コンビニなのにデリバリーしてしまった恐ろしい友人のY

f:id:simaruko:20180606143101j:plain

Yという凄まじい男がいる。チビで身長が160cmもない。

 

いつもノリだけで生きている男で、人と会話するとき、全く話を聞かない。

 

会話はすべてテンポやタイミングだけで乗り越えようとしており、話の合間に「うんうん!」と相槌を打つ。雰囲気からここは笑うべきポイントなのかな? と思ったらバカみたいにゲラゲラ笑う。

 

話の流れで、相手が困ってそうな「雰囲気」を感じたら、あぁー……と残念そうな顔をする。話の内容に迫るということは一切せず、本当に、ただ、反応だけで会話を成立させようとする。

 

会話の外にある「雰囲気」だけでなんとかなると思っている。完全に確信犯であり、本人も、これでなんとかなるよ? と言っている。

 

「〜〜〜てことなんだけど、どう思う?」と聞かれた時は、さすがに対処に困るようで、「どうかなぁ」とか「うーん」とか、深刻ぶった顔をしたり、「ちょっと難しいかもね」と、曖昧にすればなんとかなるとも言っていた。

 

それでもYはそれなりに人気のある男だった。Yもバカだが、周りもバカなんだろう。会話の中身どうこうより、気持ちのいい反応さえ帰ってくれば、話している方も納得してしまうのかもしれない。

 

だが、仕事となると、そうはいかない。

 

Yが仕事で大失敗したエピソードを語るが、ちなみに、俺も仕事がめちゃくちゃできない。

(たった今、この記事をデニーズで執筆していたのだが、「お客様、今日はお車でお越しですか?」「はい」「お車は沼津ナンバーのVITZでよろしかったですか?」「はい」「スモールランプが点灯していますが……」という事件を引き起こしてしまった)。

 

仕事ができない人間の起こすエピソードは山ほど知っているが、Yが起こしたエピソードは、俺でさえも信じがたいものだ。

 

 


Yは25才の頃、コンビニでバイトしていた。この歳でバイトしていたのは、仕事を辞めて専門学校に行くためだった。退職する前の仕事は、変なスーパーでお惣菜を仕分けするというものだったが、一応、正社員だったらしい。

 

辞めた理由はパワハラがつらかったからだ。あまりにもYがチビでのろまで仕事ができないので、周りに舐められていて、「おいY。昨日オナニーしただろ。お前の今日の仕事ぶりで、お前が昨日オナニーしたかどうかわかるんだからな!」というセクハラまがいなことを毎日必ず言われていたらしい。

 

さて、事件は、Yがコンビニでバイトして2ヶ月が経った頃だった。Yがいつものように糞みたいな仕事をしていると、電話が鳴ったので、Yは受話器を取った。

 

客「あの、先程そちらでホットドッグを購入したものなんですけど、袋開けたら、違うものが入ってたんですけど」

Y「え!?」

客「からあげ棒がはいってました……」

Y「すいません、お客様、大変すみません」

客「あの、どうしたらいいでしょうか?」

Y「あ、交換したいと思います」

客「もう家に着いちゃったんで、届けに来てもらえますか?」

Y「ああ、えーと……」

Y「えー……と」

Y「お客様、住所はどこになります?」

客「静岡県◯◯市◯◯町15ー9です」

Y「今からですと、えー……30分くらいかかりますけど、大丈夫ですか?」

客「はい」

 

Yはそのとき1人シフトで、他の従業員は誰もいなかったらしい。店内には3人の客がいたので、3人の会計を済まし、店内の利用客がゼロになったことを確認すると、保温ケースからホットドッグを一本取り出し、店を抜け出し、自分の車に乗り込んで、お客さんのところに行ってしまった。

 

片道30分なので、往復1時間だ。1時間後に店に戻ってくると、レジの前に行列ができていた。Yは驚いたが、がんばってその行列客を処理して、何事もなかったように、家に帰った。

 

 

さて、色々言いたいことはあるが、まず、

 

コンビニに……デリバリーはない!

 

Yの悪いところをまとめてみよう。

①ホットドッグを注文されたのに、からあげ棒を入れてしまったこと

②交換の手順をよく知りもしないのに、交換を引き受けてしまったこと

③客の家にまで届けにいってしまったこと

④1時間、店を空席にしてしまったこと

⑤  ②〜④の間、店長に電話しなかったこと

 

③(客の家にまで届けにいってしまったこと)に関して、

「どうしてデリバリーしようと思ったの? コンビニでデリバリーしてるとこなんてみたことある?」 と聞いてみたら

「いや、注文する電話がかかってきたら俺も行かないけど、俺が間違って渡しちゃったもんだから、それは、さすがに俺が責任もってなんとかしないと、と思って」とわけのわからない回答が帰ってきた。

 

④(1時間、店を空席にしてしまったこと)に関して、

「100歩譲って、自分で問題を処理するのをよしとしても、その間、店にスタッフが誰もいなくなっちゃったら、まずいと思わなかったの?」と聞いたら

「今いる客をほっぽりだして行くのはまずいと思ったから、ちゃんと全員の会計を済ませてからにした。そのあと、新しい客が入ってきたとしても、今は誰もいないんだと思って帰ってくれると思った」

「ん? 新しく入ってきた客は、店員がいないとおかしく思うよね、そして、そこで帰らないよね? トイレにでも行ったのかな? と思って、待つよね?」

「どうかな、今はちょっといないのかな? と思って別のコンビニに行ってくれると思った」

「いや、待つでしょ、そこは」

「店に誰もいないときってたまにあるじゃん」

「ねーよ」

「実際、レジが行列になってたんでしょ?」

「まぁ……」

 

⑤(②〜④の間、店長に電話しなかったこと)に関して、

「店長に電話して相談するタイミングはいくらでもあったよね?」

「電話したら、店長が店にやってきて、俺の代わりに届けに行くことになるかもしれないし、急に電話して呼び出したら、たぶん怒ると思うんだよね。ずっとそのイライラした顔みながら仕事すんのきつかったんだよね」

「それで自分でバレずになんとかできると思ったの?」

「うん」

 

実際、唐揚げ棒の在庫の数とその日の売り上げの計算が合ってなかったことから、事件はバレてしまった。どうして電話をよこさなかったのかと、こっぴどく怒られてしまったらしい。からあげ棒を自分で一本買っておけば、集計は整ったと思われるが、どうだろうか。