本を読む理学療法士はどこにもいない件について


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俺は理学療法士やマッサージ師で真面目に働いてる人間を見たことがない。

 

医学サイトや本から最新の知見を学んで、空いてる時間はとにかく治療技術だけを考えて、昨日と同じ治療をしてやるものかと誓って、常にチャレンジチャレンジしてる人間なんて見たことがない。

 

しかし、みんな患者や患者の家族の前ではいい格好をする。自分はいつも本気で心を砕いて仕事をしているという顔をする。最新の知見をしっかり持ってますという顔をする。

 

この「最新の知見」というやつが肝で、医者ですら最新の知見なんて持ってないのに、自分は完璧に準備ができています。人間の体だからもしも、ということはあるけど、私が今できる最大の準備、受け入れ体勢は整ってます。自分のやれる範囲の仕事はしっかりやれますよ、という顔をしている。

 

だが、自分のやれる範囲の仕事というのは、「最新の知見」をしっかり持ってないとできるわけがないのだ。

 

学生が来た時には偉そうにアドバイスする。

院内のミーティングでも、舐められないように専門ぶった発言をする。本質に迫ることよりも、突拍子もないことをいってビックリされて、恥ずかしい思いをしないことの方が重要なのだ。みんな本当は一番に思いつくのは素人が思いつきそうなことなのだが、「素人っぽい」ところから離れよう離れようとして会議を進める姿が滑稽だった。

そして、「個人差がある」とか「人間の体だから何が起きるかわからない」とか、とにかくはっきり言わない。

自分が責任負いたくないから、いつも無難なところへ癒着する。

スタッフ同士もそれが分かっているのに建前だけの話し合いを延々と行う。お互いに家に帰った後に勉強していないこともよくわかっていて、治療方針についてはいつも曖昧な態度だ。この辺りまでやっておけば、つつかれても恥ずかしくないという落とし所を踏まえてミーティングを進行させる。

 

周りから熱心と言われている施術者でも本を読むということはない。
先輩に言われたことを真似してみたり、病院内の講習やセミナーで学ぶ程度だ。
休まず真面目に聴いて次の日に実行すれば、真面目だと言われてしまう始末だ。

自発的に外部から仕入れてきたり、1日2時間でも3時間でも新しい施術を学ぼうとしてる人間はまずいない。

少なくとも俺は解剖学の教科書を一度も開いたことはない。

それでなんとかやれてしまうのが理学療法士という仕事だ。

コンビニバイトやレジと変わらない。決まったルーチンワークをこなすだけだ。

 

施術が上手いとか下手とかは大して仕事で問題にならず、挨拶をしっかりしたり、細やかな雑務をこなしたり、院内の決まり事を守れるかの方がよっぽど重要なのである。

 

俺は、ただ自動的に入ってくる情報を処理した程度で、勉強熱心と言ってはいけないと思う。

勉強熱心とは1日に2時間か3時間、新しいことに挑戦する人間だけが言われる資格がある。  

 

ほとんどの人が毎日同じ治療をしている。もちろんみんな飽きて欠伸している。本人も周りもみんなわかっている。
昨日の自分より今日の自分の方がはっきり成長していると言える人間はまずいない。半年前より今の自分のが優れてると豪語できる人間も怪しいものだ。

 

たまにマッサージ中に寝る施術士もいる。
他のことを考えたり、遠い壁を見つめながら、ずっと同じ箇所を揉んでる人もいる。
3人いれば1人はそういう療法士かもしれない。

私はそんなことを絶対にしない! と誓ってサボらず仕事する人もいるけど、それは「勉強熱心」とは言えない。

 

みんな家帰ったらテレビを見ている。
施術師は勤務時間中に成長することはない。勤務時間外で本を読んで勉強するしか成長はできない。
勤務時間内でどれだけ頑張っていても、仕事熱心とは言えても勉強熱心とは言えない。

 

プロフェッショナル仕事の流儀に出てくる人達は、一日中仕事のことを考えている。
家に帰った後も仕事のことを考えている。

とりあえず本を読めば今の最高の知見だったり、新しい情報が色々あったりして、そのどれかを試せば自分の抱えてる患者さんが良くなるかもしれないのだが、毎日同じことしかやらない。新しいことを試したくても本を読まないから、何も材料がないのだ。


「この病気は進行性で仕方がない病気ですが、トレーニングを続けていけば、進行を遅らせることができるので頑張りましょう」と、毒にも薬にもならない言葉をはく。

別に悪いことだと思っていない。
俺もろくな仕事をしてこなかったから。

 

理学療法士は、なぜこんなにも誰も本を読まないのか不思議なだけだ。名前だけは頭が良さそうな仕事だ。