女は社会に隷属することが得意だ。女の方が真面目に働き、真面目に授業に出て、真面目に掃除をして、真面目に地域や学校の行事に参加して、大道芸人のハットに金を入れるのが9割が女なのは、女が普通だからだ。日本は女の汗で循環している。
普通じゃなければダメだ。普通じゃないとお嫁にいけない。普通じゃなければ周りから浮いてしまう。女は、そう思って生きている。女は普通という病に侵されている。
女は自分はみんなと違うと思っていて、普通になりたがっている。だから自分より普通の人を見ると、その人の方が偉いのだと思って、逆らえなくなってしまうところがある。
わたしももっと普通にならなきゃ。負けないように、普通に、普通に、と思っていると、自分より普通な人間にちんこを出されたら、舐めざるを得なくなってしまうのである。
街で男に肩をぶつけられたり、マスクをしないでクシャミをされたり、エレベーターで降りる方が先なのに入ってこられると、なんなのこいつ? ぜったいに許さない! と、世界でいちばんその男が憎くなり、ぜったいにこの男とはセックスしない! と固く心に誓うが、別の世界線でその男が上司となり、あれこれと命令してきて、たまに優しい言葉をかけられると、ついセックスしてしまうのが女である。あれ、おかしいな? なんでセックスしてるんだろ? これはいいセックスなの? 悪いセックスなの? タイプじゃないし、見た目も熊みたいに毛深いし、なんでこの人とセックスしてるんだろう? とよくわからないままセックスしてしまう。それはなぜかというと、普通だからである。
黒いコートの男に「開けゴマー!」と叫ばれてちんこを開陳されたら、舐めたくはないが、同じチームでプロジェクトを進めて、一喜一憂あり、ドラマがあり、飲みに行ってという流れがあると、その延長でセックスしてしまう。
テンションの高い彼氏に、ちんこを扇風機みたいにグルグル回されながら、「おちんちん星人だぞー」といわれると、やはり舐める気をなくす。「真面目にやってよ!」という。「もともとちんこを舐めるなんて不真面目な行為だろ」と彼氏はいうが、「真面目にやって!」と女はいう。
普通に近づけば近づくほど、女はちんこを舐める。それほど女は、普通というものに弱い。
世の中には、女のこの心理をよく理解していて、これを逆手にとる男がいる。そういう男たちが、俗にいうモテる男なのである。
小生が見た中で一番恐ろしいと思ったのは、小生は25歳の頃に理学療法の専門学校に入学したのだが、それは非常に肩身が狭く、現役の18歳の子達と机を並べて勉学をするのは大変恥ずかしいことだったが、なんと41歳で入学してきた男がいたのである。その男はハンチング帽に英字Tシャツ、ダメージジーンズ、リリーフランキーのようなファッションをしていて、喋り方や趣味、主義主張が18歳の学生たちと同じだった。もちろんそれは作為的だったが(作為的でなかったらもっと恐ろしいことだが)、仲間の誰かが授業をサボって、ノート見せてくんない? などの不義理を働くと、あいつうざくね? と18歳の生徒達と一緒になって、怒ったりしていた。
いつも6、7人で固まって学校生活を送り、休み時間になるとみんなで談笑しながらトイレに行っていた。一人の生徒の家にみんなで集まって勉強しようという流れになったときも、大人気なく参加していた(その生徒の家には間違いなくご両親がご在宅だったはずなのだが……)。
彼は非常に18歳に擬態するのがうまかった。見た目は決して若くなく、肌は酸化して浅黒く、白髪も結構生えていたのだが、空気だけは18歳に擬態するのが上手かった。そしてなんと恐ろしいことに、彼は一人の女学生と性交を成功させた。世にも奇妙な物語としてこれ以上のものがあるだろうか。タモリもあらすじを紹介しながら、すっ転ぶだろう。
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AV女優や風俗嬢は、ちんこを舐めるのが嫌かというと、それほどでもない。顔を見るとそんなに嫌がってないことがわかる。AV女優は金のためとはいえ、あんな汚いものを舐めなきゃいけないんだから可哀想だとみんないうが、そんなことはない。
女は基本的に男に隷属されたいと思っている。風俗嬢が客にいちばん言われたくない言葉は、「ごめんね? 僕なんかとセックスしたくないでしょ?」というものらしい。それを言われるといちばん力が抜けるらしい。それだったら「この人間オナホールが! ビッチが!」と言われる方がずっといいらしい。
女は昔から、将軍様や、山賊や海賊、戦勝国に蹂躙されてきたから、その遺伝的歴史背景も伴って、ちんこを舐めることに抵抗は少ない。俺も男だから舐めないけど、女だったら舐める。
女性アイドルの多くは、罰ゲームで顔面にパイを投げられると、とても嬉しがる。「私これ一度やってみたかったんですよ!」とよく口にする。それに比べると男性芸能人は、本当に面倒臭そうな顔をする。もうこういうのよくね? 古くね? いつまでやんの? と、早く控え室にいってシャワーで洗い流したいという顔を、収録中に関わずしている。
基本的に女の方がジェットコースターが好きだし、『龍が如く』というゲームでは、男は素手での戦闘を好み、女は武器で暴れるのを好むらしい。スマブラでも女はだいたい殺傷能力が高そうな武器を持つキャラクターを選ぶらしい(普通に考えればプリンやむらびとを選ぶと思うだろうが、マルスやキャプテン・ファルコンを選ぶという)。
昔付き合ってた女性が、ドラマで発狂した人物が食器棚を倒しまくるシーンを見て、「いいなぁ気持ちよさそう」と呟いたのが印象的だった。女は、痛くない範囲でめちゃくちゃにしたり、されたりすることを望んでいる。
女は男より審美的に優れている。女が男を気持ち悪いというのは許されるが、男が女を気持ち悪いというのは許されない。美的な面では差がつきすぎてしまっているので、もはや女にとって、美少年のちんこを舐めるのも汚いオヤジのちんこを舐めるのも大差ない。
ちんこなんてどれも一緒である。口に含みやすい造形だし、太陽の塔みたいにデーンとしているちんこを見ると、舐めがいがありそうに思える。別に舐めるくらいいいかな? という具合に。
女はいつも普通に、普通にならなきゃ、と焦っていて、普通という脅迫観念に追われている。すべての女が夢遊病患者予備軍であり、気づけばボウルにまな板を入れてかき混ぜていたり、風呂場で身体を洗っているときに、ちょうどいいからおしっこしちゃえといって、おしっこをしたりしている。そしてその後、自己嫌悪に襲われる。勝手に風呂場で勝手におしっこをしておいて、勝手に汚れた自己イメージを、普通人に払拭してもらいたいと思っている。
そんなふうに自分の女性性と常に戦っているから、そばにいてくれる異性だけは普通であって欲しいと願うのである。
女でたまに、セーラームーンのちびうさのように頭をピンクにしているのがいるが、あれは普通への反抗らしい。女はいつも社会に女らしさを強制させられており、女らしい格好をして、貞淑に、膝を閉じて小さく座り、『ちんこ』や『うんこ』といったワードは口にしてはならず、誰かが口にしても笑ってはいけない。ずっとそんな風に過ごしていると、抑圧されたリビドーが爆発して、それまで自分を色眼鏡で見ていた男に、最低最悪な姿を見せて、一緒に崩壊の一途を辿りたくなるのである。それくらい私たちは、彼女たちを普通という首輪で繋いでしまっている。
一度フェラが大好きという女の子に出会ったことがある。朝から晩まで一日中ずっとフェラをしたことがあるといっていた。「なんでそんなにフェラしたの?」と聞いたら、「彼、全国のバスケ選抜チームに選ばれたの」といった。
別に彼が全国高校の選抜チームに抜擢されたから、そのお祝いでしたわけではない。単にシューズが床をキュッキュとする摩擦音だったり、汗の香るユニフォーム、観客の声援、揺れる体育館、パスッという音とともにへの字に曲がるネット。そして仲間とのハイタッチ。その辺りの高校生としての生命が極めて普通で、飛び級でハーバードに受かったとか気持ち悪い質のものではなく、青春の香りがする、『普通の』優秀の美だったから、一日中ちんこを舐めるという異常性が相殺されると思ったのだろうと、小生は愚考する。