警察に事情聴取されても全然大したことない話

昨日初めて警察に事情聴取をされた。

 

毎夜、22時半から23時過ぎまで、自宅のマンションから200 M ぐらい離れた大きな公園でバットの素振りをしているのだが、
素振りを終えてバットを抱えて歩いてると、パトカーとすれ違うことが多い。

 

いつもちょうどその時間に徘徊しているらしい俺もパトカーも。

 

パトカーはいつも俺を素通りするので。
警察というのは、こんな夜遅くにバットを持って歩いてる人間を無視するもんなのかと思って不思議に思っていたから、やっときたかという気分だ。


パトカーはいつも通り、一旦は見送ったが、しばらくしてU ターンして俺のところまで走ってきた。

「ちょっといいですか」と言ってきて、丁重な話し方だった。
俺もは「いいいですよ」と余裕綽々に答えた。

「こんな時間に何されてるんですか」
「ちょっと公園でバットの素振りを」
「バットの素振り!? あーそうですか!(笑)」
「バットを持って、こんな時間に歩いてるもんだから、ちょっと声かけさせてもらおうかなと思いまして、そうですか、素振りですか」
「すいませんが免許証とかお持ちですか」
「すぐ近くの自宅までついてきてもらえればお見せすることはできますが」
「あぁ、そうですか、それでしたら結構です」
「お名前と生年月日教えてもらってもいいですか」


俺は、はぁと溜め息をつくと、


「面倒くさいですよね、そうですよねー、、、」と恭しく、友好的に、俺の気持ちがわかるような体で話してきた。

俺は名前と生年月日を答えた。

 

「随分長いバットですね」
「これは素振り用のバットですか?」
俺のバットは特注品で、普通のバットの3倍ぐらいの長さと重さがある。
「素振り用です」
へぇーっといったふうに、マジマジと俺のバットを見つめてくる。

警官は、背が高くてガタイがいいのと、とチビッコの二人だったが、基本的には背の高い方が一生懸命俺と話して、チビの方はずっと黙っていた。
3人ともそれほど年は変わらないだろう。
俺が30くらいで、で二人は30代半ばから後半といったところだった。

 

しかし、まぁ、こんなバットを人間が振り切れるもんなのか? と怪しげな表情でずっと俺のバットを見ていた。

まるで棍棒だ。節分の日ぐらいにしか出番がなさそうな代物だが。この男の空気、佇まい、バットの持ち持ち方からして。本当にこの男は、毎晩この得物で素振りをしているんだろうと思ったに違いない。

 

一人は俺よりも背が高くガタイもよく、二人とも警察学校でそれなりの護身術は心得ているはずだが、このバットを一振りすれば、この二人はおろか。パトカーまでひっくり返りそうだった。

銃を抜いて発砲しても、真顔で打ち返してきそうである。

 

しかし事情聴取というのは妙にそわそわする。
走って逃げたくなってしまうような気分がどこかにある。今、急に走り出したらどうなるんだろうかと、ずっと思っていた。

 

「野球をやってるんですか?」
「今やってないけど昔やってました」
「あー、昔そうですか」

 

今野球やってたら何なんだろう(笑)
昔野球やってたら何なんだろう(笑) 

 

事情聴取というのは、ただの世間話みたいなもんなんだなと思った。


「ほとんど毎日こうして公園でバットを振っているのでいつか事情聴取されると思ってました」
「そうだね、ちょっとさすがにバット持って歩かれたらあれでね」
「こうして1度事情聴取されれば、これからは見過ごしてもらえるのでしょうか?」
「また他の警官さんがパトロールして、見られてしまったら事情聴取されてしまうんでしょうか?」

「そうだね。その大きなバットを何かで包んでくれれば我々も介入しないと思うんだけど、さすがにそんな物騒なものを生身で持ち歩かれてしまうと、、」
「何かケースとかは持ってないんですか?」
「ないですね」
「…………」

「ちなみにお仕事は何をされてるんですか?」
「自営業で訪問マッサージをやっています」
「あーそうですか。ハハハハ」

そうして話は終わって解散することになった。

連行されなくてよかった。

警官も頑張って公務員試験を合格して、やってることといえばこんな変人の相手ばかりだ。
一晩中むさ苦しい格好で、となりのゲイと街を徘徊して、ゲイじゃなきゃやってられないだろう。

友達も警官をやっていて、かなり高給のようだが、「今年もボーナス5ヶ月分もらった!」「え!? ボーナスが缶ビール2本!? そんな会社すぐに辞めたほうがいい!」と調子にのってたが、ほとんどが事務仕事とパトロールだと言っていた。

 

変な男とゲイみたいにドライブして、気が合わない男とだったら会話に困りそうだ。

それにしても本当に緊張感がなく、しょうがないから声をかけるかといった感じだった。

免許証もあったら見せてもらうけど、ないならそれで構わないという適当ぶり。

つまりパトロール自体が必要なさそうだ。

ゲイとドライブして高給なら、悪くない仕事だ。