本当の自分を晒して出会い系に挑んだ男の体験談

出会い系の女は、基本的に狂っている。100人いたら100人狂っている。

 

最近出会い系をやりだした後輩は「出会い系って、変な奴しかいなくないですか?」

といった。

 

周りの友人も全員口を揃えて「出会い系は変な奴しかいない」という。

 

見かけは普通。態度も普通。普通に挨拶して話して食べて割り勘して帰る。

 

ただそれだけが起こって、別に、いわゆる普通の時間があっただけのはずなのに、どうして変な女に感じてしまうんだろう。

 

一見普通そうには見える。会社に行って仕事して、お客さんに真面目にサービスする。ミスも少ない。クレームもつかない。帰ってきて、弟と廊下ですれ違ったり、AAAのミュージックビデオを観たり、ZOZOTOWNで何か買ったりしている。

 

出会い系という匿名性の高い環境で、無理に男女が結びつこうとするからだろうか。人は、社会的な連鎖的な付き合いの延長でないと、狂ってしまうのか。

 

普通に生活していれば、アプリなんかに頼らなくても、毎日の生活の中で恋人を作れるかもしれない。だからわざわざ出会い系をやりだす女は、変人しかいないのか?

 

いつの日も、我々を苦しめるテーマは、ミスチル名もなき詩のように、ありのままの自分で生きられないつらさにある。特に、たったひとりの異性に、自分を認めてもらいたい。愛されたいという欲求は、凄まじいものがある。年を重ね、自分の人間としての濃度が深まっていくほど、それを褒めてもらいたくなる。自分の今まで過ごしてきた時間は無駄じゃなかった。その思いの丈を、たったひとりの異性に受け入れてほしいと願っている。

 

 

 

 

友人Yは、出会い系で出会った女に、ある実験を試みた。今回は、その戦いの記録を記す。

 

 

 

 

Yは30歳だが、女も30歳だった。

 

俺だったら30歳という理由だけで頭がハゲるほどイライラしてしまうが、Yはあまり気にしなかった。

 

出会った30の女は、法律事務所のパートで働いているとのことだった。見た目は可もなく不可もなく、普通。 その事務所は、若い弁護士夫婦二人で個人経営しているとのことで、30の女は新婚夫婦の職場に、ずうずうしく存在していることになる。坂上忍のような女だ。

 

30の女は、その社長の弁護士を、しきりに褒めるという。その弁護士は、子育てが趣味で、家に帰って子育てをするのが何よりも楽しみで、仕事中も奥さんを労り、30女にも、とても優しいとのことだった。

 

趣味がパチンコ屋や風俗と言われたら、いくら正直といえども、吐瀉物や紙おむつをぶつけられた気分になるが、男のくせに、趣味が子育てとはいかがなものだろうか、俺は聞いていて脆弱に感じた。 

 

 

 

 

Yは会ったその日に、その女とセックスをした。普通に出会って、カフェで談話し、 公園で散歩して、休憩しようといって、ホテルに入ってセックスした。

 

そんなたった数時間の間に、セックスができてしまった! すごいと思うだろうか?

 

男と女というのは、二人が同じ空間で一緒に過ごしているだけでセックスを意識してしまう生き物で、デート中はセックスが頭から離れないでいる。「まぁいいかな」とお互いが思ったら、あとは、どこで、どのタイミングでセックスするんだろう、と頭の隅で計っている。大人というのは弱く、体の関係がなければ、関係を保てなかったりする。

 

Yはその30女とセックスして、帰路につき、1日を反省してみたが、結婚どころか付き合うことも考えられなかった。話がつまらなすぎた。この女と一緒に生きていくのは無理だろうと考えた。だが、久しぶりの女体だ。もったいない気もする。Yは彼女もセフレもいなかったので、とりあえずこの女をセフレにしようと考えた。顔がいいわけでもないい、年もいっている。だが、月に2回、その女の腰に手を添え、一応まだ湿っていると思われる蜜壺に、自分の串を入れたり抜いたりする。それならいいと思った。

 

しかし、ホテルや食事代、そこまで向かう時間、準備する時間、メールのやりとり、それらと、ちょっとだけ贅沢なオナニーは天秤が吊り合うのか? この女は話がつまらない。楽しいのはせいぜいセックスのときだけだ。

 

Yは、「デートのとき精神的に楽だったら概ね吊り合う」という決断を下した。

 

Yは、その女と会話しているときは、女が気持ちよく話せるように聞き役に徹したり、自分の価値観を一生懸命に曲げて、相手の意見に全面的に同意したり、ひたすら消費していた。これまでの人間関係で培った社交スキルで、無難に努めた。これは、接待だ。

 

せっかくの休日まで接待をするのは辛かった。上手くいく恋愛は、スッと進んでスッと付き合える。相性が良ければ、始めから抵抗なくスムーズに進んでいくと、Yは思っていたので、今回は、明らかにその条件を逸脱していた。 

 

Yはこう考えた。ありのままの自分で、もう一度向き合ってみよう。もし自分のありのままの姿を出して、それを相手が受けいれてくれるのだったら、可能性がある。これからのデートも楽チンだ。もしかしたら結婚もあるかもしれない。

 

次のデートでは、ひたすら自分が思ったことを話す。相手がひこうが、青ざめようが関係ない。それで駄目だったら、それまでだ。

 

人間は、どうでもいい相手には積極的になれる。別に、この女がセフレになろうがならなかろうがどっちでもよかった。もし正直に話した結果、向こうも感化され、お互いに正直に話せるようになり、実は女の方もつまらない話をしていたのは社交辞令で、ほんとは楽しい子かもしれない。そうすれば、相手の容姿も、年齢もいまひとつだったとしても、かけがえのない存在になるかもしれない。 

 

 

 

 

 

さて、ここまでで中盤だが、ここで、もう少しYという人間について深く紹介してみたい。

 

Yは普段日頃から面白いことを言うことに熱心で、人が話しているときにもじっと耳を傾け、自分が話す番になると、一言で抜群の返しができないかと苦心することが多かった(この前も、飲みの席で、仲間の160cmのチビが立ってカラオケで熱唱していて、「いいからいい加減立って歌えよ」といって笑いをとっていた)。

 

俺が、白髪が気になるけど、一人じゃ上手く抜けないから助けてほしいといったら、すぐに駆けつけてくれて俺の白髪を抜いてくれたこともあった。たった、2,3本のために。

 

仕事においても、どんなに部下がミスしても怒らないと決めていて、どうしてミスが起きたのか、理由を一緒に考え、次はどうしたらミスをしないで済むかということを投げ出さずに導いていた。また、その部下が同じミスをしても、また一緒に考えた。またまた同じミスをして、周りに呆れて放っておかれても、Yだけは見過ごすことがなかった。

 

一度出会っただけでは、Yのこういった良さは伝わらない。自分からこんなエピソードを披露するわけにはいかない。数時間で仲良くなるには、せいぜい、相手の話をよく聞いてあげるとか、相槌いっぱいついてあげるとか、褒めてあげるとか、それくらいだ。下手に面白いことをいったり、変わったことをいったり、個性を出すと変人だと思われる。出会い系は、出会いが特殊なために、自分は至って普通の人間です、とコミュニケートし合うところから始めなくてはならない。

 

まぁ、詰まるところ、Yがこれまで一生懸命培ってきた能力は、出会い系ではあまり役に立たちそうにないということだった。 

 

 

 

 

 

2回目のデートのとき、「離婚」の話になったらしい。30女の周りでは、最近離婚が多いらしかった。法律事務所で働いていると、ほとんどが男女間のトラブル、浮気、離婚の案件らしい。

 

女は「なんでみんな離婚しちゃうんだろう」といった。Yはここがチャンスと言わんばかりに、結婚に対する価値観を正直に、これまでかというほど話してやろうと思った。「結婚がいいものじゃないからだと思う」といった。「男は若くて容姿のいい女を求めて結婚し、女は金を求めて結婚する、結婚というのは、もともと売春と変わらない」

 

「俺はつまんない仕事を毎日やっている。くだらないと思いつつも、今のクソみたいな暮らしを、壊れても一向に差し支えないのない生活を、守るために働いている。働くのもずいぶん慣れた。定年までやると思うとげんなりするけど、やれると思ってる。やるしかないし。結婚も一緒だと思う。とりあえず、2人の間の決められた約束事は守る。家事も手伝う。週末に家族と出かけることも企画しようと思う。結婚生活とサラリーマン生活は似ていると思う。俺は何年もサラリーマン生活を続けられているから、結婚生活もたぶん続けられると思う。結婚生活が続いている家庭というのは、そんな感じだよね。みんな我慢している。◯◯ちゃんは、なぜ離婚しちゃうんだろう? と聞いたけど、それは、忍耐が足りなかったんだと思う」

 

女は一生懸命相槌をうって、よく聞いてくれて「へぇ!」とか「うんうん!」とか言ってくれたらしいが、デートが終わった後、返事は返ってこなかった。

 

 

 

 

俺は、「出会い系の女を狂っている」「イかれている」と周りに喧伝ばかりしているが、今回の一例も、一応当てはまるかもしれない。

 

質問系のメッセージを送ってこないとか、「待ち合わせ場所に着いたら連絡ください、そしたら私も行きます」とかいう女だけが、狂っているわけではなく、正論が見えない頭の悪さにもある。

 

デートも相手任せだ。女だからウンウン頷いていればいいと思っている。戦おうとする意思がない。ちょうどいい連絡をくれて、気遣いしてくれて、ちょうどいいときにプロボーズしてくれて、全部相手が何かしてくれて当然と思い込んでいる。

 

 

 

さて、女は、Yの意見にひいてしまったのか。寂しい考え方をするんだなと思ったのか。

 

どちらにせよ、結婚や恋についての葛藤は思っていても黙っていてほしかったのだろう。淡々と、テンポをよく結婚まで導いてほしかったのだと思う。

 

たしかに、これから結婚するかもしれない男に、「忍耐」とか「我慢」とか言われると萎えるかもしれない。なんか消極的に感じる。いやいや結婚したいのかな? と思ってしまう。

 

だが、これは、他人同士が生活していく上で必ず発生する問題についての見解を語ったに過ぎない、とも言える。空の青さを語るのと一緒で、そこにあるものを、ただあると言っているのと同じだ。

 

俺はYの主張は、ネガティブでもポジティブでもないと思っている。ただの正論だと思っている。暑いと言っているのと変わらない。正論なら何を言ってもいいわけでもないことはわかっている。だが、今回は言ってもいい範囲の部類に含まれると思う。結婚はたしかに忍耐が必要なところがある。それでも、それにぶつかっていこうとしているのかな、と、どちらかというとポジティブ側に感じる。

 

だが、テンポが悪かった。気持ちが下がってしまうのだ。そういう話は同性とするから、あなたは黙って、テンポよく私を結婚まで導いてくれればいい、面倒くさいと女は連絡を断ったのではないだろうか。

 

いいところだけを見せて悪いところは見せないという面接のような態度で終始していてほしい。そして私はそれを見てウンウン頷いたり、アハっと笑ったりする。急にプロボーズされても困るので、あくまで小気味よく、エスコートしてくれて、おいしいものを食べて、他愛もない話で笑って、自分は雛鳥のようにポカンと口を空けて、自然に口の中においしいエサが運ばれてくるのを待っていたいのだ。ゆっくりでもなく、はやすぎることもなく、ちょうどいいテンポで進み、気づけば結婚していた、という婚活街道を歩みたい。Yはその役目を担っており、それを演じなければならなかった。

 

女はみんな、「普通の人がいい」というが、その「普通の人」とは上記のような男をさす。これらは特別にイケメンや金持ちじゃなくてもできる。気持ちがあれば誰でもやり通せるので、誰でもできることは普通の人がすることなので普通の人と言っている。つまり、普通の人とは、テンポがいい人をさす。

 

結婚に夢を抱いていて、Yの発言で、辛くなって連絡を絶ったのではない(女自身はそう思っているだろうが)。テンポが悪いからだ。

 

その証拠に、ちょうどいい具合に電話をくれなかったり、LINEをよこしてくれなかったり、デートに誘ってくれなかったりすると、すぐに「合わない」とかいいだす。

 

ちょっとのことでイライラしてしまう。イライラする自分を簡単に許してしまう。自分の面倒臭さや、イライラを、相手の熱意でカバーしてもらわなければならないと思っている。

 

女が一番求めていることは、金でも、顔でも、性格でもなく、テンポだと思う。