タマホームに内定してタマホームのCMの歌をいつも歌っていた大学時代の友達

あきかずという友人が大学の頃にいた。俺が金に困っていた時「お前、なんでいわねーんだよ、いえよ、そういうときは、お前マジでいえよな」といって1000円貸してくれた。ルーキーズでも見たのか、不自然に友情に厚い自分を演出していることは確かだったが(それがいいことか悪いことかは死ぬほどどうでもいいのだが)、急に漫画みたいなキャラになったので面白いなぁと思った。


ある日、あきかずが大学の講堂で歌を歌っていた。どんなリズムだか忘れたが「た、ま、ほぉ〜〜〜む♪」「〜〜〜〜〜〜〜〜♪(この辺の前奏の部分はよく知らない)た、ま、ほぉ〜〜〜む♪」「〜〜〜〜〜〜ーー♪ た、ま、ほぉ〜〜〜む♪」とずっと歌っていて、俺があきかずの隣に座ると「りょうちゃん、内定決まった?」と聞かれたので「まだ」と答えた。


するとあきかずは「俺、タマホームに内定決まりそうなんだよね」「タマちゃんだよタマちゃん、あのよくCMでやってるやつ」「タマホーム? すごいじゃん、有名じゃん」「そそ、説明会によると不動産業界は今不況らしいけど、タマホームだけは新参にも関わらず、業界内で唯一右肩上がりで、他の会社はどんどん潰れていってるけど、タマホームだけは絶好調らしい」「へぇ」「〜〜〜〜〜〜ーー♪ た、ま、ほぉ〜〜〜む♪」「あーいいかもしんないタマちゃん〜〜〜〜〜〜ーー♪ た、ま、ほぉ〜〜〜む♪」「〜〜〜〜〜〜ーー♪ た、ま、ほぉ〜〜〜む♪」「その歌はCMのやつ?」「そうそう」「〜〜〜〜〜〜ーー♪ た、ま、ほぉ〜〜〜む♪」「〜〜〜〜〜〜ーー♪ た、ま、ほぉ〜〜〜む♪」


こうしてあきかずは誰にも頼まれてもないのに、まだ内定しているわけでもないのに(仮に内定していたとしても少しもマシになることはないが)、ずっと永遠と、大学の講堂でタマホームのCMを歌っていた。彼の前では笑ったら悪いと思ったので笑えなかったが、彼と別れてから死ぬほど笑った。


まだ内定取っていないのに浮かれて歌っているのが滑稽で笑ったわけではない。その歌が、リズムが面白くて、それをバカみたいな顔して、浮かれて、一度や二度ではなくて30分くらいずっと歌っているのが、たまらなく面白かった。なぜ周りを気にしないでずっと歌えるんだろうと不思議でならなかったが、ノッている感じが幸せそうですごくよかった。結局あきかずは、タマホームの内定はもらえず、小さな賃貸の会社に就職したが、あんなに面白いことはそうそうなくて、たまに思い出す。