人間考察

へずまりゅうの考察

2020-06-16

へずまりゅう、へずまりゅう、と最近よく目にする字だったが、この前はじめて動画を見た。

これはなかなかやりおるわい、というのが率直な感想だ。

「へずまりゅう」という名前からしてセンスがいいなとは思っていた。

ダウンタウン、バナナマン、おぎやはぎ、オードリー、芸のレベルのだいたいのところは名前で決まってしまうのではなかろうか。

へずまりゅうは迷惑系YouTuberなるもので、一般人、ホームレス、YouTuber、パチンコ店やらにしつこくつきまとって罵詈雑言を浴びせるというスタイルだ。

特別すごい才能があるかといったらそこまでではないけど、そこらのYouTuberよりずっと優れているのは確かだ。凸撃に関していえば誰よりも才能はあるが。

凸をする前は部屋で大人しく物申す系をやっていたそうだから、試行錯誤して現在のスタイルにたどり着いたのだろう。まあ、彼は大人しく工場に勤めていられる器ではない。迷惑系YouTuberだとしても世に出た方がいい。別のスタイルに転換したっていい。もうすでに知名度はあるから後は順風満帆だろう。tweetのヘッダーもセンスがいい。こういう細かいところの多々センスがいい。

凸をするために生まれてきたような顔だ。しかし顔に似合わず芸が細かく計算されている。少し前に警察に逮捕されたり、アカウント凍結も2回くらっているそうだから、凸スタイルを完遂させることはできないだろう。

俺はこのパチンコ店凸撃の動画が一番好きである。

さすがに騒がれるだけはある。

声質がいい。声質が弱いと決まらない。風貌もいい。山口弁もいい。

「てってってー」「山口県から来ました」「メントスコーラお願いします」「絶頂でぷろたん」この辺りのワードの使いどころもよくわかっている。止まったら負けである。15分喋り倒すために瞬間的な発想をよく捕まえている。勢いが大事なのは見ていてわかるが、その勢いの屋台骨となっているのは、目の前の瞬間瞬間を捉える連想ゲーム的な繊細な知的努力だ。ほぼすべてがハイレベルである。

しかし警察くるの遅いな(笑)きても役立たずだし。こっちの方を叩くべきだと思うけど。

みんな、ネット上ではこれと同じようなことをやっているけど、へずまりゅうのように面と向かってやれる人はいない。

俺はネット上で誹謗中傷する人より、こういう人の方が好きである。朝倉未来もどこかへずまりゅうのことを認めている節があったけど、たぶんこういうところを指してるのだと思う。朝倉未来にガチのスパーリングを要求するあたりも男らしい。

しかし、ふっ切れている。ふっ切れようとしたって、ここまでふっ切れるものではない。

もちろん休業指示に従わないパチンコ屋への義憤からきているわけではない。ふっ切れているからできてしまうだけである。

これは度胸でもなければ勇気でもないというかもしれない。しかし俺は勇気があると思う。下品な蛮勇ではあるが、単純にこういうことができる人間は強い。

素にかえることなくチンピラをやり通した。彼にとってチンピラは仕事だ。

ただ騒いでいるだけではなく、ところどころ面白い発言も多い。このスタイルをやる上で非常に重要な部分である。面白いことをいえないと、ただ暴れるしかない芸のないYouTuberと見なされてしまう。こいつはセンスがないからこういう行動にでるしかなかったのだといわれ続けてしまう。いくら凸撃自体が派手で刺激的でも、センスのない煽りを15分も視聴するほど観客は馬鹿ではない。

一本グソのように長蛇の列を作ってる烏合の衆どもを、「オラァ!! パチンカスども!! 全員帰れやボケェ!!」と一蹴する絵は爽快だ。彼は自分がやりたいことをやっているのではなく、みんなが見たい絵を描いている。好きでこんなことをやる人間はいない。彼もまた時代の犠牲者だ。

スマホをいじりながらその場を後にしない客。必死に制御する店員。暴れ続けるへずまりゅう。こういった人間の分かれ道は決して生来のものからくるわけではない。

へずまりゅうがパチンコ店で働いていたら、今回の店員と同じ対応をしただろう。もし警察だったら、今回の警察と同じ対応をしただろう。客だったらスマホをいじってただろう。分かれ道は職業にある。

人が越えられない線を越えること。

無意識で越えているわけではない。意識的に越えている。世の中には無意識で越えてしまう人はただの一人もいない。だから、誰でも本当はこれくらいは越えられるのだ。

若いのがやってると思ったら、29歳だった。29歳でやってるところも俺は好きである。

がんばり方が間違ってる?

ふっ切れたら、誰でもできる?

できることは誰でもできるが、ここまで上手くやれたらそれは芸だろう。

自分で間違っているとわかっていることをやり通すのは凄まじい胆気がいる。普通は正義の圧力を前にして日和見になってしまう。

とりわけ生命力が低い人間がやると、遠くで吠えてる犬みたいになる。

少なくとも俺よりは男らしい。文字でいきがるより、動画でいきがる方がずっと勇気がいるからだ。

これまで中の上レベルの才能の人間は泣き寝入りするしかなかったが、中の上レベルの才能に大きな騒ぎを加えてやれば、世に浮上することも可能な時代なのである。

あと、「自粛要請が出ているのになぜ営業するんですか!?」という声に対して、パチンコ店側のえらい人や警察がたくさん集まっても、誰も答えられないのが面白かった。

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