このブログでは食品に関する様々な情報や、少食、断食について語ってきたが、最も肝心なのはそれを相手にどうやって実行してもらうかだ。
自分から断食の世界に飛び込んでくる勇者なら話は容易いが、そういったものと無縁の食欲旺盛な19才の女の子をこちら側の世界に引き込むにはどうしたらいいのか困っている。
人は基本的に自分の知りたい情報しか聞こうとしない。結局自分の集めた知識だけを信じる。話を聞いても、自分の持っていた知識と被ったときにだけその情報の信憑性を確信するだけだ。
最近懇意にしている女の子が皮膚アレルギー持ちで、それを治すにどうしたら考えている。
彼女は医者に「二度と治らない。あとは悪くなっていくだけ」と、ある意味死より恐ろしいことを宣告された。今は惰性で生きていると言っていた。アレルギーは最近になって発生したらしい。彼女はファッションが大好きで着物が好きできゃりーぱみゅぱみゅみたいな髪やメイクみたいなのにも憧れを持っていて、19歳はそういうのが一番好きな年頃だけど、その中でも更にその道を突き進んでいるようにみえた。しかし最近になって、口紅は塗れない、ファンデーションもあまり塗れないということになってしまったのだ。
若い女の子はやたらと明るい口紅やピンクの口紅をつけてメイクを楽しんでいるがそれができなくなってしまった。高い着物を買う女の子なんているだろうか? なぜこの子にこんなことが起きてしまったのか。
彼女のLINEのアイコンも紅生姜みたいな口紅をつけて、メイクが死ぬほど好きなことは伝わってくる。リップも塗ってはいけないと言われたらしい。4000円の高いリップなら大丈夫かと思って試してみたらしいが、湿疹が出たとのことだ。
「二度と治らない? そんなことはない。俺は医療系の仕事をしていて、そういうことはよく調べているけど、基本的に少食にすれば治らない病気なんてない。アレルギーも治ったっていう話はよく転がってる。ネットで検索すればいくらでも出てくるよ。特に甲田光雄先生の本はその事を詳しく書かれてあるよ。まずは玄米菜食にして、食生活を見直して、少食にすることだよ。そうすれば良くなっていく」
「玄米は鉄分を吸い取るらしいんですよねー。だからどっちもどっちらしいです。白米と玄米は」
「 白米はもともとが玄米だし、玄米の栄養素の97%削ぎ落とされたのが白米だから絶対に玄米の方がいい。食物繊維の量も違うしね。むしろ白米はあまり体に悪いから食べない方がいいよ。 食べ物はなるべく自然なものを食べるべきだよ」
「それだったら農薬塗れの野菜のほうが、あたし的に気になる(笑)」
「あたしとしては農薬を使っていることの方が気になる。それをやるんだったら農薬なしの自然食品だけにしたいです。てもお金かかるしなぁ……」
と言って、今できていない領域を超えて更に高いハードルを持ち出して悲嘆にくれていた。
この子はよく食べる。何も気にせず三食モリモリ食べている。食べすぎといっていい。ピザも二枚頼んだけど俺の分まで食べていた。二枚とも、最後の一切れを申し分なく食べていた。
製菓の専門学校に行ってるから、そこでもいっぱいお菓子を食べるはずだ。その中には色んな化学薬品もふんだんに使われているだろう。そしてスーパーやコンビニでトランス脂肪酸やpH調整剤や着色料、香料が含まれた様々な食品を買って食べるだろう。これはスーパーも悪いのだが、もちろん買う方より売る方の方がずっと悪いのだけど、なんとか知識をつけて乗り越えなければならない。
そして牛乳が好きだという。牛乳も良くない。喘息を引き起こす。牛乳は体内で消化されずに血液の粘性を高めるだけだ。お菓子作りでいっぱい卵も牛乳も使うだろう。言えやしない。卵も牛乳もやめろなんて言えない。お菓子作りをやめろと言っているのと変わらない。
色々説得を試みたが、あれは嫌い、これは好き、あれは食べられないと言う。
実家暮らしでいつも親に作ってもらってるからあまり言えないそうだ。これはまぁわかる。だが問題が問題だ。アレルギーは克服しなければならない。医者に無理だと言われたからといって諦めることはない。ネットで検索すればアレルギーを克服した例なんていくらでも出てくる。俺も喘息を治したことがある。病気がちな人はそもそも精神が弱い。病気は精神が弱い人を寝床にして育つ。
彼女はよく弱音を吐いた。つらいだるい。肩が痛い。足が痛い。サロンパス代がかかる。今日は学校行きたくない。サボろうかな。風呂上がりのストレッチ? 絶対続かない。面倒くさい。弱音を吐くことがどれだけの罪悪かということを彼女は知らない。弱音を一つ吐く度に運気をどれだけ遠ざけるか知らない。積極的な心と消極的な行動が人の心の中に二律背反しているけど、彼女は常に消極的な心の分量が多かった。不幸が押し寄せてくるのでない。自分から不幸のお椀を手を取って汁を啜っているのだ。
ここではなぜ野菜と玄米だけの少食にすればアレルギーが治るかという話は割愛する。玄米菜食の少食をすれば治ると甲田先生が豪語しているから信じればいいのだ。治らなかったとしても何か困るだろうか? 期待を裏切られただけだ。たったそれだけのことだ。食費も高いものじゃない。むしろ安くなる。親にも言えば納得してくれるだろう。「ねえ、お母さん、アレルギーを治したいから玄米菜食を試してみたい」といって反対する親がいるだろうか?
今、彼女ができることは少食にすることだろう。彼女は細めだけどよく食べる。あの店に行きたいこの店に行きたいと楽しそうに話す。俺も一緒について行って食べている。「天ぷらで揚げたビザのお店があるらしいです! 行ってみたくないですか??」と最近も言っていた。そんなとき、少食がどうとか言い出せるわけもない。
彼女の中に、本当に玄米菜食の少食にすればアレルギーが治るという確信があれば実行するのだろうが、あまり真剣に聞いていない。俺の意見よりも医者や最新の栄養学を信じている。アレルギーはアレルゲンから発生するのでアレルゲンにだけ気をつけていればいいと思っている。ほとんど食べ物に気を使っていない。人間の身体は食べ物でできているのに。
あまり俺の言葉を信じようとしないし、彼氏にそんな指導係みたいになってもらいたくもないんだろう。一緒に好きなものを食べて笑いたいんだろう。
これは彼女だけではなく、母親に言っても同じ結果だった。
- 私はヨーグルトを毎日食べているから大丈夫。
- 朝食を抜くと元気が出ない。楽しみが減る。
- そんなに別に長生きしたいと思ってない。
- 玄米食べている人も病気になってる。
- 菓子パンしか食べない後藤さん夫婦は90越えても庭仕事をしている。
ほとんどの人は色んな理由をつけて実行しようとしない。そして親は大腸ガンになって手術した。
相手の食生活を変えるには、相手の自発的な動機がなければ無理だ。強い自発的な動機があっても難しい。俺もよくくだらないものを買って食べている。
「治らないアレルギー」と宣告されて、ろくに調べずに諦めてしまうのは早計過ぎる。俺も19歳の頃は一般的に流布されている知見は全て正しいと思い込んでいた。栄養のあるものをたくさん詰め込めば詰め込むほどドラクエの経験値みたいに成長していくものだと思っていた。
しかし一番いいのは何も食べないことだ。断食によって身体組織の修正が開始される。「アレルギー 断食」で検索すればいくらでもそんな情報は出てくる。
嫌われる覚悟をもって話さなければならない。だけど、なんとなくわかるのだ。断食ができる人とできない人がいる。人間は自分に都合のいいことしか信じようとしない。彼女は、「アレルギー 断食」をネットで調べ回っても、いちいち頭の中で否定しながら見ていくことだろう。それに、あまりとやかく言うと、一緒にご飯食べに行きたいと思われなくなるだろう。
あーーーーー!! めんどくせーーーーー!!
じゃあもういいよーーーーーー!!!
勝手にしろよおおおーーーーーー!!
ネットで成功体験の記事を読んで、更に甲田先生の著作でその知識の裏付けをはっきりさせれば、全ての霧が晴れるはずだ。完全に少食の世界の住人になれるのだ。ああ、この過程を辿らせたい。19歳、食べたい盛りだけど、オシャレしたい盛りでもある。一生アレルギーでいいはずがない。まぁ、まだ知り合って1週間も経ってない。もう少し頃合いを見よう。
デブも、病気がちの人も、メンタルだけでなく頭も弱い。情報を見極める力が弱い。いつも金がかかる方へ進む。キャリアスマホを使って月に8000円払っている。simフリースマホを勧めると、ここでもアレルギーを起こす。肉体の病気ではないのだ。自分の今いる世界から一歩も踏み出せないという病気なのだ。
自分の世界だけで完結せず、他人と少食を共有させようとしてわかったことがある。甲田先生の偉大なところは、少食の効用を広めた事にあるのではなく、目の前の患者さんを励まして病気と戦う姿勢を抱かせたことだ。
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「33歳の俺が最近できた19歳の彼女を題材にして愛について本気出して考えてみた」シリーズ
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