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MANISH「煌めく瞬間に捕らわれて」が至高な曲な件

投稿日:2020-08-17 更新日:

隣の部屋に住んでいる人は多分65歳くらいで、一人で住んでいる。

去年の夏、ベランダからひっそりと切ない表情で花火を見ていて、俺も隣で切ない表情で見ていたから、お互いに気恥ずしくなって、苦笑しながら会釈したのを覚えている。

この人はいつもすれ違うと、深く頭を下げて紳士らしい会釈をして去っていく。

定年退職して、ここを終の住処にやってきました。後はここで静かに暮らして息を引き取りたいと思います。こんな時代ですから、お互いなるべく不干渉で、見て見ぬふりをしてやっていきましょう。部屋から死臭がしたら、そのときは警察への連絡をよろしくお願いします。と、深く下げられた頭は語っていたので、俺はその覚悟を受け取ったつもりでいた。今回の記事は、この人が無事に孤独死をまっとうしたという記事ではなくて、

Boy Meets Girl それぞれの あふれる想いにきらめきと 瞬間を見つけてる 星降る夜の出会いがあるよに… Boy Meets Girl あの頃は いくつものドアをノックした あざやかに描かれた 虹のドアをきっと見つけだしたくて…

朝6時になると、この人の部屋から大音量でこの曲が垂れ流される件についてである。

基本的に俺は窓を開けて寝ているから、これがうるさくてうるさくてしょうがない。他の住民はエアコンを可動しなければ夜を越えられない脆弱な肉体だから、窓を閉めきっていて聞こえていない様子なのである。マンションで俺とこのクソジジイだけが、朝の6時にTRFの『Boy Meets Girl』を聴いて起きる。

あの会釈はなんだったんだ? とんでもねー爆音じゃねーか。暴走族じゃねーか。静かに余生を送りたいんじゃなかったのか? 音も音だけど歌も歌だ。なにが楽しくてこの歌で目覚めたいんだよ。罰ゲームじゃねーか。もっといい曲あるだろ。モーツァルトの『2台のピアノのためのソナタ』にしとけよ。

だがそのまま聴いていると、パワーあるなぁと感嘆してしまった。90年代の歌はパワーが違う。人生前向きに生きていこうぜと無理やり袖を引っ張られるような音楽である。だからこのおじさんも、枯れ果てて水分の一滴もでない身体の気付け薬として、音符を染み込ませているのだろう。そうでもしなければ、この夏を越せるかわからないのだろう。

よく94年か95年代がJ-POPの最も豊作の時代といわれているが、小生もその論に異はない。小生は当時10歳くらいだったが、その凄まじさに、テレビの前でクリームソーダを溶かしてしまったのを記憶している。

94年〜95年代はあらゆるエンターテインメントが爆発した時期だった。漫画はドラゴンボール。ゲームはFFVII。アニメはエヴァンゲリオン。ドラマは野島伸司の未成年。もう何が何だかわからなかった。街に出るとエンタメの狂熱に焼かれ、家にいてもブラウン管のテレビがいちばん家庭で存在感を発していた。

この熱さ、いいなぁと思って、90年代の音楽をYouTubeでまさぐっていたら、この猛暑を吹き飛ばしてくれそうな素晴らしい良曲があった。

この曲はスラムダンクの第3期のエンディングに使われていた曲で、スラムダンクのエンディング曲といえば、大黒摩季の『あなただけ見つめている』やZARDの『マイフレンド』の方が有名かもしれない。確かにメロディの品格を比べると『マイフレンド』の方が優れているのを認めざるを得ない。しかし小生はこちらの『煌めく瞬間に捕らわれて』の方が好きである。『マイフレンド』はZARDの最高傑作で、ひとつの芸術的極地に達しているのはわかりきっているので、今さら聴こうとは思わない。真新しい気持ちで『煌めく瞬間に捕らわれて』と『マイフレンド』を同時に聴いたら、『マイフレンド』を挙げるだろうが。

「煌めく瞬間に捕らわれて」もしらなければMANISHもしらなかったが、何だろう、この異様な熱さは。今日の気温が40度近いこととは無関係だろう。

文章や記事なんてものは、いくら熱いものを届けようといったって、こんな細々したものを10行も20行も読ませられていたらイライラしてきてしまう。音楽には到底かなわない。文章なんてものは、読んでいると、回りくでーな。いいからはやく面白いのよこせよ! という気分にさせられるが、音楽は違う。音楽は万国共通言語。作曲できる人は絵も描けるし文章も書ける。絵が描ける人は文章も書ける。でも文章しか書けない者は文章しか書けない。

この迫力。この歌唱力。声の伸びやかさ。「後悔する 素敵じゃない」いい歌詞である。熱い。もしこの人たちが小生のお母さんだったら、小生は煮沸する鍋に手を突っ込んでも平気な肉体に生まれていただろう。窓を締め切っても寝れる肉体だっただろう。なんだか、すごい好きな曲で、30回も40回も聴いてしまった。SHISHAMOの「明日も」や竹内まりやの「純情ラプソディ」やaikoの「かばん」を聴いたときも同じことをした。なんかどれも似てる。わかりやすい曲というか、素人ホイホイというか。安い耳ですと喧伝しているようなものだ。なぜかぜんぶ女の曲だし。中年独身男が一人で部屋で聴くのは気持ち悪いかも?(笑)

でもやっぱりいい曲だと思う。これだけこの曲ばっか聴いておいて、この人たちの他の曲は一切聴こうとは思わないのは不思議だ。

なんかパワーが凄まじくて、おおっときて、さらにおおっときて、またおおおーーってくる。音楽というより清涼剤で、気持ちいいから聴いてしまう。この辺りは趣味があるかもしれないが。福山の『桜坂』とかzooの『愛をください』とか吉本芸人の『明日はあるさ』とか、ああいう低調なのっぺらぼうのような音楽は苦手である。だから『Boy Meets Girl』はまだマシな方である。『およげたいやきくん』や『だんご三兄弟』をやられたら、たぶん本気で窓ガラスを割って押し入り、音楽プレーヤーを叩き壊すと思う。どうせラジカセで聴いているんだろうが。

ちなみに、小生が女性ソングの中で一番凄いと思うのは、ドリカムの『LOVELOVELOVE』だ。竹内まりやの『純情ラプソディ』も信じられないくらい凄いと思ったが、やはりLOVELOVELOVEは至高だ。あれは天からやってきた何かとしか思えない。とても人間が作った曲とは思えない。空間に流れていた音楽が、傷一つなく掘り出されたようである。メロディーも歌詞も常軌を逸している。音楽すらも越えて、ひとつの生命としか思えない。ミスチルの最高傑作といわれる『Tomorrowneverknows』と運悪くリリース時期が重なったのにも関わらず、オリコンチャートでひとつ上のマスに位置しつづけていた記憶がある。総合売り上げはTomorrowneverknowsに軍配が上がったようだけど、まあどちらも信じられない名曲である。

ただ、小生がすべての音楽動画の中で一番エネルギーが凄いと思うのは尾崎豊の『Forget-me-not』である。個としての生命の最上のものを感じる。

初めてYouTubeで見たときはあまりにも衝撃的すぎて、会社を休んで一日中聴いてしまった。いまだによくYouTubeで聴いている。

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