暇だったので、ペアーズの男たちのプロフィールを物色していた。
自分と近い年齢の男しか表示されないので、20代のプロフィールはわからないけど、30代のプロフィールは研究できた。
基本的には、街や電車内で一度見たら一度忘れる顔のような顔ばかりだった。他人。それ以上でもそれ以下でもない。人。人がいる。女から見ても同じ感覚だろう。
基本的に女から見たら男は全員怪しいだろう。男はただでさえ怪しいけど、出会い系だと余計に怪しくなる。
いつも調子ばかりよくて、タバコを吸うは酒は飲むわパチンコはやるわ、怒られるのは明らかなのに提出物をまともに出せない。俺と俺の友達2人は、台所の高さがちょうどいいという理由で、平気で台所でおしっこをする。
女も、今更そんなお母さんみたいなこと言ったって直らないから、できるだけ関わろうとしない。
男は女より写真が3倍多い。プロフィールの文章も3倍多い。女とまるで熱量が違う。
男のプロフィールの文章はというと、
意識していなかったんですが、自分自身は相手の事も真剣に考えているらしく、周りからはよく優しいと言われます。根がめっちゃ真面目なのかもしれません。
など、自分の優しさは天然由来であることを自分の口で主張することが多い。
遊びの方は申し訳ありませんがお断りさせて頂きますm(_ _;)m
と書いてあるのもある。遊びの女などいないし、男が遊ばれたとしても傷はつかないにも関わらずだ。身体目的の男を嫌がる女に同調してまで身体を求めるという考え抜かれたメッセージだ。
女のプロフィールはすごく簡素で正直だけど、男のプロフィールは作り込みが深くて嘘が多い。男は、面白いことに全員ほとんど同じプロフィールだ。
仕事とプライベートは大変充実している。順調に出世していて上司と部下の信頼が厚い。仕事に励んでいたら婚期を逃してしまった。ジムに行っているから20代と変わらない健康を保持している。週末は新しいカフェ開拓に余念がない。自宅でゆっくり過ごすときはパエリアにミントをのせて食べる。年収は600万〜1000万。
自分がいかに優秀な遺伝子を持っていて、社会的にも経済的にも身体的にも満足させられると誇示している。趣味も女に寄せにいっている。
女は三代目とか洋楽やk-popが好きとばかり書いてあるが、男はMr.Childrenとback numberばかりだ。こういうところで本当は繊細で弱々しいことがバレてしまう。
そして大体が、自然が好きとか散歩が好きと書いてある。金がかからなくて玲瓏の域に達してることを主張したいのだろうけど、この辺りも女と比べて元気がない。
まぁ、こんな風に嘘七割、本当三割といった感じだ。
平均年収が400万円といわれてる時代なのに、どうしてペアーズにいる人達は、みんな20代や30代なのに600万円から1000万円も稼いでいるんだろう?
女もバカじゃないから、そんな嘘で塗り固めたプロフィールに騙されはしない。観察していると、理系育ちで浮気しなそうな小人メガネ系の男がいいねを稼いでいる。これは興味深い。
学歴が大学院卒だといいねが多い。年収は盛れるかもしれないけれど、学歴は嘘がなさそうだからだろう。
ヘタに肌が綺麗すぎたり写真加工している男は、いくらかっこよくてもいいねが少ない。その人の本当の生活を感じられるような人がいいねを稼いでいる。このあたりは20代と30代でまた違うのかもしれないけど。
審美的な面よりも、仕事や家庭から逃げださない強さがあるかどうかを見極めているようだ。ブラック企業の面接とよく似ている。
この小人メガネたちも、今までずっと光が当たらなかったけど、ここにきてやっと順番が回ってきた様子だ。彼らも本当は19歳の女子大生を食い散らかしたいけど、自分の分をわきまえている。
基本的に男は女の写真を見て、アップになってる顔を見ると、その唇に、自分の臭い棒切れをガンガンくっつけてるのを想像して、尻を見ると、後ろからガンガン押し込むことを想像している。2分も3分もずっとそんな想像しているだけだ。他のことはどうだっていい。しかし、そうも言ってられない。
今まで学生時代は見向きもされなかったのに、なんでここにきて急に仲良くなれるようになってるのか? 自分が変わったのか、彼女たちが変わったのか、それとも両方? いや、時間……?
(こいつら、20代の頃はドライブしたり箱根に旅行したり、今だって友達同士でキャンキャンご飯食べてるくせに、急に手のひらを返すように、俺と付き合ってもいい感じになってる。しかしまだどこか俺を見下してる。デートやLINEのやりとりで俺のことをなんとなく小馬鹿にしていることがわかる。俺の服をダサいと思ってる。パンツがトランクスなのを心の中で笑ってる。生足ぶらつかせとけば俺程度なら大丈夫だと思ってる。安心した顔してる)
男も女も時間がない、時間がないと言っているように見える。彼らは、疲れていて、一刻も早く寄木に身を寄せたいのだ。
彼女たちもこういう男を選ぶしかないけど、男もこういう女を選ぶしかない。一見モテているようで、自由度はない。シングルマザーか、首にしわが出てきているような女を選ぶしかない。
街コンに行った時、ずっとテーブルに突っ伏して寝てた男がいて、みんな、「何アレ?」「7000円払ってバカじゃね?」と笑ってたけど、俺はあれを見て正直だなぁと思った。
しかし30代というものは、20代と比べてそれほど性欲も変わらないし、そしてよく食べる。まだまだ二郎系の肉がわんさか盛られた濃くてしょっぱいラーメンが大好きだし、汁も全部飲み干したくてしょうがない。
やはり男女ともに、20代と変わらず唯物主義で、自分の欲望に焼き焦がれる毎日で忙しい。5万円で買った服が、異性に見せる出番がなかったまま糸クズになったように、夢と期待をこめて無駄なことに金を使って消耗している。
男女のプロフィールを見れば分かる通り、あれがしたいこれがしたいとばかり書かれてあって、自分が相手にこうしたいというものは何も書かれていない。
他人を幸せにしたいからではなく、自分が幸せになりたいから結婚するのである。
物ありきの幸せを一緒に過ごしましょうと言っている。物がなかったら成立しない。
これが、2時間ほど男と女のプロフィールを見て感じたことだ。