目標を持って頑張って毎日働いている人間ほどつまらない件について

この前出会い系ですごい女の子と会った。

 

二十歳で動物看護の専門学校に行っている子なのだが、卒業したら個人の動物病院をやっている人のところで修行して、いずれは自分も動物病院? 動物の預かり所? みたいなのを開いて切り盛りしていきたいという。

 

二十歳でそんな明確な目標があることはすごいと思ってびっくりした。
友達にもこの話をしたら相当びっくりしていた。そして感心していた。

俺も友達も二十歳の頃は全く目標の片鱗さえなく、気ままに学生生活を送っていた。
そして、そんな気ままに生きてきた代償を精算するため、恐ろしいことを沢山するはめになった。


二十歳で人生の目標を、しかも「具体的」に決まっているのは珍しい。

いつまでに、どこで何年間修行して、そしてどういう店を建てて、どのくらいお金貯めるかとか考えている。

母子家庭でお金がないので、授業料は全て自分のバイト代で賄っているらしい。勉強に明け暮れながらもパスタ屋でバイトをして、木曜日以外は全てバイトをするらしい。平日は18時から1時、休日は11時間働くらしい。


出費は控えたいのだろう。俺と会うときもサイゼリヤでいいですかと言ってきた。
1年間彼氏がいたことがなく、バイトと勉強の日々だと言う。
既に就職先が決まっているらしくて、実家から離れることになるらしいが、どうしてもペットと一緒に住むという条件だけは譲れないらしく、

保健所で大きな犬を引き取って、大きな犬と一緒に住める賃貸で暮らすらしい。

ペットショップの犬は裏事情があって、それを知ってしまったために飼えないと言う。

どんな裏事情があるのか知らないが、俺みたいに血統書付きの綺麗な血で構成された猫しか愛せない人間とは格の違いを感じさせられた。

 

大型ペット可の物件は高い上に、動物業界は賃金が安いので、生活は大変になると言っていた。

今働いてるパスタ屋よりも安くなるかもしれないと言う。
また奨学金も返していかなければならない。


この子は、驚くことに、1日に1食だったり、あるいは何も食べない日がちょこちょこあるらしく、食べたとしても本当にちょっとしか食べないらしい。
まるで俺みたいなことをしている。俺は理学療法の実験で行っているが、この子はnaturalにやっている。

やはり少食の人間の方が頑張り屋さんが多い。腹いっぱい食べてばかりいる人間はこんなに頑張れないだろう。
でも、少食な人ほど痩せてないことが多い(笑)


ひとつ腹が立ったのが、LINEの自己紹介メッセージのところに、
「今月の○○(この子の名前)の予定は全て埋まっております! 申し訳ありません〜」
と書いてあったことだ。俺は吹き出すと同時に神経を疑ってしまった。

予め誘われるのを前提としたメッセージで、その勘違いした感じが鼻につくからだろうか。

 

話しているときも、目がふわふわしていて夢遊病者みたいだった。
ちゃんと心が結びついてる感じはしなかった。食ってないし、寝てないからだろうか。

「やっぱり人生って挑戦ですよね」
「怖いですよ? でもワクワクしませんか?」
「私よく負けず嫌いって言われるんですよ」
「え?辛いけど楽しいですよ」

そんなに自分に酔っているまでは感じなかったけど、
「プロフェッショナル仕事の流儀」の空気の中に紛れ込んでいると言うか、意識高い系や、自分の脳内で世界が完結されている人間というのは一種の気持ち悪さがある。

 

やはりLINEに、「今月の自分の行事は全て埋まっていますごめんなさい」と書けてしまう人間はそこまでだと思う。

そういう文章を書くことが、どれだけ質が低いことか、他人がどんな気分になるか、そこまで気が回らないんだろう。

目標に向かって頑張って生きてるところは本当に素晴らしいと思うのだが、鈍感だ。

自分の心はいくらか見渡せても、他人の心の機微までシナプスが行き渡らないのだ。

 

俺の大学の友達にもLINEの紹介文のところに、
「今年の夏の裕太の予定は全て埋まっております!」
と書いた奴がいて、
みんなで親の敵のように散々中傷して、青春活動の大きな晩餐のオカズとして盛り上がったもんだ。

そいつも年中バスケをやって意識が高い人間だったが、会話だったり笑いのセンスがなく、角砂糖のように一つの味しかしない人間だった。

 

いろいろ人生に対して前向きで頑張ってる子であれば、感性の豊かになって、面白くなりそうなもんだが、そうはいかないらしい。むしろつまらなくなってしまうらしい。
普通にダラダラ生きてるそこらの人間の方がよっぽど面白い。

 

俺の周りでも、人生をドロップアウトしたり、コンビニでバイトしていて、デリバリーで注文を頼まれて店内にスタッフが誰もいないのに届けに行ってしまう人間の方がよっぽど面白いことを言う。

この子は自分と犬のことは書けても、他人の心の中に光を当てて書くことはできないだろう。

 

面白いことを言える人間は、毎日アルバイトをしたり、保健所から犬を引き取ったり、ペットの糞を片付けるなんてできるはずがないのだ。

この辺りは人間世界の等価交換なんだろう。