「やったー!」がほしいんだよ、男は。
— 電動しまるこ (@dendo_simaruko) 2018年12月6日
それに比べて……。
いいですよ? いいですよじゃねーよ(笑)
デートに誘われたら、よろしくお願いしますだろーが。
「いいですよ」と言う子とは、会わない。少し前に誓ったばかりなのに、早々と破る羽目になった。
会わない方がいいのだが、クリスマス前ということもあり、暇だったこともあり、会ってしまった。
23歳の子だったから我慢できなかった。若い子が好きなくせに礼儀を求めるから苦労する。空を飛べる車を求めるのと変わらない。
まぁ、普通の子だった。普通の服を着て普通の髪型をしていた。背も普通だった。マスクをしていたことだけが普通ではなかった。初対面の人間と出会うのに、平気でマスクをつけてくる神経が俺には分からなかった。そして、マスクをする女の大体は声が低い。出会い系のほとんどの女は声は低いが。
会った瞬間に今回はダメだなと思った。 長年出会い系をやってきた男の直感である。向こうも気乗りしていないのを感じたし、今日はやめようかと言って解散させようかと思った。おまけに俺はこの12月の季節、気温5度の中を半袖でやって来ていた。「寒くないんですか? それ、絶対浮きますよ」と言われてしまい、一緒に歩きたくなさそうな顔をしていた。
そんな最悪な状態からスタートしたけど、俺はなかなかポジティブだった。消極的な気持ちを消去して積極的な気持ちだけで固めてしまって、火の玉のように体当たりすればどうにかなるんじゃないかという算段を持っていた。基本的に出会い系の戦略も、人生の戦略も、これひとつでやっている。
適当に店に入って会話をしていると、この女にどう思われてもいいから、あることないこと適当にテンション高く会話をしていた。
「出会い系で色んな人に会ってもさ、この季節に半袖でやってくるのは俺ぐらいだね!」
「自営業始めたけどお客さん来ないから毎日温泉ばっか入ってるよ! いやぁ、正社員時代の半分も稼げてないね! はははは!」と言うと、
「出会い系っていろんな人がいるんですね」と乾いた笑いをしていた。
最近は正直に曝け出している。別に成功率は変わらない。休日は仲間とフットサルやってます、みたいな模範解答をしようがしなかろうが、変わらない。世の中の殆どのひとが、テクニックに頼らなくても付き合ったり結婚している現実があるので、普段から自己鍛錬を積んでる人間だったらなおさら、目の色を変えて何者かになる必要もないと思った。
軽い気持ちで白石麻衣に髪型や輪郭が似てると言ったら、「本当ですか!? 私まいまい大好きなんですよ!!」と言って、飛び上がって狂喜乱舞した。
そこで気を許してくれたのか、出会い系の話になり、たくさんいいねが来て気持ち悪いんですよと言って、男性会員のプロフィールをいっぱい見せてくれた。
みんな気合が入っていた。ドアップの写真だったりスーツ姿で決めていたり、ゾウの鼻に抱きついていたりと、かっこつけたりリア充ぶったり、面白い人間ぶったり、あの手この手を使って女の気を引こうとしていた。
しかし、はじめしゃちゃーやフィッシャーズのように、生来の陰気臭さというのはなかなか隠せない。普段は生産性のない仕事をだらだらやっているけど、出会い系のような匿名性の高い世界では、心機一転していかにも人生うまくいっているように見せかけている写真に感じられた。
それは23歳の女の子でもなんとなく感じ取れるようで、そんな男達を高速で指で弾きながら、本当にみんな気持ち悪いと言っていた。
俺はずるいと思った。女が女の感性を頼りにして、気持ち悪いと言ったら、男はもう頭が上がらない。いくら金持ちでかっこよくて社会的なステータスが高くても、女に気持ち悪いと言われたら終わりだ。逆はない。男が女を気持ち悪いと言っても通用しない。ただの負け惜しみにされてしまう。
— 電動しまるこ (@dendo_simaruko) 2018年12月10日
象の鼻に抱きついている男の写真があったので、この人面白いじゃん! と言ってタッチしようとしたら、
「やめてください! 足跡ついちゃうじゃないですか!」って本当に嫌そうにしていた。足跡がついたらすぐにいいねが来てしまうらしく、神経を使うらしい。
基本的に、メッセージを送って、すぐに返信がくるのは気持ち悪いらしい。自分が3時間ぐらいで返したら、それと同じぐらいで返してほしいと言った。
「でもさ、相手が3時間で返したから、じゃあこっちも3時間後にまた返すかと、みみっちく計算してる男も小さくない? 俺はテクニック本を読んで、メールの返信間隔は女の子と同じにしろと教わって、その通りにしてたけど、馬鹿らしくなってやめちゃったな。返せるときはさっさと返して、忙しかったり気が乗らないときは多少放置するのが一番いいのかなと思ってる。返すのも面倒臭くて、返さないのも面倒臭かったりするんだよな。俺は返せるときはさっさと返しちゃうなぁ」と言ったら「え!? そんなテクニック本とかあるんですか?」と笑われた。色々話したのに、そこに食いつかれただけで終わってしまった。
「これから仲良く恋人同士になりましょうって言ってるのに、人間ってのはいちいち距離を図り合って馬鹿らしい生き物だね」と言ったら「ふふふ」と笑った。
「でもさ、相手から返事が来て、自分もすぐに返事を返して、相手からまたすぐに返ってきたら、息をつく間がないよね」と言ったら「そこなんですよ!!!」とすごいでかい声を出してびっくりした。今日一番の共感ポイントがそこだった。