りり「ナンパされたんですけど、その人マスクしてたんですよ」
しまるこ「うん」
りり「マスクしたままナンパってありえなくないですか?」
しまるこ「ありえないね」
りり「しかもLINEのIDが書かれた紙を渡してきたんですけど、それもありえなくないですか? それって家に着いたら私の方からLINEしてこいってことになるじゃないですか? 一度家に着いてナンパモードが切れてるのに、私の方からもう一度ナンパモードを復活させることになるんですよ? なんでナンパされた側がそんな能動的なことをしなきゃいけないんですか? 『こんばんは。先ほどナンパされたものですが、先ほどはナンパありがとうございました』って送ればいいんですか?」
しまるこ「(笑)」
しまるこ「じゃあその場で、『LINE教えてよ』っていってもらった方がよかった?」
りり「そうです。その方がいいです」
しまるこ「ナンパ自体は抵抗ないんだ?」
りり「ナンパ自体はそんなに嫌じゃないですよ。私だって出会いを求めてないわけじゃないし。ナンパはとても勇気がいる行為だと思いますよ。ヤリモクとかだったらやっぱり嫌だけど、アプリの出会いと違って、ナンパはその人のことがすぐにわかっていいなと思うときがあります。まぁ声かけてくる人はチャラい人ばかりですけど(笑)」
しまるこ「うん」
りり「一応その人とデートしてみたんですけど」
しまるこ「あ、したんだ」
りり「2回目のデートで告白してきたんですよ」
しまるこ「はやいね」
りり「2回じゃよくわからないじゃないですか? 1回目はドライブで、2回目は動物園だったんですけど、動物園に行った帰りに告白されました。『りりちゃんのこと好きだから付き合ってほしい』って、ストレートに言われました」
しまるこ「うん」
りり「告白なしに付き合うパターン多いじゃないですか? 告白なしにそのまま肉体関係持っちゃって、そのまま付き合ってるんだか付き合ってないんだかわからないままずるずるやってるカップル多いじゃないですか? だから告白してくるのはいいなと思ったんですけど」
しまるこ「告白もいいんだか悪いんだかね。相手を自分のものにしようという宣言は必要なのか」
りり「告白大事ですよ!」
しまるこ「そか(笑)」
りり「はい。でも2回だと相手のことわからないし、私も25歳じゃないですか? いろいろ考えちゃって。20歳だったら付き合ったかもしれないけど、で、『考えさせてほしい』っていって保留にさせてもらいました」
しまるこ「うん」
りり「はい」
しまるこ「まずは付き合ってみようとは思わなかったの? 結婚前のお試し期間みたいな感じで」
りり「うーん、そこはー、うーん、どうしても、『考えさせてほしいです』って言葉以外出てこなかったんですよ」
しまるこ「そか」
りり「彼も『了解』っていってくれて、その場はそれで終わりました」
しまるこ「うん」
りり「で、腹が立ったのが、そこからメッセージがこなくなったんです! 毎日LINEしてたのに、保留にした日から、まったくメッセージを送ってこなくなったんです! これはどういうわけなんですかね?」
しまるこ「考え期間中だから、ゆっくり考えててってことなのかな?(笑)」
りり「えっ、だって今までおはようとか、official髭男の話とか、いろんな話してたのに、急にそういう話もなくなっちゃったんですよ? 普通の会話もやめる必要ってどこにあるんですか? べつに私も会話したいわけじゃないからべつにいいんですけど、告白を保留にしたからって急にすべてのやりとりをストップする理由ってどこにあるんですか?」
しまるこ「保留中の空気感の中で、official髭男の話をする気にはなれなかったのかな?」
りり「考え中っていってるんだから、告白の件はそれはそれとして私に考えさせておけばよくないですか? 告白の件は触れなければいいだけじゃないですか。会話を完全にやめちゃったら、コミュニケーションそのものがなくなっちゃいますよ? じっさいなくなってるしっ! 告白を保留にした相手とは話しちゃいけない決まりなんてあるんですか?」
しまるこ「恋愛における優位が完全にあらわれちゃってるからねー。相手より下の立場でメッセージのやり取りをするのが嫌になったのかもね。もしくは、告白がOKされるものとして信じていて、そうはいかなかったら、あー、りりちゃんは俺のことそんなに好きじゃないんだぁってガッカリして、嫌になっちゃったのかもね」
りり「考え中ってことは、つまり迷ってるってことなんだから、今こそ攻めどきなんじゃないですか? 今でしょ! はっきり断られたわけじゃないんだから、可能性が残されてるんだから、その可能性にかけないでどうするんですか!? なんで攻撃の手を休めるんですか? それで! 1週間まったくメッセージ送ってこなかったんです! 最初の出会いのときのLINEのIDの件と同じですよね? ぜんぶ女任せ。俺のすべての仕事は終わった、あとは向こうが答えを出すだけみたいな。何が何でもお前を手に入れてやるぜっていう意志が感じられないんですよね! ナンパしたのはあなたでしょう? 告白したのもあなたでしょう? 私がいつナンパしてくださいって頼んだ? いつ告白してくださいって頼んだ? ぜんぶあなたが勝手にやったことでしょう? 私のことが好きなんでしょう!? 好きだから告白したんでしょう!? なのになんで揺れ動く乙女心をほったらかしにしておくんですか!?」
しまるこ「とまんねーな(笑)」
しまるこ「揺れ動く乙女にしてはエキサイトしすぎな気がするけど(笑)」
りり「男の人っていつも詰めが甘いんですよ。自分の欲しいものだったら何が何でも手に入れる努力しなさいよって思います。私は大して欲しくないんだから。欲しいのはあなたでしょ? 欲しいっていってるのはあなたなんだから、がんばるのはあなたでしょ? 私は欲しいもののために努力をしない男のどこを好きになったらいいんですか? 口だけ欲しいって言ってて手に入る買い物がどこにあるんですか? そんなに私は安い女なんですか? 私は無料なんですか!?」
しまるこ「俺じゃなくて本人に言ってよ(笑)」
りり「で、1週間本当にまったく連絡よこしてこなかったから、私もこのまま無視してやろうかなとは思ったんですよ。でも一応告白してきてくれたし? 返事ぐらいはしようって思ったんです。このまま何も答えないのも気持ち悪いじゃないですか? 向こうはどのくらい待つつもりでいたのかわからないけど、なんかこの時点で、付き合ったり結婚しても、どういう未来になるか想像できますよね(笑)まったく、1週間ぶりに封印を解いたのは私ですよ? 告白された側の私から封印を解いたんですよ? LINEのIDの件といい、いつも先に封印を解くのは私。しまるこさん、この気持ちわかりますか?」
しまるこ「俺は魔道士じゃないから封印とかはよくわからないけど、気持ちはなんとなくわかるよ。で、なんて送ったの?」
りり「『考えたけどわかりませんでした』って送りました」
しまるこ「答えてないのと一緒じゃん(笑)」
りり「答えてますよ!」
しまるこ「ぜんぜん封印といてねーじゃん! きっぱり断らないのは、可能性を残しておきたいから?」
りり「違いますよ! 本当にわかんないんですよ! わかんなかったからわかんないって答えたんです! 1週間考えてわからないってことがわかったんです!」
しまるこ「へー、そんなにイライラしてても、わからないんだ」
りり「うーーーーん、まぁわからないものはわからないものとして答えて、そのあとの彼の行動によって私の気持ちも変わってくるかもしれないじゃないですか」
しまるこ「彼はなんだって?」
りり「『了解です』って一言だけ返ってきました」
しまるこ「会社かよ(笑)」
りり「私も思いました。業務連絡?」
しまるこ「会社のグループLINEじゃねーか(笑)」
りり「ですよね。これには本気で腹が立ちましたよ。OKしなくてよかったって思いましたね。本当に腹が立って、電話かけて文句いってやろうかと思ったけど、でもそんなことしたら自分が惨めになるだけじゃないですか? 告白された側なのに、なんで私の方がジタバタしなきゃならないのか」
しまるこ「了解です、か」
りり「何に対する『了解』なんでしょうね? わかりました、もうあきらめますってこと? それとも内容を把握しましたって意味? そういえば、私が『考えさせてほしい』って保留の申し出をしたときも、『了解』っていったんですよ彼。なんなんですかね了解ですって(笑)」
しまるこ「広瀬すずみたいにねらい撃ちするのかしないのか、はっきりしてほしいところだね。向こうも可能性を残そうとしているのか」
りり「そうです、ねらい撃ちするのかねらい撃ちしないのか、はっきりしないんですよ! その人コピー機の会社に勤めてるんですけど、コピー機のように黒か白かはっきりしろって思いました。仕事から何も学んでねーなみたいな」
しまるこ「りりちゃんは何て返したの?」
りり「私も『了解です』って返しましたよ」
しまるこ「どっちもどっちじゃねーか(笑)」
りり「私はよくないですか?(笑)」
しまるこ「会社のグループLINEじゃねーか(笑)」