りょういちんこZ「その当時は、筋トレしたくてたまらなくてね。少しでも時間が空けばディップスやりたくてたまらなくなってた」
友達「マジでお前そんなことしたの?」
りょういちんこZ「したよ」
りょういちんこZ「こうやってね、平行棒を握って、思いっきり開脚した。ちょうど目の前にマシントレーニング機器が4つ並べられてあって、平行棒がそれに向かい合う形だったから、図としては、こんな感じ」
りょういちんこZ「リハビリに来ているおじいちゃんとおばあちゃん達の前で、思いっきり開脚しちゃった」
友達「目の前で利用者達がマシントレーニングやってるんでしょ? 完全にお前の健康体を見せつける構図になっちゃってんじゃん。どうだ、欠陥品ども。俺の完全な肉体を見よ、若い体を、若い筋肉を、若い健康体を見よ! って感じになっちゃってんじゃん」
りょういちんこZ「そうなの(笑)」
友達「お前サービス提供者側じゃん」
りょういちんこZ「そうだけど」
友達「それはまずいでしょ」
りょういちんこZ「ちょうど筋トレにはまってた時期でね。どうしても平行棒見るとディップスやりたくなっちゃって、一人マッサージが終わると、その合間、新しい利用者がベッドに歩いてくるまでの合間、10秒ぐらいだけどね、その間によく平行棒でディップスやってた」
友達「お前がやっちゃダメでしょ」
りょういちんこZ「そう」
友達「いるねー。若い職員で、やたらとリハビリ機器触りたがる奴。仕事中なのに、我慢できなくなって筋トレ始めちゃう奴」
りょうちんこZ「いるね」
友達「ライザップの若い職員とかでもいるよね。ちょっとした合間に鏡で筋肉見たり、ダンベル持ち上げたりスクワットしたり、軽くなんだけどね。仕事中なんだけど、なんか許される空気できあがってんだよなぁ。あれって、本当は、自分の体を鍛えることしか興味ありませんって言ってるのと変わんないよね? 客の筋肉は仕事でおまけとして扱ってんだろうなぁって、いつも思う」
りょういちんこ「なんか質問すると、『僕はこう思う』とか『僕だったらこうしますね』とか言って、ずっと自分視点なの(笑)探求者ってみんなそうだね。自分は無理するけどあなたを無理させる気はないっていうか。優しさか何かしらんけど、課題の分離がはっきりしすぎてて、少し寂しさを覚えるというか」
友達「そういう奴の方が知識はいっぱい持ってるんだけどね」
りょういちんこZ「でもお前の言う通りだよ。ああこの人(りょういちんこZ)は、私たちのことより、自分の体を鍛えることの方が興味あるんだろうなぁ……という目で見られてたもん、目の前の高齢者たちに」
友達「嫌だなぁ、そんな施術者。よくやるよなぁそんな環境で」
友達「注意する方もさ、あまりにもやり過ぎていたら注意しなきゃならないけど、ちょうど、注意しようかな? どうしようかな? という瀬戸際をうまく潜り抜けられるというか。本当に、10秒とか、それくらいのちょっと目を離した隙にやりだして、注意しようかな? と思うとやめちゃうから、注意できないんだよね」
りょういちんこZ「うん」
友達「警察官がさ、交番の前で、ゴルフのスイング? まぁ、エアーなんだけど。やってるの見たことあるだよね。そんなの、平和の象徴じゃんね? だから誰もあんまり言えないと思うんだよ。グラブ持ってあんまり熱心にスイングしてたら注意せざるを得ないけど、ちょっとふとした感じの、そういう息抜きみたいのはね、周囲の気を潜り抜けるというか、あんまり注意できないよね」
りょういちんこZ「うん」
友達「もしかして、それを狙ったの?」
りょういちんこZ「そりゃ狙ったよ」
友達「ただ配置が悪いね」
りょういちんこZ「配置が、ちょっとね」
友達「まん前だからね。完全にお前が自分の健康体を見せつける構図になっちゃってるじゃん」
りょういちんこZ「おばあちゃん達はね、みんな、杖をついて歩いたり、下肢装具をつけてたり、車椅子だったり、満足に動かせない体で、みんな一生懸命マシントレーニングしてんの」
友達「よくそんなことできるなぁ」