友達「あの~、彼女にさ、『もし別れることになったら(わたしのこと)追いかけてくる? それとも追いかけない?』って言われて」
友達「追いかけるけど、冬美が本当に追いかけられるのが嫌で、本当に別れたがっていたら、追いかけるのをやめると思う』って言ったのね」
友達「そしたら、なんか黙ってんの」
友達「不服そうな顔してんの」
しまるこ「うん」
友達「腹立たない?」
しまるこ「まあ調子のってるね」
友達「調子のってるよね」
しまるこ「卑怯だね」
友達「俺だって心の中で『死ね』って思いながら言ったんだけど」
友達「え? どうしたらいいの? っていってもずっと黙ってんの」
友達「まぁ可愛い感じもするんだけどね」
しまるこ「うん」
友達「俺がその質問をしたら、気持ち悪いことになるじゃん?」
友達「んで、しかも、追いかけないって言われると思うの」
友達「職場で相談したら、下手だなぁ~~~って言われて」
友達「そういうときは嘘でも追いかけるって言えよ〜って言われた」
友達「仕事できない後輩からも、『女は正論求めてるんじゃないっすよ(笑)』って笑われて」
友達「『女は追いかけるって言葉を言ってもらいたくて聞いてきてるんですよ』って、説教されたわ」
しまるこ「うん」
友達「わかるけどさー、そうだとしても、むかつかない? 人の気持ち試すようなことして、悪趣味だと思うんだけど」
しまるこ「悪趣味だね」
友達「とりあえず追いかけるって言っておいて、本当にそうなったときは追いかけなきゃいいじゃんって言われたんだけど」
しまるこ「なるほど」
しまるこ「う〜ん。女が悪い。冗談でもそういう品がないことは言っちゃいけない」
友達「俺だって勘づいていたから、『追いかけるのをやめる』じゃなくて、『やめると思う』って含みを持たせながら言ったんだけどね」
しまるこ「(笑)」
友達「お前だったらなんて言う?」
しまるこ「何も言わないよ」
しまるこ「そういう質問はよくないって言う」
友達「へぇ、言えるの?」
しまるこ「言えるも何も、女は覚悟を知りたくてその質問をしてきてるわけでしょ? だったら覚悟を見せてやればいい」
友達「その覚悟は、自分を曲げるくらいだったら、いつ別れてもいいっていう覚悟でしょ?」
友達「女が期待してる覚悟と違くない?」
しまるこ「かなぁ」
友達「じゃあお前、馬場ふみかと付き合っててさ、『もし私達が別れることになったら、追いかけてくる? 追いかけない?』って言われたらどうする?」
しまるこ「追いかけるって言う」
友達「追いかけるの?」
しまるこ「追いかけると思う」
友達「なんで?」
しまるこ「なんでって、たぶん追いかけちゃうと思う」
友達「ふーん」