「本当の臆病者は幸せからも逃げようとする」可愛くて性格が良くて細いのにおっぱいが大きな女の子から逃げてしまう、ひねくれ者の話

いい女がいたとする。自分のタイプの子だ。いつも夢に出たり、理想として崇めていた女の子だ。そんな子が好意を持って自分に近寄ってきてくれたとしても、素直に応じるだろうか。


実は結構な人が、逃げてしまうんじゃないかと思う。その子の事が好きで、申し分がなく、運命の人だと思ったとしても、逃げてしまう。


いい笑顔で若くて可愛くて、細身なのにおっぱいも大きくて、髪も肌も綺麗で、どの表情や行動も真面目で、どこをとっても申し分ない。一目見てから既に好きになっている。


なぜか、なぜか、だ。向こうから親切に話してくれる! 根暗でグズグズしている自分なのに、気持ちのいい雰囲気で、友好的に話してくれる!


そういうとき、本当は嬉しいはずなのに、どうして拗ねてしまうんだろう。


欲しいゲームや漫画は躊躇わず、すぐに食いつくというのに、どうして人間相手だと、異性相手だと、拗ねてしまうのか。

 

 

 

 

若い頃、何度かそんな経験があった。


可愛い子に言い寄られることがあった。見た目も可愛く性格も良くて、俺の方は決して愛想のいい態度じゃないのに、仲を深めようと食らいついてくれる子がいた。


今じゃ30も過ぎてそんな機会はなくなった。今後、もうないだろう。


今では、そんな子と比べてはるかにブスで腐った女を一生懸命追いかけている有様だ。

 

どうしてあんなに可愛いくて、いい子から逃げてしまったんだろう。本当に心からタイプで、大好きだったのに。


ゲームや漫画は発売日に買う。一切の迷いはない。なのに、恋愛だけは逃げる。一番、欲しいものなのに。


女ほど欲しいものはない。ちょうど、疲れたときにそのまま横たわってくれたり、ずっとフェラしてくれたり、ずっと自分を励ましてくれたり、常に優しい言葉をくれたり、最高の娯楽だ。

 

どこまでも自分を介抱してもらいたい。優しくしてもらいたい。愛をもらいたい。

 

本気の愛が欲しい。俺がどれだけ無視したり怒ったり傷つけても、それでも追いかけてくる人間を求めてしまう。

 

遠ざけて遠ざけて遠ざけて、それでも自分を追いかけてきてくれるのを期待している。


自分がこれまで苦悩した分を補填してもらうかのように、女の努力を要する。


それでやっとイーブンだと考えているのか。


女の献身的な、最大パワーの愛の力を欲しがっている。


そのためには俺は逃げまくって、それでも追いかけ回してくれるほどの熱量ぶりを見せてつけて欲しいのだ。

 

 

 

 


だけど、今更なんだよって気持ちもある。可愛い子が自分を追いかけてきてくれても今更なんだよって思う。


あれだけ欲しかったのに、これまでつらくて苦しくて、欲しくて欲しくてしょうがないとき現れてくれなかったのに、今になって急に現れやがって、

 

まずは「ごめんなさい」だろ。


「ごめんなさい」といったら付き合ってやる。


そんな気分になる。


るろうに剣心で、宗次郎が「あのとき僕を助けてくれなかったのに、今更なんなんですか!? 救ってくれたのは志士男さんで、あなたじゃない! あなたはいなかったじゃないですか!」と剣心に怒った場面がある。


あのときとは、もう10年くらい前の宗次郎が子供の頃の出来事だ。そんな昔に「巡り会えなかったこと」を剣心に対して怒っているのだ。


俺も宗ちゃんと同じことをしている。


「LINEはお前から聞いこい。メッセージも全部お前から送れ。デートも全部お前が決めて

告白もお前からだ。そうすれば付き合ってやる」


こんな心が俺の中にある。


いい女に出会うと、こんな心持ちになる。こんな男と誰が付き合いたいんだろう?


そして、なんと、好きになってくれたにもかかわらず、振ってしまうのだ。メッセージが来ても返さない。デートも全て断る。

 

そして、それをいかにも弱虫がグズグズしているそぶりを見せず、本当は構って欲しいという感情を一切出さず(慎重に、慎重に、演技する)、いかにも、十分間に合ってます、興味ないです、と本当にごく自然に興味がなさそうな態度を取るのだ。


怒ったり傷つけたりするのは、好きの裏返しだと思われたら困ってしまうので、無視をする。


無視といってもツーンと無視するのではない。ごく自然に当たり障りなく、失礼のないように相手に興味がない素振りをする。


他人同士というラインを相手が越えようとしてきたら、すぐに元のラインの関係に戻すような対応をする。


そんなイカれたことを何度もやったことがある。

 

可愛くて優しくて大好きで、もう二度と巡り会えない、そんな女の子に、こんなイカれたことをした。


家に帰って猛烈に苦しくなって苦しくなって、どうしようもないくらい苦しくなった。


どうして、こんなことするんだ。自分を傷つけるにも程がある! どうして無視するんだ。どうして遠ざけるんだ。絶対にヤレた。絶対に付き合えた。あからさまに好意をくれた。でも、ごく自然に興味がないように無視した。


つよがって無視している感じではなく、めいいっぱい演技して、本当にあなたのことをどうでもいい、そこらの通行人と同じ価値しか見出せてないという空気をうまく出し切った。


そういうときの演技はめちゃくちゃうまい。だから相手も信じる。この人は自分に興味がないんだと思うことになる。


これに成功した瞬間はたまらなく嬉しくなる。やったぞ、俺は興味ない演技に大成功した! と死ぬほど達成感がある。そして家に帰って猛烈に死にたくなる。


そんな夜を何度過ごしたことか。


どうしてこんなことしてしまうのか。バカなのか。


自分を傷つけるのがそんなに楽しいのか。

 

今、世界で一番求めているものを自分の手で壊す。この上なく傷つく行為だ。本当にのたうち回るぐらい苦しい。親が死ぬよりつらいかもしれない。変態なのか? マゾなのか? この苦しみが気持ちいいのか? この世で一番欲しくて欲しくて仕方ないものをかなぐり捨てる快感。取り返しがつかない事態を引き起こして、どうにかなってしまいたいのか。あるいは、こんなに無視をし続けても、まだ相手が熱意を見せてくれることを期待しているのか。期待しているとしたら、俺はどうしたら応じるようになるのか。


それと、他にもある。


やっぱり、「今更やってきやがって」だ。

 

「ごめんなさい」も言わずに、何気なく話しかけてきやがって、俺がどれだけ今まで苦しんできたと思ってるんだ。普通に話しやがって。今まで俺にこんな苦しい思いをさせてきたことをまず謝れ、と思ってしまう。


もう、いまさらだ。放課後制服で一緒に手を繋いで帰ったり、体育館倉庫で隠れてセックスしたり、帰宅後にどちらかの部屋でテスト勉強したり、修学旅行の夜にこっそり会ったり、学生時代の青春てやつを何も味わえなかった。


いまさら現れて、一体どこでなにしようというのだ。一番必要としてた頃に現れなかったくせに。


俺は苦しんで苦しんでやってきたのに、お前は誰かと付き合ったり、普通に青春やってきてんじゃないか。釣り合いが取れてない。

 

これだけ苦しんだり葛藤してきたのに、なのに、俺からメッセージ送ったり、俺からデート誘ったり、俺からプロポーズしなきゃならんのか?


クソッタレが。お前が全部やりやがれ。

 

帳尻合わせろよ。俺はたくさん苦しんだんだから、そんなことしなくていいはずだ。


仮に、女の方からアプローチしてくれたとしても、今までの自分の苦しみが、中途半端に解消されることが気持ち悪い。


普通にどこまでも追いかけてきてくれるだけじゃ足りない。ちゃんと謝って欲しい。もちろん謝ってきたところで無視する(笑)


なんて面倒臭い感情だろう。


今はどうなのか?


今も、そうやって自分から幸せを遠ざけているのか? がんばって演技して無視しているのか? といったら、そうではない。


出会い系でめちゃくちゃ追いかけている。自分が動かなきゃどうしようもないから、腹を立てながらイヤイヤ追いかけている。

 

可愛い子だろうがブスだろうが追いかけている。


出会い系だと、匿名性が高い場所で、よくわからない世界だから、逃げる気も失せるのか。


現実世界だと今もよく逃げてしまう。職場とかの出会いだと自分から逃げる。


出会い系だと会うときだけ頑張ればいい。1日だけ頑張ればいいが、リアルだとそうはいかない。リアルだと、毎日顔を合わせることによって、色々な角度での接点が増え、複雑な心が顔を出す機会が多くなってしまうので、逃げ出したくなってしまう。

 

「本当の臆病者は、幸せからも逃げようとする」という太宰治の言葉があるが、なんとなくわかる。

 

なんで、こんなに自分を苦しめたくなるんだろう。本当は手が出るほど欲しいはずなのに。

 

ここで放棄したら、もう二度とこんなチャンスはない、というときこそ、意を決してそのチャンスを棒に振りたくなる。

 

ドMなのか。なんなのか。

 

ここで逃したら、一貫の終わりという、そこまでしか運命に愛されてないんだったら、じゃあいいよ、と運命に対して喧嘩を売りたくなるのか。

 

運命を敵に回したら終わりなのかどうか試したくなるのか。運命は自分を見捨てないという寵愛があるのかどうか、と。


ああ、ゲームは延ばしてもまた買える。でも、恋は、そのときしかない。そのとき逃したら終わりだ。

 

 

 


一生幸せになれない。


一生幸せになれない自分を、目を当てられない自分を、満喫しようとしている。


逃げて逃げて気が済むまで逃げて、それでも追いかけてきてくれる優しさを求めてしまう。追いかけてきてくれても無視する。合格を出さない。永遠に出さない。


知っているだけでも3回くらいやったことがある。


俺以外にこんなバカがいるのかと思ったら、俺の親友も同じことをやったことがあるらしい(笑)


案外、少なくないのだろうか(笑)

 

 

 

 

 

愛だけは、愛だけは、自分の全てを包んでほしい。

 

どれだけ遠ざけても、逃げても、追ってきてくれるほど強く大きな存在であってほしい。


ギャルゲーの主人公なんかはこんなタイプが多い。いつもヒロインが追いかけてきてくれて、付き合うことになる。ヒロインの熱量任せだ。


だからギャルゲーが人気なんだろう。自己投影できるからだ。ギャルゲーをよくやるアホ達も、俺と一緒で、可愛くて優しくて好みのタイプでいて、自分をこれでもかというほど追いかけ回してくれないと気が済まないんだろう。そんな男の夢を描いたものがギャルゲーだ。ただ可愛くて優しいだけの女の子じゃない。主人公の弱さを覆うほどの強い愛と行動力を見せてくれる。


ギャルゲーをやるオタク達も、現実世界で可愛い彼女がほしくてほしくて仕方がないが、実際目の前に現れて言い寄られても、がんばって自分から逃げようとする、なんてこともあるだろう。


ゲームや漫画には命がない。気持ちがない。だが、人間には、女には、気持ちがある。


人間の気持ちを、愛を、極限までおいしく搾り取ろうとすると、こういうことになる。


玩具を買ってあげると言ってくれているのに、「いらない!」と言ってしまう子供と一緒である。