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コロナ離婚とその対策について

友達「コロナ離婚流行ってるらしいね」

友達「コロナでさ、会社が休みになって、夫がいつも家にいるから喧嘩になるんだって」

友達「不思議だよなぁ。好きだから結婚して一緒になりましょうっていったのに、一緒だとイライラするんだから」

友達「コロナのせいにしてるけど、本当にコロナかよ」

しまるこ「(笑)」

しまるこ「やっぱり世の中の家庭は、みんな外出せずに家にずっと引篭もってると、喧嘩になってしまうのか」

しまるこ「もちろん意外でもなんでもないけど」

しまるこ「家人が、どこか通学したり、通勤したり、外への出入りがあって、はじめて家庭って成立するんだね」

しまるこ「1LDKの6畳の部屋に住んでる夫婦は、一つの例外なく毎日喧嘩が絶えない」

しまるこ「結婚の前にまず同棲からはじめましょうなんていって、1LDKで同棲したら最後」

しまるこ「人間ってのは、それぞれ各人の空間があって、たまに顔を合わせるくらいがちょうどいいね」

しまるこ「格闘技の試合なんかでさ、ぐちゃぐちゃに取っ組み合いになると、もうニッチもサッチもいかなくなってるじゃん。見るに耐えないから審判が無理矢理引き離すけどさ」

しまるこ「夫婦はさ、引き離したくても引き離せないから、あの膠着状態がずーっと続いてしまうんだ」

しまるこ「それは運命とか相性とかコミュニケーション術とかでどうにかなる問題ではないんだ」

しまるこ「みんなそれを知らないで結婚しすぎている」

友達「そうだね」

しまるこ「わりと多くの夫婦が寝室を共にしているのは恐ろしいことだよ。ガンジーは必ず夫婦は別の部屋で寝なければならないといっているのに」

友達「誰もガンジーなんて読まねえからなぁ」

しまるこ「すべては『時間と空間』の問題だよ。それは人間の意識のレベルを超えているんだ」

しまるこ「昔の家はさ、平屋で横に広くて、近所の人までが出入りしたりして、風通しもよかったけど」

しまるこ「家は進化してるっていうけど、大和ハウスの家とか住みたいと思う? 監獄じゃん。閉じ込められてるようにしか見えないんだけど」

友達「そうだね」

しまるこ「よくあれに4000万払うよな」

しまるこ「廊下もないし、庭もない」

しまるこ「不気味に部屋というブロックが寄せ集まってるだけじゃん」

友達「閉塞感があるよね」

しまるこ「こればっかりはいってもしょうがないけど、結局のところ縁側だと思う」

友達「縁側?」

しまるこ「縁側」

しまるこ「縁側がないから離婚するんだ」

しまるこ「縁側のある古民家みたいな家で自粛生活する分には離婚にはならない」

しまるこ「みんな鉄筋コンクリートに閉じ込められて精神を摩耗してるんだ。タマホームとか大和ハウスとか、あれらはぜんぶマッチ箱だよ」

しまるこ「道路はすぐ目の前だし、玄関のドアを開ければ車が走ってるから、気を付けてドアを開けないと車にぶつかっちゃう」

友達「そんな近くないだろ(笑)」

しまるこ「マンションも一軒家も変わんないよ。一軒家だって、あんなにぎゅうぎゅうに詰められてたらマンションと一緒(笑)」

友達「コロナのせいにしてるけどさ、家にいたら離婚するようじゃ、定年後どうすんだよ(笑)」

しまるこ「人間っていうのは、ただそこにいるだけで人をイライラさせてしまうのかもしれない」

しまるこ「俺も実家暮らししていたときは、親と喧嘩ばかりで、殺しかねないところまでいったけど」

しまるこ「引きこもりが親を殺してしまう気持ちはわからなくないんだよ」

しまるこ「はっきりした自信を持っていえるけど、30歳以上のいい歳したニートが、実家で家族と一緒に暮らしていると、血を見ることになる」

しまるこ「うちの親父は、60で定年退職した後は寂しそうだった。家にずっといたら頭がおかしくなるといって、終始家の中をウロウロしたり、通販で木材を買い込んで、ひたすらDIYやら椅子や机なんかを作ってた」

しまるこ「それすら苦しいようで、変なブラック会社にまた再就職して働いてた」

友達「マジで!? また就職したの!?」

しまるこ「人によっては家でゆっくり過ごすより、変なブラック企業で働く方がいいって人もいるんだね」

しまるこ「給付金が貰えるから、家にいた方がよっぽどお金は入ってくるんだよ」

しまるこ「でも今思うとあれは、家にいるのがきついんじゃなくて、一日中ずっと家族といるのがきつかったんじゃないかなぁ」

しまるこ「結婚してフリーランスで仕事する人いるけど、家でずっと仕事してたら血を見ることになると思うけどね」

しまるこ「カフェで仕事するとか、外に自分の仕事場を作らなきゃいけないと思う」

しまるこ「一人の時間を主にして、たまに家族と会うぐらいがちょうどいいんだ」

しまるこ「それが自分にとっても家族にとっても安寧をもたらす最高の方法だよ」

友達「女の悲鳴が聞こえてきそうな理論だね」

しまるこ「その女のためにいっているんだ」

しまるこ「決してひねくれていってるわけじゃないよ。人間自体がそういうふうにできているんだから」

しまるこ「俺は今、二週間に一回実家に帰るけど、これが一週間に一回だとよくないね。二週間に一回だからいいんだ。本当に今は素晴らしい関係を維持できてる」

しまるこ「実家に帰るたびに、3000円のケーキ買って帰ってるんだよ?」

友達「へぇ、お前そんなことしてたんだ(笑)」

しまるこ「一緒に暮らしてた頃は考えられないね」

友達「うちの結婚してるスタッフも、みんな家に帰りたがらないわ」

友達「子供はかわいいけど、妻の顔を見たくないって、みんないうね」

友達「家に帰っても寝るだけなのに、それでも帰りたくないってやばいよね」

友達「独身組はすぐに帰りたがるけど」

しまるこ「二週間に一回になったら話は変わってくるよ」

しまるこ「手塚治虫は半年に一回しか家に帰らなかったみたいだけど、それぐらいになれば離婚はぜったいにないだろうね」

しまるこ「男は金だけ稼いで、できるだけ家にいないこと。そうあるべきだと思うね」

しまるこ「結婚相手とほとんど喧嘩することなく過ごすことができたら、それは歴史に名を刻む偉業に勝ち得る行為かもしれないね」

しまるこ「それはひとえに愛だけど、愛もまた技術なのだ」

しまるこ「武道の達人はほとんど一撃で終わらせる。ごちゃごちゃやることはまずない。離れたところから一瞬で距離を詰めて一撃で終わらせる」

しまるこ「だから俺は結婚しても外に仕事の環境を作って、なるべく家にいないようにしようと思うんだ」

しまるこ「それが愛だと思ってる」

しまるこ「縁側の家を用意したら、夫はなるべく家にいないようにするんだ。それが最高のコロナ対策だよ」

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