことがないと人は自殺してしまう。

自殺は夢に破れた人間が試みる。人間は弱い。夢だけを頼りに生きるしかできない。

やりたいことがないなんてみんな言っているけど、実際はあったりする。

自殺する人間は理想が高い。本当に毎日の生活が苦しくて、その苦しみに耐えられなくて死んでしまう人というのは案外少ないんじゃないかと思っている。

理想が高いから死んでしまうんだと思っている。

俺が本気で自殺したくなったときは、印刷工場で働いていて本当に毎日クソみたいな仕事をしていた頃だ。1日10時間仕事して、本当にくだらない仕事で、印刷物のチェックを延々とやっているだけだった。こんな仕事を永久にやり続けると思うと、正気でいられなかった。

さて、この時点で自殺してしまいたいと思うだろうか。

きっと多くの人は違う。抜け出そうとする。俺も抜け出そうとした。やりたいことをやって生きるしか抜け出す道がなかった。

他の仕事に就いたとしても、五十歩百歩だ。仕事なんてものは全部似たよう仕事だ。就職して仕事をやるということは他人の面倒ごとを引き受けるということだ。他の仕事に就いたとしても、自分の時間が奪われることには変わりない。

そこでみんなどうするかと言うと、やりたいことをやろうとする。そのために何か自分にできないことはないかと自分探しをする。たくさん本を読む。色々調べる。色々調べて挑戦してみる。しかしこれがなかなかものにならない。平日、仕事の終わった後に挑戦したり、限られた時間で、必至にもがく。いや、もがけられればいい方だ。実際はもがけられないことにもがく。

ほとんどの人はどうするか、何に挑戦するか、挑戦するものが決まった後でも、ずっと調べたり、もやもやするだけで実行に移さなかったりする。ただただ迷い続ける。やらないで迷うか。やったとしても迷うか。とにかくどちらにせよ迷い続ける。

そんな迷いの中でも仕事に行かなければならない。無慈悲に明日はやってくる。とりあえず時間が欲しい。土日が欲しい。土日はまだか。やっと土日がきた! しかし待ちに待った土日をYouTubeを観て過ごしてしまう! せっかくの土日なのに、あれだけ待ちに待った土日なのにYouTubeを観て終わってしまうのだ。

そしてまた、明日からはがんばろうとする。明日こそは、明日こそは絶対がんばるんだ! 絶対になんとかしてみせる。とにかく少しでもいいから必ず机に向かう……! と心に誓う。

そして次の土日こそは俺のフルパワーを炸裂させてやる! と固く固く誓う。

与えられた時間を有効に使えないことほど苦しいことはない。人に一番苦悩をもたらすのは、成果が得られないことよりも、時間を無駄に浪費してしまったときだ。

おそらく潜在的に、人間はそれぞれ役目があって、天からやるべきことを与えられていて、それをちゃんと履行しないと、苦しくなってしまうようにできているのかもしれない。

たとえまじめに仕事をして十分に給料をもらっていても、どこかでこれは何か違うと思わずにはいられない。

だからやりがいや、自分のやるべきことを探す。だか見つからないし、見つかっても自然と気が向いてがんばれるようなものでなかったりする。それでももがく。とりあえず決めたことをやってみようとする。自分との約束を守ろうとする。少なくとも明日一時間はやってみようとする。だかいつもいつも先送りにしてしまう。

そんな時本当に死にたくなる。僅かしかない大切な時間を有効に使えないから死にたくなってしまう。それが成功するとか失敗するとか関係なく、もしその時間を思い切り頑張れたら、死にたくはならない。

毎日仕事がつらくて死にたくなるんじゃない。抜け道がないこと。自分が抜け道を作れないこと。自分のやるべき事に向かって全身全霊で集中できないこと。それが辛くて死にたくなる。

エネルギーのまっすぐな使いどころを見つけられないと、人は死んでしまう。

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