私がモテないのはどう考えてもお前らが悪いはリアルで素晴らしい

結局面白い作品と言うのは限界のところで心理描写する。

 


最近、うたわれるものシリーズを全部やってみたが、amazonレビューで大絶賛されていて期待していたが、そんなに面白くなかった。

 


都合のいい時に都合のいいキャラが都合のいいことをするばかりで、ずーっとシラけて見ていた。

 


大作というのは難しいと思う。小さな細部までリアリティに富んでいて、まるで世界やキャラクターが息しているように感じられる大作というのは少ない。エロゲーの感動モノは、都合が良すぎる。そして真っ白な画面に盛大な音楽をぶつけて感動を呼び込もうとする。keyもleafもそれの繰り返しだ。

 


長いこと日常生活を送らせて、最後に一緒に過ごしてきた仲間が消えてしまう。それで感動を呼び起そうとしている。やはり、作為的だ。

 

 

 

 


私がモテないのはどう考えてもお前らが悪いという漫画は素晴らしかった。感動とかそんなものは無視して、ただリアルな日常を追い求めた作品だ。

 


ライトノベルや漫画業界は、ぼっち系主人公が斜めの角度からリア充たちをごちゃごちゃ誹謗するのがほとんどの作品で、同じくぼっちの読者が共感するのかもしれないが、いいから余計な詮索してないで挨拶したり話しかけたりして、ちゃんとしろよと思ってしまう。

 


いつも脳内でごちゃごちゃばっか言っていて、根性出して自分の問題と向かい合ってみたり、いい加減そんなつまらない自我をとっぱらってしまえよと思う。うるさい自我だなぁとしか思えない。

 


だからあんまりこの手の漫画は好きじゃなかった。もういい加減飽き飽きしていた。リア充ぐらいさっさとなれよと思っていた。

 


だがこの漫画は違った。他のぼっち系の漫画と比べてめちゃくちゃ丁寧であることだ。キャラクター一人一人が固有の生命を持って行ってそれぞれが独立して動いてるような感じだ。

 


とにかくキャラクターの心理描写が的確で、作者も年が40近いこともあって非常に達観している。若い奴がうだうだいっている描写ではなくて、ただあるがままをあるがままにリアルに描いてる。

 


下ネタも多いが下ネタも的確ななかなかうまい言い方をするので笑ってしまう。ギャグセンスがもともと違うのだろう。

 


キャラクターそれぞれが、その時一番的確な言葉を出して、キャラクターの感情をよく捉えているのでものすごく共感できる。この漫画の最大の売りだと思う。

 


本当によくある日常が続くだけの話だけど、細かい感情、そう細い感情が本当にうまいのだ。漫画の中でキャラクターが体験する小さい感情を丁寧に深く掘り下げてっている。

 

何かゴールに向かってキャラクターが動いていくというよりかは、キャラクター一人一人が、とりあえず生きていて、何か行動を起こして、その行動の中で複雑な感情が発生して、その連鎖がストーリーになっている。

 


作品とは心理描写が的確だと、どんな出来事でも面白く感じてしまう。

 


だからうたわれるものみたいな大作でなくとも、ただ自分の身の回りのことを一生懸命に正直に、嘘がなく、的確に書きさえすれば、名作になるのだと思う。逆に、大作はこの点が難しいだろう。嘘ばかりになってしまう。

 


ぼっち漫画は、ぼっちに対して、キモいよねクソだよねバカだよねみたいな感じで、ぼっちに対して過剰な攻撃が行われたり、やたら冷たかったりするが、実際、ぼっちなんてものはただ放って置かれるだけだ。陰口さえ叩かれない。むしろ優しくされたりすることの方が多い。この漫画はみんなぼっちの主人公に対して優しい。その辺りがリアルだ。

 


今では大体の学校、ぼっちに対して攻撃したり、いじめたりすることもなくなってきているだろう。どの生徒もおとなしくて優しくて、ぼっちに対しては何もしないという選択をとる。別に自分の仲のいい友達と親密にしていれば全て解決するから、わざわざ誰かを攻撃したり、関わりあう必要がないからだ。つまり、関心がない。

 


この漫画はぼっちに対していじめることもなければ、暖かく迎えようとする感じもない。ただ放っておくだけだ。

 


タイトルだけだとまた二流三流作家が、興味を持って欲しくて頑張ってつけたようなタイトルの漫画に見えてしまうが、まったくそんなことはなく、漫画界の中でもトップレベルの心理描写やギャグセンス、リアルな描写能力を持っていて、作家としてのレベルが抜き出ている。

 


一言で言えばリアルだ。