人に気を合わせるのではなくて「外せば」上手くいく。

宮本武蔵五輪書や、柳生宗矩が書いた兵法家伝書、山岡鉄舟の剣禅話では「合う拍子はダメで、合わない拍子を良しとする」と書かれている。

 

剣の悟りを得た三人が、それぞれ同じことを言っているので、絶対に確かなことだ。

 

拍子とはつまりタイミングのことで、相手と同じリズムや、同じタイミングでいくらバシバシ打ち合っても停滞するだけで、いつまでも勝負がつかないからダメと言っている。


拍子を外すというのは、相手が打って来るリズムと、違う時間軸でこちらが攻撃するということだ。


違う時間軸で、相手の虚をつくような攻撃じゃなければ、自分の攻撃は当たらない。


俺はボクシングをやっていたのでこれはよくわかる。


違うタイミング。


自分の攻撃は当たるけど、相手の攻撃は当たらないタイミング。今だったら相手は反応できないだろうっていう、そういうタイミングを戦闘の中で見つけなければならない。

 

 

これは日常の対人会話でも同じことだ。


相手の話す事を、はいはい答えてしまったり、全て鵜呑みにしたり肯定したり、相手とリズムやタイミングが一緒になってしまってる場合は、思考や心が停止して、自分自身を見失ってしまう。


その反面、相手の言葉や空気に飲み込まれず、自分の主軸がしっかりしていて、一人で話しているときと同じような気分の時、自分の言葉の刃が、相手に届く。


剣道でもボクシングでも人との会話でも、相手と同化してしまったら、自分の言いたい言葉は届かない。


仲がいい者同士だと、それぞれが独立した呼吸で話したり、過ごしたりしている。


自由に言いたいことをいって、素晴らしい思いつきも浮かびやすい。


しかし、初対面だったり、仕事の場や合コンの場とかだと、相手と意識を同調しようとするから、普段なら絶対に口にしないつまらない言葉しか出てこないものだ。


当たり障りない、つまらない反応だけを繰り返してしまうようになってしまう。


一旦空気を外して、自分の固有のリズムを取り戻して、話すようにしていけば、お互いが自分の自由なリズムで話せるようになるはずだ。


一般的なコミュニケーション論とかの本だと、同調を支持して、人と合わせようとすることを勧める内容のばかりだ。


俺はいかに外すことが重要だと思っている。


特に、消極的な人や、仕事ができなくて、なんでもはいはい言ってしまう人、中高生などの若い人は、相手のリズムにすぐ同調してしまう。


外したリズムを持ち出せず、相手の土俵で話してしまって、相手に合わせようとしてしまって、なんでも頷いてしまう。

 

人間のコミュニケーションは、目に見えないものだから、方程式として表しにくいけど、このように剣の理合を持ち出してきて検討すると、わかりやすい形になる。


精神的なものが精神的なままで終始している分野ではなく、精神的なものが外界に結んでいるものから学ぶと、わかりやすい。


合わせるんじゃなくて外す。


仕事ができる人はこの外すと言う事がよく出来ている。


上司の言い分を理解した上で自分の意見を主張できたりする。


さっきも言ったけど、友人同士だと、お互いが自由に闊達に意見を言い合って実に小気味がいいものだ。


気が合ってるから仲がいいんじゃなくて、気を外しあえるから仲がいいのだ。

 

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