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彼女たちは妖魔から逃げるために今日も学校へいく

美しさの極致は一人の女にだけあるのではない。すべての女にある。彼女たちはそれを知らないが、皆がこの美に到達するのだ。ちょうど果実が熟するように。

昇る朝日よりも沈む夕日の輝きを好む。

美しい女は美の分け前を独り占めしているようにしか見えないが、それでも老若男女全ての人間に好かれてしまう。

バルザックの女性観には到底敵わない。バルザックはある日パリの街中を歩いていたら、目に映るすべての人を光で照らして見れるようになり、その波動でその人のすべてを看破できるようになったという。自分でもなぜそれができるのかはわからないが、できるようになったという。

それまでは屋根裏部屋で駄作を書き続けるばかりで(それもやめてしまい)、パリの街中を散歩し続ける日々だったらしいが、光を手にするようになってからは、光を原稿に落とし続けた。

モームはバルザックだけが天才といっている。

もっとも大量生産したからだという。光を翻訳するマシーンと化していたから、大量生産が可能だったのだろう。

シェイクスピアが大喜利的な、比喩の光の天才だとしたら、バルザックは人間の正体そのものを光で照らすことのできる天才だ。

ひろゆきは勝間和代氏のことをブスといったが、小生は勝間氏のことを沈む夕日の輝きのような女性だと思っている。

しかし、今回は昇る朝日の輝きの女性の方について考察してみよう。

16秒の動画だからすぐ見れるよ♪

(こんな素晴らしい動画なのに、低評価がひとつ押されているのは一体どういうことだろう?)

この動画を見たとしても、なんの感想をもたずに通り過ぎてしまう人は多いだろう。若い女の子。アイドルか。うん可愛いね。それぐらいの感想しか抱かないかもしれない。

小生もまた波動で見た。

小生はどうしても通り過ぎることができなかった。この違和感。破顔。恥じらい、AVよりずっとエロい。明らかに破顔している。これこそ破顔。精神の崩壊からくる破顔に違いないのだが、コメント欄でまったく触れられていなかったことに驚いた。こんなものが公共の電波を通じて垂れ流されてもいいのか、とすら思った。

この子は乃木坂46というアイドルグループの4期生、早川聖来ちゃんという20歳の女の子だ。女は20歳という年齢がいちばんエロい。いちばん妖魔が宿る。

ちょうど早川聖来ちゃんのような年代、大人と子供の境い目。満を持して今こそ活躍の出番を窺っている性が、振り切っても振り切っても追いかけてくるのだ。

健康的に、女として、アイドルとして、ただ毎日を送り、今日もそのつもりで一日を終え、あとは自宅で配信の仕事をして寝るだけの予定だったが……。

彼女は彼女だけの存在で成り立っているわけではない。女はみんな内に妖魔を飼っている。それは別個のひとつの生命として存在している。

早川聖来。正直小生は乃木坂4期生のなかで、まったく彼女のことは注目していなかった。遠藤さくら、賀喜遥香、金川紗耶、運営陣が推しだしている子たちの方に魅力を感じていた(小生もまた運営人の思惑に踊らせれる安い目ということに他ならない)。だが、彼女たちのいずれも、ここまで妖魔が顔を出すことはない。

舌をペロと出したら、誰でも少なからず妖魔が顔を出し、顔面のまわりにオレンジ色の湯気が立ち、メス特有の臭気を放つようになる。

自意識が薄い人、自分の中に流れている意識が少ない人間ほど妖魔に乗っ取られる。早川聖来は妖魔にのっとられやすいタチなのだろう。エロいものは出そうとすれば出そうとするほど純粋なエロとは遠ざかってしまう。

だから女は恥じらいといういちばんエロい境地にたどり着く。それはひと握りの一部の真の女性だけがたどり着く境地だ。

絶対に下ネタをいわず、浮気をせず、友人たちとも、いまさっきの授業は眠くなってしまったとか、ノートのここを取り忘れてしまったなどという会話しかしない。あれは会話ではない、咲いているだけである。花と一緒で、ひとりで咲くより、一緒に咲いた方が美しく見えるから、一緒に咲いているだけである。

この手の女がいちばんエロい。もっとも知性ある、もっとも才覚のある女性にしか真のエロは宿らない。彼女たちはどうすればいちばんエロくなるかということを知っている。こうすればエロくなるという細胞の声を聞いている。目の前の自然から聞いている。

彼女たちはとても静かで、必要なときに必要なことしか話さない。勉強や部活動やアルバイト、ごく当たり前のことしかしない。芸能界に行こうとは夢にも思わない。YouTuberになろうとも思わない。OLでいいという。しかしどんな女よりも頭がいい。東大に行く女よりずっと頭がいい。しかしこの手の女性ほど恐ろしい妖魔を中に飼っている。AV女優がしっぽを巻いて逃げ出すほどの強大な妖魔を飼っている。彼女たちはこの妖魔の存在に気づいている。いつもこの妖魔の存在に怯えている。いつかサキュバスのように、自分から男に襲いかかってしまうのではないかと恐怖している。

彼女たちは男たちからの刺すような視線に気づいている。その気づきの量。チクチクと肌に刺さる、身震いがする視線、その視線に気づき、気づいていながら傍らに置いた量にしたがって、妖魔は大きくなる。彼女たちの才覚が妖魔を育ててしまう。

彼女たちはベッドの上にうつ伏せになり、クッションに顔を埋めて、胸の奥から込み上げてくるどうしようもない衝動に耐えられない夜がある。私はこんな人間じゃない、こんな人間じゃないと泣く夜がある。

そんなとき、もし変な男が窓からそれを見ていて、急に襲いかかってこられたらどうなるのか? 彼女たちはそれを受け入れるのか。レイプ、犯罪だ。発情していたのは私といえども、レイプしていいことにはならない。

私はレイプされてはいけない側の人間。そうやってこれまで生きてきた、これからもそうして生きていかねばならないのに、私はこの勇作という名前が似合いそうな、ホームレスに似た雑菌ばかりの汚物を受け入れてしまった。抱かれるならもっと綺麗な男に抱かれたい、私の人生にふさわしくない! こんな、こんな雑菌ばかりの男に……! 苦しい! 助けて! 助けないで! 花占いのようにその言葉を繰り返しながら、夜な夜なそんなことを思い浮かべて、股間に手を伸ばして悶えている。

例に挙げた早川聖来は、彼女たちに比べると決して高い妖魔を飼っているわけではない。ただ単純に配信中に気を抜いただけである。いや、気を抜いたわけではない。ただ、たまたま妖魔がでてしまった。多くの女性は妖魔が出ないように気をつけながら舌ペロをするが、早川聖来はそのあたりの自己制御が下手で、妖魔の表出を許してしまった。

心と行為は連動しているため、舌をペロッと出せば、確かにエロのもつ魔力に引っ張られてしまう。早川聖来の、破顔する心音が小生に鳴り響いた。彼女自身も、自分の脳の奥が砕けたような、これまで感じたことのない何かに乗っ取られそうになったのを一瞬感じたはずだ。だからその後もボーッとヘラヘラして、どこかタガが外れたような配信となってしまっている。

それまで外に追いやられていた妖魔が、一点集中し、出てはいけないときに出てきてしまった。これは放送事故ではないか。自分の名前に『聖』という字が含まれていることも、ひとつの要因になっている気がする。

そんな妖魔の存在。押し出そうとしても押しだせない、押し出そうとするとかえって引っ込んでしまう、そんな妖魔の存在を、小生は早川聖来の顔に見た。

しかしそれは男にとっても同じこと。男もまた、女性の中の妖魔の存在に苦しめられている。

なぜブスではなかったのか。ブスにのみ妖魔が棲息するのであれば何も問題なかった。しかし、妖魔は、花盛りの乙女に最も強く寄生する。妖魔は乙女の花飾りのようなもの。花盛りの乙女にしか宿らない。

「可愛くてエッチな女の子が気になって寝れない」と深夜に友人から電話がかかってきたことがあったが、可愛いのにエッチ……、そんなことがあっていいのか、と彼に同情した。

天国と地獄が同居しているかのようだ、全員とやるか、全員とやらないか、どっちかにしろ! と彼は怒鳴った。その言葉が忘れられない。

そんな悶える毎日を送る男と女を向かい合わせてみたらどうだろう。彼らはいつも向かい合わせになることを恐れている。本当に何もない真空のまま向かい合ってしまったら、どうなってしまうのか。

舌ペロの他に、もうひとつ、妖魔をおびき出すいい方法がある。

じっと彼女たちの目を見ることだ。

決して目をそらしてはいけない。密室で、男と女がお互いに、決して目をそらさずにただ向かい合う。女はもちろん目を逸らしたくなる。下を向きたくなる。でも、それは許されない。何がなんでも男の目を見続けなければならない。女は苦しむ。とても生きた心地がしない。子宮を汚い手で鷲掴みされているようだ。ただ目を見続けているだけなのに、どうしてこんな苦しいんだろう。どうして涙がでてきてしまうんだろう。顔を保っていられない。これは別れの涙だ。今までの自分との別れ……。

そのまま向かい続けていると、男にもわかる。悟られてしまう。自分の本体が性なのだと。それは、すべてがわかりすぎるほどわかってしまう。それから逃げるように、彼女たちは今日も学校に行き、ノートをとり、アルバイトに行って皿を洗い、ひたすら実直な、目と目を向かい合わせる実直なものから逃げ続ける。妖魔から逃げるために学校へ行くのだ。

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