仕事してない俺が、仕事が上手くできない人間の解決策を提案してみたよ


「職場に38歳の小田さんっていう男がいるんだけど、本当に仕事ができないんだよ〜。仕事ができないっていうより、そもそもやる気がないんだよ、朝はいつも遅刻してくるし、無断欠勤するし、同じミスばっかするし、怒ってもヘラヘラしてるし、この前も俺に患者のことで相談してきたから、仕事が終わったらその話しようって言ったのに、予定の時間になっても来ないんだよ。何やってんのかと思ったら、ずっと自分の仕事してるの。先輩待たせといて何も知らせず自分の仕事やってるの。俺だって自分の仕事あるんだよ? でも後回しにして小田さんに時間割こうとしてたわけ。

時間や物事にルーズで、仕事がいつも間に合わないから、女上司が、ちゃんとスケジュール通りできるようにと、小田さん専用のスケジュール表を作って、達成できたらマルをつけていくようにと分刻みでチェックしてんの。38歳だよ!? 恥ずかしくないのかなぁ。まるでお母さんだよ!」


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「へぇ〜。そっかぁ〜。仕事ができない奴は困るわな。1日のほとんどが仕事というか、人生のほとんどが仕事なんだから。仕事ができなかったら人生の終わりだよな。周りからも信頼失っちゃって、いつもいつ怒られるかビクビクしているんだろうな〜。38歳か。気の毒だ」

 

「怒っても直らないから、もう俺は怒ってないけどね。俺も年下だから怒りたくないんだよ。小田さんも自分ができないのはよくわかってるから、絶対言い返さないし、それでもへらへらいつも笑ってるんだよなぁ。恥ずかしくないのかな?」

 

「そりゃもちろん恥ずかしいさ、でもある程度は他の人より頑丈にできてるだろうね。羞恥心はあるけど、それでいいやと思ってるんだろう。仕事は怒られる時間だと割り切ってる。趣味の時間に生きればいいと思っているんだ」

 

「俺だって仕事やりたくないけど我慢してやってんだよ! みんな我慢して頑張ってんだよ! 小田さんだけじゃない。みんな我慢してやってんだよ! 給料貰ってんだから最低限はやれよって思う」

 

「うん。小田も最低限はやろうと思っているし、やっているつもりなんだよ。自分はできない人間だと分かりきった上でやっているんだと思うよ。一応仕事だし、怒られんのも嫌だし、やることはやろうとは思ってるけど、それでもやりきれないんだと思う。やってもやりきれない人っているんだよ。他の人がこれぐらいはやろうって頑張れるところのラインに達せないんだよ。向いてないから。そう、向いてないから、人一倍頑張らなきゃいけないんだけど、そこまでのパワーが出ないんだ。向いてないから最低限の力にすら届かないんだ。それに加えて、仕事が嫌い過ぎるんだ。嫌い過ぎて、いつも後でやればいいって思っちゃうんだよ。何でも全部後回しにしてるんだ。締切ギリギリの力を借りてなんとか遂行できるんだ。人間は嫌いな仕事だと最後の最後まで追い込まれないとやる気になれない。

一応、彼なりに最低限のやる気はあるんだよ。本当にやる気がない人はとっくに辞めてるからね。仕事に毎日行くということに全てのやる気が消費されてるかもしれないけど(笑)。まぁ、後回しにするってことは、自分なりにタイミングを計ってるつもりなんだ。小田にも計算があるんだよ。でもその独特の計算が周りにはサボってるように見えるんだ」

 

「俺、一応、教育係なんだけどさぁ、どうしたらいいの?」

 

「俺の考えでは、残念だけど辞めるしかないと思う。基本的にどんなに頑張ったところでたかが知れてるんだ。今向いてない仕事は絶対にこれから向くようにはならない。人間の適正は生まれた頃から決まっていて、適性がある仕事は、初めて手を付けた日でも、それなりによくできるもんだ。適正がない仕事はいくらやったって人並み以下にしかならない。これはハンターハンターの念能力の修行と一緒だよ。ゴンがいくら変化系の修行しても全然うまくいかなかったね。大人のゴンですら、チョキだったらピトーは倒せなかったと思うよ? キルアが円をやっても数センチしかいかなかったね。カストロヒソカに殺されたように、自分の不得意なことをいくら頑張ってもダメなんだ。これを悟らなきゃダメだ。

無駄に資格を3年も4年もかけて取ってしまったから、途中で引き返せないんだ。資格っていうのは怖いもんだよ。1度取ってしまうとなかなか辞められなくなってしまう。おそらく小田さんは人と一緒に働くのが苦手なんだと思うね。根っからのルーズでさ、とても誰かと一緒に働ける気質ではないんだ。

いつも、明日は頑張ろうと思ってるんだよ。業務中に色々怒られて、業務が終わった後でも上司に怒られて、気分が滅入って家に帰ったら、そのことをくよくよ悩んだり、あるいはアニメを見たり酒を飲んだり、だらだらスマホいじって一日が終わってしまうんだろう。仕事が辛かった分、その辛さを取り返すように自分の時間に溺れていくんだ。その時間こそが本番だと思ってるんだ。予め仕事の時間は捨ててるんだ。色んな思いを同時に抱えて、とにかくたくさん一人の時間を大事に過ごしているんだ。そんなことをしていると夜更かししてしまって、次の日の朝ちゃんと起きれなくなってしまう。朝を失敗してしまうと大変だよ? 今日は無理だ。残念。今日は寝不足で頭が働かない。今日は無理だ。捨てよう。明日頑張るから今日は捨てよう、と思うようになる。今日は捨てる代わりにちゃんと帰って寝て、明日がんばって取り戻そうと思うんだよ。もちろんその後、夜更かししないはずがないのは言うまでないよね?

そんな『捨てられた今日』が1週間も2週間も、いや、小田さんが入社した日から今日に至るまでずっと続いているんだ。その捨てられた時間の中に、患者さんの施術も、病院内の雑務も、お前との話し合いも含まれているんだ。周りからしたらたまったもんじゃない。でもしょうがない。仕事が辛い分、自分の時間で、失われた時間を取り戻そうとするのは当たり前のことだろう。でなきゃとっくに壊れている。そうしなきゃ人は生きていけるものではないよ。仕事だけをして一日が終わることを受け入れられないんだよ。38歳になってもね」

「じゃあどうしたらいいの?」


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「トラックの運転手になるべきだよ。運転ができるんだったらさっさと大型免許を取ってトラックやればいい。絶対に小田さんにはぴったりだよ。むしろそれしかない。ダメだったらまた戻ってくればいいんだけだ。リスクなんて特にないんだよ。資格があるんだからいつでも戻ってこれる。仕事ができない人のブログを読んでると、みんな郵便配達か新聞配達の仕事に落ち着くんだ。みんな、そっちに転職すると上手くいってるんだ。俺も脳内で転職して働いてみたけど、上手くいった! なんでだか、大体想像つくだろ? 一人の空間と時間の中で仕事ができるからだよ。トラックはもっと給料がいいからね。やるならトラックだよ」

「俺はどうすればいいの? トラックの運転手になれって言うの? 俺、年下だよ? 小田さんに辞めろっていうの?」

「うん。そうだよ。問題はどうやったらトラックに納得してもらえるかだね。頭ごなしに怒ったり無視したりして、小田を追い出すような真似はおすすめしない。勿論スタッフも気分が悪いし、小田も心に深い傷を負ってしまうからね。案外そんなことしても、人は言うこと聞かずに抵抗するだけだよ。小田の性格だったら、すいません! すいません! あ、はい! はい! わかりました!って口先だけで謝って、同じことを繰り返すのは目に見えてるしね。

だから方法はひとつしかない。信頼関係を深めて飲みに行った時に、『小田さんは、理学療法士よりトラックの方が向いてると思います』って言うんだ。『俺の友達が理学療法士をやっていたけど向いてなくて今トラックやってるんですよ、けど儲かるらしくて一人だし気楽だし本当にのびのびやって、楽しそうですよ!』って言うんだ! 『確かに資格はもったいないけど転職して良かったって言ってた』って言うんだ! 『俺もトラックやりたいけど、俺は理学療法の仕事気に入ってるからなぁ、小田さん、もし理学療法好きじゃなかったらトラックどうすか?』って聞いてみるんだ!」

「年下にそんなこと言われたら腹立つと思うんだけど」

「優しい感じで諭すような感じで言ってあげるんだ。なんなら、『小田さんって正直あんまり仕事できないじゃないですか。きっと小田さんもきついと思うんですよ。毎日仕事きついっすよね? すいません、生意気言って。でもトラックやれば絶対上手く行きますよ。俺は小田さんが好きだし尊敬してます。でも、このまま小田さんがつらそうな顔して仕事してるの見てるのつらいんです。真面目に小田さんが幸せになってほしいって思って言っているんです』って言ってやるんだ。まぁこの辺りはお前のさじ加減だろう。人間は自分を認めてくれた人間にしか心を開かないからね。まずはしっかり相手の心をよく掴みながら、それで、トラックの方がメリットがあることを伝えてあげるんだ。指導したり、ミスを少なくさせてあげることだけが優しさじゃないんだ。本当に一番大事なのは、その人の向いてる方向へ誘導してあげることなんだよ」